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【書籍紹介③】辞書編纂者の裏側、苦悩の物語

みなさんは、英語の辞書は何を使っているでしょうか?
オックスフォードやロングマン、ジーニアスなど、学習者向けの辞書が学生時代に使っていたことと思います。

私たちが何気なく使っている辞書は誰が作っているものなのでしょう?
国家の中でもエリート中のエリート?国の官公庁が作成している?

そんなことはありません。
辞書は、出版社が作成、見直し、追加をしているものなのです。

タイトル:
ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険
オススメ:言葉の成り立ちに興味がある人、翻訳に携わっている人
読み応え:☆☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆



言葉は、人々が使用することによって定義づけられる

まず押さえておきたいのがこの点です。
最近では、「若者の言葉が乱れている」「おじさん/おばさんたちの言葉遣い古すぎ~」など、言葉は古くもなり、新しくどんどん登場していきます。

私たちが昔の名作を読んだときに、「あ。この言葉古いな」と直感的に感じるのは、今は日常生活で使わないけどねという意味を多分に含んでいます。

また、正しくない意味で人々に使われた結果、意味が上書きされることもあります。

本書で登場してくるのは、ウェブスターというアメリカの英語辞書を制定する際の苦悩などを綴ったもの。
・その言葉がどんな文脈で使われていたのか?
・その言葉を最初に言ったのは誰だ?どんな文脈で言っていたのか?
・一般的によく使われる意味は何なのか?

を、辞書編纂者が数多の文献にあたり、定義づけしていくのです。
なかには、一見関係なさそうな化粧品のパッケージで使われている言葉にヒントを貰ったり。作家が自分で造語として書いたのが発端で、人々に使われるようになったり。
この本で紹介されているエピソードには、
辞書編纂という仕事がいかに責任重大で、重労働かどうかがにじみ出てきます。

辞書編纂という、膨大な資料にあたり意味を抽出していく、定義付けしていく作業には、私たちライターにも通ずるものが大いにあると思いました。

未知の情報ばかりで、スラスラと簡単に読み進められるものではありませんが、読み切った時には、言葉の成り立ちについて見解が深まることでしょう。

あまりにも情報量が多いので、紙の書籍で購入することをお勧めします。


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