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〈謎本〉『JR全駅駅前』 東京都・神奈川県

2011年発刊の『JR全駅駅前』 東京都・神奈川県編。

JR全駅駅前 東京都・神奈川県 | 千原 伸樹 |本 | 通販 | Amazon

 この本、日常的にJR線を利用している人からすれば、これはちょっと手が伸びてしまうのではないだろうか。私がこれを見つけたのは、とあるイベントで訪れた神奈川県立図書館の新館である。誰かのブログでは”ナゾの本”として紹介されているこの本だが、実際に調べると著者の千原伸樹は検索してもこの本以外に結果はヒットしない謎の人物であるし、出版社もまた独特な本を出版しているちょっと謎の出版社なのである。図書館に飾られることがなければ著者からも、出版社からも決して出会わなかったであろう本だが、ちょうど鉄道開業の特集コーナーを設置してくれたおかげで出会えた。そんな本を今回紹介したいと思う。
 本では路線ごとに各駅の駅構内図や1日ごとの乗車人数のほか、前後の駅名とその距離や駅弁の有無が記載されている。さらに駅ごとの待ち合わせ場所や駅ミシュランなる著者独断の評価と駅前の紹介文が記載されいる本である。特に駅ミシュランでは、”駅前の雰囲気”、”駅前の混雑度”、”美人パワー度”の3つが紹介されている。他の駅を紹介する本と違うのは、駅から降りた人が最初に目撃するであろう駅前の様子を写真で紹介しているので、結構イメージはつかみやすい。もちろんストリートビューを使えば済むことと言われれば、ぐうの音も出ない。また混雑度もグーグルマップで見ることができるし、今となっては他の情報もそれぞれインターネットで見ることができてしまう。とはいえまだネットやグーグルマップなどが市民の手のうちに収まる前などは結構有用だったのかもな、とも思う。
 この本が神奈川県内と東京都の各駅の雰囲気をざっとではあるがまとめてみやすい点はまだまだネットにも勝るだろうし、まちを歩くときの一つの切り口として駅のつくりに目を向けるきっかけや路線ごとに紹介されているため各路線の特徴や歴史から地域を知るきっかけにもなるかもしれない。この本を片手に駅の変化を楽しむのもありだし、駅だけでなく駅間の街並みや鉄道施設のつくりに目を向けてみても面白いかもしれないと感じる。例えば私が日常的に利用する横須賀線だが、厳密には横須賀線は鎌倉市の大船駅から久里浜駅までの部分を指す。そのエリアでは駅間でかつて軍事的にも重要だったことから鉄道の敷設が早く、鉄道設備の中でも古い作りであるレンガ造りのトンネルや橋梁を多く見かけることができる。ただの車窓が、意味ある風景に変えることができるのだ。
話が脱線したが、さっそく友人に紹介すると不動産屋なんかにありそうねといった答えが返ってきたが、確かに住む場所を考えるのにも使えそう。本の冒頭には多様な使い方をしてほしいという著者からのコメントもある。もしこの本を知っていて「自分はこんな使い方をしている」「こんな使い方をしてはどうか」などご意見のあるツワモノがいたらぜひコメントいただきたい。今でもこうした情報をまとめて提示してくれるものは少ない。グーグルの回し者かと思われてしまいそうだが、あえて言うならグーグルマップくらいであろう。あらためてグーグルマップのすごさが分かったところでこの本の紹介を終えることとする。

なお、各切り口についてはインターネットでより詳しく、そしてかなりタイムリーに更新されているサイトがいあるのでいかに紹介する。
・駅構内図 
→これは鉄道各社のサイトが結局見やすい
各駅の乗降者人数 
→これは各社ごとより、個人的には全国で見れた方が面白いので、全国版を紹介
駅弁のある駅
→このサイトが多分一番見やすい印象。
待ち合わせ場所
→待ち合わせ場所でまとめているのはこのサイト。主要な駅ごとには紹介されているが、網羅的にみられるのはこのサイトくらい??

以上、ご覧いただきありがとうございました。



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