カワセミ

カワセミ

最近の記事

日立建機の財務分析

日立建機の概要図表1-1 単位:百万円 油圧ショベルなどの建設機器や鉱山向けの産業機器を製造している企業。 日本の建設機械業界でのシェアは小松製作所に次ぐ2位、世界シェアはキャタピラー、小松製作所に次いで3位となっています。 海外売上高比率は2023年時点で約82%。 また、新車販売だけでなく、部品販売、レンタル、中古販売、修理などのアフターサビスも行っており、これら新車販売以外の売上収益をバリューチェーン事業(VC)と呼び、今後の柱にしていくと語っています。 図表1-

    • セコムと綜合警備保障 (ALSOK)の財務分析

      両社の概要 セコムと綜合警備保障(以下ALSOK)と言えば警備業を代表する企業であり、売上高1兆1013億円で業界1位のセコムが売上高4922億円で業界2位の綜合警備保障に大きく差をつけています。また、この二社で業界シェアの約4割を占めています。(2023年時点) セコムの事業セグメントはセキュリティサービス(53%)、防災(13%)、メディカルサービス(7%)、保険(5%)、BPO・ICT(11%)、その他(4,5%)で構成されており、多角的な事業展開をしています。 ま

      • ジンズホールディングスの財務分析

        ジンズホールディングスの概要 アイウェア(眼鏡)ブランド「JINS」を全国展開しているアイウェア専門店。 SPA(商品の企画、生産及び販売まで一貫して行う企業形態)企業であり、物流過程で生じる中間コストの削減や自社に特化したサプライチェーンの構築によって、低価格でのメガネ販売を実現してきました。 しかし、SPA企業と言っても大規模な工場を保有しているわけではなく、生産工程の大部分は海外工場に外注しており、コスト構造的には他の小売業と同様に売上原価≒仕入原価と考えて良いで

        • 三菱倉庫と住友倉庫の比較分析

          両社の概要 両社とも社名に『倉庫』と入っていますが、実際には生産者から消費者に商品が届くまでの物流網全体をカバーしている総合物流企業となっています。 また、旧財閥系企業であり多額の土地を保有していることから、不動産事業も行っています。 ですので、事業セグメントは物流事業と不動産事業の二つに大別できます。 物流事業の収益内容は以下の通りです。 三菱倉庫 (倉庫保管料、倉庫荷役料、陸上運送料、港湾荷役料、国際運送取扱料) 住友倉庫 (倉庫収入、港湾運送収入、国際輸送収

        日立建機の財務分析

          愛三工業の財務分析

          愛三工業の概要 トヨタ系自動車部品メーカーであり、売り上げの約6割がトヨタグループ向け。 主力製品は燃料ポンプモジュール、スロットルボデー、キャニスタ、エンジンバルブなどの内燃機関向け製品である。 燃料ポンプモジュールは、2022年にデンソーの燃料ポンプ事業を取得したことにより、世界シェアの4割を占めトップシェアとなった。 海外売上高比率は約55%。 愛三工業の10年間の財務数値 図表1-1 単位:(百万円) 図表1-2 単位:(百万円) 図表1-1のROIC

          愛三工業の財務分析

          レンゴーの財務分析

          レンゴーの概要 包装資材を製造する企業で、製紙業界3位。板紙、ダンボールの製造では最大手。 日本で初めてダンボールを事業化した会社である。 板紙・紙加工関連事業、重包装関連事業、軟包装関連事業、海外事業の4つのセグメントで構成されている。 海外売上高比率は約20%。 レンゴーの財務数値 図表1-1 単位:(百万円) 図表1-2 図表1-1のROAの推移を見ると、2014年から2022年にかけて、大幅な改善傾向を示しています。 図表1-2は、ROAを総資産回転率

          レンゴーの財務分析

          セブン&アイの財務分析からバリューアクトの主張を考察

          今回はセブン&アイの財務分析を通して、バリューアクトの主張の一つである「不採算部門を切り離して、コンビニ事業に資源を集中すべし」の根拠について考察していきます。 セブン&アイの財務数値 図表1-1 単位:(百万円) 図表1-2 単位:(百万円) 図表1-1 の営業収入の推移は、2022年に大きく上昇しており、図表1-2の財務レバレッジと負債も同じような動きをしています。 これは2021年に、アメリカでガソリンスタンド併設型コンビニチェーンを展開するスピードウェイを負債

