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十割日本!

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板さんの寄り合い所 - ガブマル食堂

板さんの寄り合い所 - ガブマル食堂

 高松に滞在している間に一番足を運んだお店、それは何と言ってもダントツで「ガブマル食堂」。毎日毎日、しげしげと通ったお店だ。名前からして行き易い、なんたって「食堂」だもの。おまけに寿司中川の並び、徒歩1分、さっさっさっさっさと歩いて行ける。が、初めてお店の前まで来た時、「うーん、これが食堂?」と、ストリート・アート並みに描(書)き込みされた木枠のガラスの引き戸に、もろ「平成」の違和感を感じる。少な

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酒肴 天馬 – 天将 雅子

酒肴 天馬 – 天将 雅子

 天馬が見つからない。百間町を行ったり来たりするが、ない…。何度か通り過ぎた末に、「もしかして、ここ?」と、看板も何もない、ただ戸の開け放たれた入り口の中を覗いて見ると、「あっ、いた。」酒肴天馬の女将、馬渕雅子さんが、カウンターの中で何かゴソゴソやっている。「こんにちは。探しましたよ、もう。」「ええ、そうなんですよね、うちはのれんしかないから。」
 なるほど、のれんか。確かに、かかっていなかった。

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ソムリエ・バッジのシェフ Cantonese 楓林

ソムリエ・バッジのシェフ Cantonese 楓林

 長いヨーロッパ生活の中で、私は10年ほどパリに住んでいた。正確には、そのほとんどをパリから15mのところで、そして最後の3年を13区の中華街のすぐ横で、暮らした。13区に住んでいる時は、時間が不規則なコーディネイトの仕事のせいで、朝6時から真夜中過ぎまで開いている中華街が、とても重宝した。そして本場から来た人たち(と言っても華僑が多い)の同胞のために作る料理が美味しかった。
 たまに日本へ戻ると

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じょかーれ!よかーれ!GIOCARE!

じょかーれ!よかーれ!GIOCARE!

 昨年7月、スペインに高松CHAVALS(「高松若大将連」とでも言っておこうか)がやってきた時、中川さん以外は全員初対面だと思っていた。が、違った。以前、高松で入った高知料理の店が酷過ぎて、飲み直しならぬ食い直しに中川さんの店へ行った時、「おっ、外したな。うちに連チャンで来た人、初めてや」と笑いながら食べさせてくれた後、「一緒に飲みに行こう」と連れてこられたのが酒肴天馬、馬渕雅子さんの店だった。ま

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二刀流に憧れて - れんげ料理店

二刀流に憧れて - れんげ料理店

 大岡さんと別れた後、岡山で寄り道したせいで、高松へ戻るのが遅くなり、その日はお昼を食べずに終わった。しかも午後から雨になり、ちょっと憂鬱。夕食は八時半なのでまだ時間はあるが、雨は止みそうにない。今晩行くれんげ料理店は、ホテルからちょっと離れている。どうしよう。歩こうか、それとも、タクシーにしようか。
 結局、八時を過ぎても雨が止まず、ホテルを出てすぐにタクシーを拾う。が、それがちょっと裏目に…。

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うわぁー、O O O KA さん

うわぁー、O O O KA さん

 高松二日目、私たちは中川さんたちとドライブに出た。行き先は岡山。フランスで「Hirotake」の愛称で親しまれていた大岡さんが、突然日本に引き揚げ、岡山にワイナリーを開いて、すでに久しい。大岡さんとは、ある真夏の日、ローヌの井戸底の気温14度のカヴで、Tシャツ1枚、4時間も話し込んだ想い出がある。その大岡さんに会いに行く。
 最初は、私たち二人で電車で行こうと思っていた。そのことを中川さんに告げ

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一生一代の衝撃、寿司中川

一生一代の衝撃、寿司中川

 小豆島を後に、さぁ、高松入りだ。高松と言えば、言わずと知れた寿司中川。もう何年になるだろう。ずいぶん前に、金毘羅山の麓にある酒蔵「悦び凱陣」を訪れた際、「美味い寿司屋があるから」と蔵元の丸尾忠興さんに連れられて来たのが、最初だった。その日丸尾さんは酒の仕込みの最中で、「中川さん、後はよろしく!」と私たちをおいてすぐに帰られた。今でも忘れられない出来事が起こったのは、その後だ。
 先客がいるカウン

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島宿真里、「聞こえるかい、海の音」

島宿真里、「聞こえるかい、海の音」

 松山からは電車で高松まで行くことになった。そしてフェリーで小豆島へ。当初は時間に余裕をみて、池田港行きのフェリーに乗ろうと思っていたが、ATMを探しているうちにフェリー乗り場へ来てしまい、草壁港行きのフェリーにまだ間に合うと言うので、そのまま乗ってしまった。船上から電話を入れると、真渡寛君が迎えに来てくれると言う。
 実は今回の一時帰国、高松へ行くことが大きな目的だった。と言うのも、昨年のH2O

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連帯のグルメ、ん?「さかな工房 丸万」

連帯のグルメ、ん?「さかな工房 丸万」

 フランスにいる時は、結構YouTubeで日本のテレビ番組を観ている。中には当然グルメ番組もあり、「孤独のグルメ」もその一つだった。松重豊が演じる井之頭五郎のお話は、結構楽しく観ているけれど、それじゃ実際に「行ってみたい」と思う処は、意外とない。そんな中、松山にある「さかな工房 丸万」だけは、絶対に行きたかった。

 その松山は広島の対岸。となれば、船で渡るしかないじゃん。広島からはスーパージェッ

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さかもと屋市兵衛

さかもと屋市兵衛

「大丈夫、一時間に一本バスがある。なにせうちはメインストリートに面しているから」と、ヒトミワイナリーの岸本代表が笑いながら言った一言が、忘れられない。これって凄いんだ。今まで車で40万キロ以上もヨーロッパのワイナリーを巡っていて、こんなこと、一度も考えたことがなかった。なにしろ、飲みすぎなければ、常に運転していたから。その点日本は、(特に東京での乗り換えのための早歩きや階段の登り降りを除けば)なん

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信楽採酒使

信楽採酒使

 今回の一時帰国、私たちはほとんど地方で過ごすことになった。丸一日東京にいたのは、買い物で初めて豊洲市場を訪れた2月28日だけ。それにしても豊洲はなんと味気のないところか。築地という日本の文化が、また一つ葬り去られた。この事実は否めまい。何故、時の流れを止めずに、変わらぬ夢を流れに求めないのか。残念というよりも、悔しい。
 反面、3月2日に訪れたヒトミワイナリーでは、そんな夢を見させてもらった気が

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寺田本家

寺田本家

 約三週間ぶりの投稿。久しぶりに、本当に久しぶりに、日本へ行っていた。四年半ぶりの一時帰国。その間フランス(ヨーロッパ)とはずっと音信不通のまま、だからFBもブログもみんなお休みして、「十割日本」を楽しんだ。そもそも、家を出たらナヴィ(+日本では駅探)以外、基本的にモニター(スマートフォンやノートブック)なんて見たくない。だってもったいないもの。小さな画面には収まりきらない、目の前で起こっている面

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