見出し画像

Harry Belafonte - Day-O (The Banana Boat Song) / バナナ・ボート -1956

夏と言えばバナナ・ボート! 

いや、本来はこれのことでは無いんですけどね

一定の世代の人には懐かしい歌でゴンス

「イデデ~イデデ~イデデ~いてーよ!」
なんて…替え歌というか、ギャグのネタにもよくされてたなあ~この特徴的な出だし。

で、この歌を世界的にヒットさせたハリー・ベラフォンテ。やっぱ若い人は知らないってシンガーかも…
「ウイ・アー・ザ・ワールド」にも参加していましたが、
ソロパートは歌ってなかったし コーラスでちらりと映っただけか。

でも、U.S.A for AFRICAの企画提唱者なんだよねっ

「We Are the World」1985

5: 55のところで映ってます<ベラフォンテ


「Day-O (The Banana Boat Song)」1956

Day-o, Day-ay-ay-o ・・・
Day, me say day, me say day, me say day Me say day,
me say day-ay-ay-o・・・

この出だしがインパクト強いというか印象的で、
CMとかにもよく使われてマス。

南米はカリブ海のトリニダード(現在のトリニダード・ドバゴ共和国)、この国の労働者がバナナを船に積み込むときの労働歌です。(日本でいうところの木挽き歌とか大漁歌とか、まあそんな感じ。いやさ、民謡って、もともとそういうものだし)

※木挽き歌と言うと、映画「絶唱」の中で百恵ちゃんが歌ってたこの歌がとても好きです


して、トリニダードと言えば、リンボーダンスとかスティールパンが有名かなん。

スティールパン

スペインからフランス、そしてイギリスの植民地となったように、西洋諸国に踏みにじられ、多くの国民が奴隷として貧しい暮らしを強いられて、悲しい歴史を歩んできた国でもある。

とは言うものの、
ハリー・ベラフォンテはトリニダードの出身者ではないし、ニューヨーク生まれだけどっっ お母さんがジャマイカ人でお父さんが仏領マルティニーク系黒人。(ナポレオンの最初の妻ジョゼフィーヌもマルティニーク出身。白人だけど)

なので、アメリカ人ではあるものの、
社会的マイノリティで差別の対象であった黒人という事もあって、彼は公民権運動やベトナム反戦運動、反核運動などに長いこと携わり、シンガーとしても核兵器、人種差別や戦争に対するプロテスト(抗議)的な楽曲をたくさん取り上げてきた<U.S.A. For Africaもその一つ

キング牧師の後援者として彼が逮捕された時には、その保釈金をすべて出したりしてね。

なおかつアメリカのフォークリヴァイヴァル運動を支え、多くの民謡とか伝統歌も取り上げてきたシンガーでもある。

また俳優やテレビのプロデューサーとしても活躍しており、エミー賞なんかも受賞していたりする。

して、wiki先生に三島由紀夫が…ベラフォンテのコンサートを見た感想が記載されてたので、まんまペーストしておく。

「ベラフォンテがどんなにすばらしいかは、舞台を見なければ、本当のところはわからない。ここには熱帯の太陽があり、カリブ海の貿易風があり、ドレイたちの悲痛な歴史があり、力と陽気さと同時に繊細さと悲哀があり、素朴な人間の魂のありのままの表示がある。そして舞台の上のベラフォンテは、まさしく太陽のやうにかがやいてゐる。

(中略)歌はれる歌には、リフレインが多い。全編ほとんどリフレインといふやうな歌がある。これは民謡的特色だが、同時に呪術的特色でもある。わづかなバリエーションを伴ひながら『夏はもうあらかた過ぎた』(ダーン・レイド・アラウンド)とか『夜ごと日の沈むとき』(スザンヌ)とかいふ詩句が、彼の甘いしはがれた声で、何度となくくりかへされると、われわれは、ベラフォンテの特色である、暗い粘つこい叙情の中へ、だんだんにひき入れられる。

声が褐色の幅広いリボンのやうにひらめく。われわれは、もうその声のほかには、世界中に何も聞かないのである。(中略)(私は)『バナナ・ボート』や、たのしい『ラ・バンバ』をことに愛する」

三島由紀夫

浜村美智子さんカバー 1957

やっぱ、浜村さんのはパンチ利いててワイルドです。


江利チエミさん カバー


お嬢 カバー


宝塚の舞台から 1965

なぜか男性ではなくて、
女性がカバーしたものが多いよねっっ


「Matilda / マティルダ」


「Danny Boy / ダニー・ボーイ」

ご存知イギリス民謡。

「Jamaica Farewell / さらばジャマイカ」


「Hava Nageela / ハヴァナギラ」


「Venezuela / 恋のベネズエラ」

ベネズエラというと、カーロス・リベラを思い出してまふ。

「Island in the sun / 陽のあたる島」

映画も色々出演しているんですけど…

「Bobby / ボビー」2006 予告

このエミリオ・エステヴェスが監督した映画では、元ドアマン役で出演。エミリオと言えばマーティン・シーンの息子でチャーリー・シーンの兄。

そんな感じで、ものすごくたくさんヒット曲を出して、俳優としても、たくさんの映画に出たってわけでもないけど…自分なりのポリシーを持って、主義主張ある歌を歌い続け、
社会運動家として…そうした活動の裏方として、キング牧師のような人たちのバックを支えて後援し、広く尽力してきた人って言うのがベラフォンテかも。

はい。バナナ・ボードと言う労働歌、恋だの愛だのが語られる、浮ついた歌詞の歌の中では埋没してしまう、ジャマイカ人奴隷の悲哀の歌を、世界的にヒットさせた功労はとっても大きいと思うのです。

そんな風に庶民の生活と共にあり、彼らにとって慰みであり、ありのままの現実や想いを伝えてきた民謡とか、日の当たらない人々や歌にスポットライトを当てて、それを歌い継ぎ、なおかつそのような人々を救済しようと頑張ってきた人…自身のキャリアを築くこととか、シンガーとして売れることとか、そういうことは一切無視して、ただ世の中に伝えたいことを伝え、支えたいと思った人たちを支えた結果としての人生を生きてきた人。

ベラフォンテにはそういった印象がありますな。

「La Bamba」


F2blogに書いてあるものを、訂正・加筆・リンク修正の上、こちらに再度マガジンとしてまとめてUPしています。

「My Favorites〜音楽のある風景」
 2021/08/07 掲載記事より転載


もし、こちらの記事を読んで頂いて、面白かった、参考になった…とそう思って下さったり、サポート下さいましたならば、心から嬉しく思います💛