          セブン&アイの財務分析からバリューアクトの主張を考察

          日本製鉄の財務分析

          日本製鉄の概要 2012年に真日本製鉄と住友金属工業がの合併により誕生。 日本最大手の鉄鋼メーカーであり、世界第3位の規模を誇る。 製鉄事業、エンジニアリング事業、科学事業、システムソリューション事業の4つの事業単位で構成されている。 海外売上高比率は約35%。 日本製鉄の財務数値 図表1-1 単位:(百万円) 図表1-2 単位:(百万トン) 日本製鉄の売上高の約9割が製鉄事業によるものなので、今回は製鉄事業に絞って考察していきます。 図表1-1の売上高の推

          日本製鉄の財務分析

          タカラトミーの財務分析

          タカラトミーの概要 2006年にタカラとトミーの合併により、誕生。 トミカ、プラレール、ベイブレード、リカちゃん、チョロQなどの数々のヒット商品を生み出してきた玩具メーカー。 2015年から2017年の二年間、オランダ出身で日本コカ・コーラ副社長、サンスター株式会社執行役員等を務めたハロルド・メイ氏がCEOに就任し、経営改善により業績がV字回復。 海外売上高比率は39.3%(2023時点) タカラトミーの過去10年間の財務数値 図表1-1 単位(百万円) 図表1

          タカラトミーの財務分析

          ホクトの財務分析

          ホクトの概要 長野県長野市に本社を構える、食用キノコの製造企業。 食用キノコの他に化成品(キノコ栽培用資材、食品包装材)、キノコ関連の加工食品の製造も手がけている。 米国、台湾、マレーシアでの製造販売を行っており、海外売上高比率は8.9%(2022年時点) 新品種の研究開発も積極的に行なっている。 10年間の財務数値 図表1-1               単位:百万円

          ホクトの財務分析

          フジ・コーポレーションの財務分析

          フジ・コーポレーションの概要 タイヤ、ホイールの専売店を直営展開しており、ネット販売も行なっている。 タイヤ、ホイールメーカーのナショナルブランドの取り扱いだけでなく、プライベートブランドをメーカーと共同開発している。 ITとロボティクスを導入した最先端の大規模な物流倉庫を保有しており、オートメーション化に力を入れてきた。 インターネットで注文したタイヤを協力店(ガソリンスタンド等)で受け取ることができ、取り付けもしてくれる。 10年間の財務数値 図表1-1

          フジ・コーポレーションの財務分析

          三協フロンテアの財務分析

          三協フロンテアのおおまかな概要 ユニットハウスやトランクルームなどの建設用設備機材の製造、販売を行なっている。 ASEAN地域への進出のためミャンマーとマレーシアに子会社を持ち、シンガポールに支店が存在する。 製品販売だけでなく、製品のレンタルも行なっており、売上高の半分以上がストック型の収入である。 2022年に従業員の着服や売上の先行計上などによる不適切会計が発覚した。 三協フロンテアの10年間の財務数値 図表1-1

          三協フロンテアの財務分析

          日本ペイントと関西ペイントの比較分析

          日本ペイントと関西ペイントの利益構造 日本ペイントと関西ペイントの総利益率の内訳は以下のようになっています。   注:売上総利益率=販管費率+営業利益率 売上総利益率と販管費率は、日本ペイントの方が高いことから日本ペイントが売上原価を抑制し、それによって得られたマージンを販管費に投入している様子が見て取れます。 ではどのようにして日本ペイントが売上原価を抑制しているのでしょうか。 日本ペイントの売上原価の考察 図表1-1

          日本ペイントと関西ペイントの比較分析

          日本ペイントの財務分析

          日本ペイントのおおまかな概要 日本ペイントは日本の塗料メーカーであり主に自動車用塗料、汎用塗料(主に建築用)、工業用塗料を扱っています。 日本で塗料事業は成熟産業となっており、大きな成長が期待できないことから、海外展開を推し進めたことで海外売上高比率が80%を超え、中国・アジアでの売り上げが約53%になっています。(2021年度時点) 海外事業を拡大してきたことによってアジアでのシェア1位、世界シェア4位にまで成長しています。 日本ペイントの財務数値 図表1-1  

          日本ペイントの財務分析