見出し画像

「体力」を意識した、慢性心不全患者との関わり

体力ってどんなものですか?

 (一応、健康な)みんなは、自分の体力について考えたことはありますか? 

 日頃から運動してなくて体力に自信の無い人もいるけど、電車に間に合いそうにないときは全力ダッシュも出来るし、階段を駆け上がることもできます(多少は「はあはあ」いうけど)よね。
 健康な我々は、よほどの負荷をかけない限り、日常生活において(肉体的な)体力を意識することはあまりありません。それは、体力が有り余っているからです(スポーツをしているときなどに「体力が落ちたなー。」とか言うような場面はあるでしょうけど)。


心不全患者さんはそうはいきません。

心不全の重症度は「体力」

 心不全の重症度に「VO2」とか「最大酸素摂取量」とか出てきますが、いきなりこういう難しい用語が出てくると、理解の邪魔になります。まずは「ムシ」しちゃいましょう!
 そこで、心不全患者さんの重症度は「体力」ですよ、と言うとすっきりきませんか?「あなたの体力は、同年代の健康な人の体力の何パーセントですよ」とか指導すると患者さんも分かりやすいですよね。
 
 心不全患者さんのように体力が低下して、日常生活にも支障が出てくるようになると、「体力がなくなっちゃった」ときの症状が出てきます。

息切れ」です。

 貧血や肺疾患でも同様の症状が出現してきます。これは、全身の組織に酸素を送り届ける仕組み(ワッサーマンの歯車)の記事で説明しました(まだ読んでない方は参照してみてください!)。 

体力を評価しよう(問診でも、体力はアタリがつく!)

 心臓が悪い患者さんでは、安定している時期(代償期といいます)であっても、負荷の強い動作は(息切れを起こすために)できません。そのため、体力テスト心肺運動負荷試験といいます)でしっかり体力を評価して、「その人その人にあった無理のない活動のレベルを評価し、指導してあげる」ことが大事になります。

 無理をさせると、別記事で述べますが「非代償性心不全」といって、急性増悪を起こしてしまいます。

スクリーンショット 2020-11-15 15.48.18

※ 心不全ガイドライン2017より引用。心不全の重症度に用いられる、運動耐容能のこれらの項目こそ、私たちの日常生活でよく使う「体力」に限りなく近いニュアンス。問診でも「アタリ」をつけることができますよ。

スクリーンショット 2020-11-15 15.50.45


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?