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独学の教室──英語編 【読書感想】

私生活で英語学習が必要となったため、以前感想を書いた「独学の教室」とから英語学習について解説している予備校講師の「澤井 康佑」氏の独学についての持論を紹介する。簡潔にまとめると「英語4技能の学習にネイティブとの会話は不要」という内容だ。

大金不要、ネイティブ無用 独学の英語学習

「身に着けたい技術は何ですか」
「学生時代にもっと勉強しておけばよかったことは何ですか」

こんな質問で上位にくる回答。それが英語だ。ではこの願いをかなえる方法は何か?その一つに「英会話学習」を挙げる人もいるだろう。例えば「ネイティブスピーカーと英会話学校で交流する」「留学する」という具合だ。


しかし、澤井氏は「大きな成果を望むなら遠回りだ」と切り捨てる。

澤井氏によれば、こうした発想は”日本語の成功体験”から来ているという。我々は日本語ネイティブとして幼少期から圧倒的質量で学んだ結果、意識せずとも文法的に正しい日本語を操れるようになった。

しかし、外国語をこのアプローチで習熟しようとしても大きな成果は見込めない。挨拶や簡単な言い回しは覚えられるが、複雑な文を理解し、生み出すことはまず不可能だからだ。

まずは文法と単語をを叩き込め

では、澤井氏が勧める独州方法とは何か。それは「語彙を増やし、文法書の内容を叩き込め」ということになる。

文法書の内容をモノにすれば、4技能の本格的な学習に向けての前提が満たされる。

例えば読解力を身に着けるために、こうした方法に異を唱える人は少ないだろう。読解の参考書の解説は大半が文法構造の説明だが、文法力があればこれが理解できるため、独りで読解力を要請していける。

リスニングの学習方法も読解力学習のやり方を少し変えるだけでいいという。「音を聞く→何と言っているかを考える→答え合わせをする」の繰り返しだ。

理解できない部分はストップをかけて繰り返し、聞き取れるまであるいは「もう無理。これ以上は何回聴いても同じだ」と思えるまで聴いた上で回答のスクリプトを見るというプロセスが不可欠だ。

スクリプトを観て、「なるほど!この音はあの語か。こんな音になるんだ」という体験を積み重ね、聞き取れる言葉を一つ一つ増やしていくのだ。

しかし、このプロセスはネイティブとの学びではまず望めない。生身の人間相手に10回20回と同じことを言ってもらうのは気が引けるだろう。結局のところリスニング力を効率よく鍛えるための教材は音声教材とスクリプトなのである。

そして「書く」と「話す」
話す能力は書く能力の延長線上にあり、書く能力とはすなわち英作文の能力である。ネイティブは文法を自覚しておらず、ましてや日本語での英文法用語など知らないので、説明はできない、

日本の参考書のレベルは素晴らしい


筆者は言語学者の人に、文法書の製作について相談したことがあるという。その時、言語学者は改めて巷の文法書を研究してくださったそうだが、日本文法書は「よくできている」との評価だったのだそうだ。

日本の英語学習者は、まず英文法と語彙力を身に着ければ、綺羅星の如き参考書で日々、好きな時間に好きな場所でネイティブにも教員にも頼ることなく独りで英語が学習を進められるのです。

本気で英語を何とかしたいという人は、自分を含めてこの絶好の環境にいる幸運に目を向けてもいいのかもしれない。


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