トリコロール

読書や映画の感想を描いていきます。読書は基本的に、自身が感じたポイントを3点以内でまと…

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読書や映画の感想を描いていきます。読書は基本的に、自身が感じたポイントを3点以内でまとめます。

最近の記事

免疫力を強くする 【読書感想】

「免疫力を強くする」と謳う健康食品やサプリメントは多数あるが、医学的に信頼できるエビデンスを持つものはほぼ皆無である──。 このような警鐘を鳴らす本書。結論から言うと、免疫力を強くするには血流やリンパの流れをよくすることがサプリメントよりずっと役に立つ。そしてストレスをなくすことだ。具体的には、ゆっくりと呼吸をしながらウォーキングやヨガなどの筋肉運動をする、あるいはゆっくりと体温を上げる。 ただし、詳細は後述するが、この場合の上がる免疫力というのはからだの防衛能力の全体の

    • 刑務所わず【読書感想】

      シャバの皆さんこんにちは 刑務所の中はシャバでは味わえない、常識では考えられない体験の連続だ。ちょっとは気になる人もいるはず。そんな「塀の中」をホリエモンがスタッフに宛てた手紙からリアルタイムでメルマガ配信。文庫にあたって加筆・修正した。 獄中記はいろいろあるが、ほぼリアルタイムで伝えたという点でかなり珍しい。看守からも人気だったそうだ(笑) Kindle Unlimitedで無料 地獄の沙汰も"人"次第 刑務所でも金銭が必要になることは有名だが、堀江氏の場合は「人

      • 東大生の本棚 【読書感想】

        東大生はなぜ、マンガや小説を読むのか?ストーリーが持つ学習効果 「東大生は~」と殊更にありがたがる本はあまり好きではないのだが、東大生は書物の読解力や文章作成能力などの「国語力」が高い集団であることは間違いないだろう。そうした東大生100人への調査を基に、「どのように本を読むのか?」「どのような本がおすすめなのか?」を紹介する本。 東大生は実用書や教科書ばかり読んでいるのか?というとそうではなく、物語やマンガも積極的に読んでいる。 本書は物語を読む効果を2つ挙げている。

        • 劉備と諸葛亮 カネ勘定の『三国志』 【読書感想】

          日本で人気の「三国志」だが、各人物のイメージのほとんどは西暦14世紀頃に作成された「三国志演義」から来てるはずだ。私自身は、三国志のイメージはほぼ横山光輝の三国志から出来ている。 結論から言うと、その三国志のイメージを、名君「劉備玄徳」と名軍師「諸葛亮公明」に焦点を当ててひっくり返すという試みの書である。タイトルにある「カネ勘定」やその他の記述、実際のエピソードで見れば、この2名は決して民思いでも誠実でもなかったのではないか…という姿が浮かび上がってくる。 ①劉備ーだまし

        免疫力を強くする 【読書感想】

          戦略読書 【読書感想】

          「ビジネス書中心路線」が行き詰った──。 読書とは本来楽しむためのもの。しかし、読書を仕事や人生に役立てたいという欲望を抱くことは珍しくないだろう。先輩や同僚が勧める「定番書」を読むこともあるはずだ。 しかし、「みんなと同じ本を読んでいたら、みんなと同じようなことを言うようになった」ーという体験を語るのが本書の著者である三谷宏治氏だ。 三谷氏は子供のころからSFや歴史を中心に、貪欲に読書を楽しんでいた。しかし、コンサルタントへの就職を機に、課題図書をはじめとして、1年半

          戦略読書 【読書感想】

          スマホ脳【読書感想】

          スティーブ・ジョブズはわが子にiPadを与えなかった。ビルゲイツも、14歳まで我が子にスマホを持たせなかった。 実はITに詳しい人ほど、子供からスマホ・タブレットを遠ざけようとする。なぜならその危険性を知っているからだ。スマホと、スマホから繋がるサービスにはドーパミンを出し気持ちよくさせ、見続けたくなる工夫が目白押しだ。 ①マルチタスクは悪 集中力が現代社会の”富”である   私たちはスマホを観ながら別のタスクをするといったマルチタスクをしがちだが、マルチタスクは集中力

          スマホ脳【読書感想】

          「本の読み方」で人生が思い通りになる 読書革命 【読書感想】

          いささか大げさな感のあるタイトルだが、読書術について紹介する本だ。読書術というと「本を速く読むか」「読んだ後記憶に残すか」という話が多い。それに対して本著の金川氏は「読書は知識を得るためではなく、思考を磨くためにある」と話す。 そもそも読書のメリットとは何だろうか? 読書から得られる知識は膨大だ。しかし、肝心なのは知識や情報を基に思考し、情報を分析して判断する能力を鍛えることだという。金川氏の読書では以下のプロセスを辿る。 ①情報を取り入れる ②その情報を基に多方面から

          「本の読み方」で人生が思い通りになる 読書革命 【読書感想】

          「何者」かになりたい 自分のストーリーを生きる【読書感想】

          博報堂出身、現在は「GO」という会社を経営する広告屋の三浦崇宏氏が9人のクリエイター/リーダと対談する本。三浦氏はSNSによる監視体制が発達した現代を「大物にはなりたくないが、何者かにはなりたいと多くの人が願うようになった時代」と分析する。こうした時代に生きる人と対談を重ねてその物語を紹介しようというものだ。 対談するのは、個別の問題の中にこそ、真実があると思うから。インタビューで「これから世の中どうなりますか?」と問いかけられても漠然としたことは語れる。だが、目の前の個別

          「何者」かになりたい 自分のストーリーを生きる【読書感想】

          変われ! 東京 自由で、ゆるくて、閉じない都市【読書感想】

          建築家の隈研吾と、建築ジャーナリスト/研究者である清野由美氏が対談しながら東京を語る本。冒頭は隈氏のこんなナイーブな筆から始まる。 国立競技場を製作した建築の大家である隈研吾氏は自分を「円熟とはほど遠いガキ」と評し、上記の文章を書くようなナイーブさは青年期のような印象だが、実際に建築家として東京を批評する目線は老練のそれであり、手厳しい。 大都市や工場、オフィスビル、電車に人が効率的に詰め込まれる様を「オオバコモデル」と同氏は呼ぶ。東京はオオバコモデルの優等生であり、今な

          変われ! 東京 自由で、ゆるくて、閉じない都市【読書感想】

          始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎【読書感想】

          人類史上、中国ほど何度も統一された国はほかに存在しない。ローマ帝国は崩壊後、二度と再興しなかった。インド半島の大部分を平定したマウリヤ朝も、アショーカ王の死後に分裂し近代まで統一されなかった。 それに対し、中国は例外はあるにせよ、2200年前から中央集権体制で統一された状態が基本であった。その淵源は本書のタイトルにもある「始皇帝」による初の統一帝国・秦にあるというのが本書の主張だ。 なぜ中国は統一されなくてはならないのか? 中国は何度も国が変わっている。しかし、不思議な

          始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎【読書感想】

          【読書感想】論語と算盤

          渋沢栄一という「資本主義の父」 JR、日経新聞、東京ガス、サッポロビール、みずほ銀行… 私達が普段触れているこれらの身近な企業、すべての創立に携わっているのが渋沢栄一だ。近代的な金融システムや企業の構築に力を尽くし、「日本資本主義の父」と評される。新しい1万円札の顔であり、大河ドラマ『晴天を衝け』の主人公にもなった。 本書は渋沢栄一自身が執筆したのではなく、講演をまとめたものである。タイトルの通り孔子の「論語」についてと、算盤は資本主義や商売について語っている。 商売を

          【読書感想】論語と算盤

          【読書感想】武器としての決断思考

          議論は何のためにあるのか? 日本人は議論が下手だと言われがちだが、それ以前に「絶対的な正解」にこだわりすぎているのではないか──。 そう指摘するのが、元東大法学部で、大学院をスキップして助手に採用されたにもかかわらずマッキンゼーに転身した瀧本哲史氏。東大法学部で、教授の助手というのはエリートコースであり、マッキンゼーへの転身については当時、周囲全員から反対された。 結果的にではあるが、その後は日本でもロースクールができて、実務家の教師が台頭し、研究者の地位が弱くなってい

          【読書感想】武器としての決断思考

          【読書感想】アメリカ黒人の歴史

          なぜオバマは2選できたのか? 第2次オバマ政権当初に出版された、アフリカ系のアメリカ黒人の歴史を振り返る本。 2008年に民主党からオバマ大統領が誕生した時、その得票差は共和党のマケイン候補に比べて955万票上回っており、まさに圧勝だった。 しかし、オバマは就任期間の4年間、目立った成果を出せなかった。加えて犯罪歴のある人間は一定期間選挙権をはく奪されるアメリカでは黒人の有権者が減って、2012年の選挙は「稀に見る接戦」と予想されていた。ところが、蓋を開けると497万票

          【読書感想】アメリカ黒人の歴史

          【読書感想】ロングセラー商品の舞台裏―ヒットを続けるのには理由がある

          イントロダクション 50年、100年と愛されている商品もある日突然生まれたわけではなく、必ず企画、開発、営業・宣伝に秘められた物語がある。特に記憶に残った「ホッピー」「キューピーマヨネーズ」「龍角散」について紹介。 商品①ホッピー:ホッピービバレッジ株式会社 現在は「焼酎割り飲料 ホッピー」として呑む機会が多いだろう。 1948年に長野県産のホップから製造。当時はビールが高価で、ノンアルビールも大半は粗悪だっため、ホッピーは発売当初から「粗悪なアルコールもホッピーで割

          【読書感想】ロングセラー商品の舞台裏―ヒットを続けるのには理由がある

          【読書感想】すべての疲労は脳が原因

          日本は疲労大国 ある調査によれば、「疲れている」と答えた日本人の割合は約8割に達する。我々は"疲れ”とどう付き合えばいいか。 実は、マラソンなどで肉体的な疲労を深刻に感じても、筋肉的にはかなりの余裕があり、”脳”の疲労の方が深刻なのだそうだ。よく紫外線カットサングラスをしているランナーがいるが、あれは目が弱い人が紫外線から保護する目的以外にも、視界に入る情報をカットして脳の負担を軽減する効果がある。 現代人が1日に受け取る情報は、1日でDVD2.9億枚分にも上るという推

          【読書感想】すべての疲労は脳が原因

          デービット・アトキンソンが"論破"する経済の俗説

          過去30年間、日本の経済はほとんど成長しなかった。経済政策に関しても当然、厳しいものが大半を占めている。これは仕方のないことだろう。詳しくはこちらの書籍から。 一方、ネットという新しい技術の誕生によって、これまで一切日の目を見ることのなかった俗説も注目を集めてしまった。ハッキリ言うと自称経済評論家が大手を振って跋扈している。 その多くはマクロ経済及び、財政政策の話であり、安易に政府のせいにしたがるものもある。筆者は成長戦略会議に参加したことがあるが、その席でさえ無根拠な俗

          デービット・アトキンソンが"論破"する経済の俗説