『ワンダリング・ノート』 Episode.3
トム:・・・消えちゃった。何の文字だったんだ? よく読めなかったけれど、英語ではないみたいだった。
ルナ:・・・。
チャーリー:トム、今は詳しく説明している暇はないが、君に伝えなければならない事がある。私が探している男「ダン」について、だ。君は一度、その男に「この世界」のどこかで出会っている。
トム:ちょっと待ってください。話が色々と飛びすぎていて、整理ができません。僕は自分の記憶を取り戻すために、この世界に戻って来たんです。いや・・・正確にはどの世界だったか・・・?
チャーリー:君のその記憶の鍵を握る男が「ダン」なのだ。私がその男を追っている理由は・・・今は言えないが、奴に関する事を何でもいい、思い出してくれないか?
トム:・・・よくわかりませんが、あなたはさっき、ルナに対して不思議な力を振るって押さえつけた。あなたを信用していいかわからない。
チャーリー:待て、そこのベンチで掃除をしていた「男性」の変貌ぶりを見ただろう?少なくとも、私は君たちを危機から・・・おい!
トム:行こう、ルナ。・・・チャーリーさん、僕は僕のやり方で、記憶を取り戻します。ここの世界にも、それほど長くはいられそうもないので。先ほどはありがとうございました。
チャーリー:ふう・・・まずったかな? まあいい、物事には優先順位というものがある。そして、私を追って来たのか、先回りしていたのかは知らないが・・・出て来たらどうだ?
シルク:やあ、また会ったね、一輪車のおっさん!
トム:えーと、この一輪車に触れて、戻って来た世界が「現実世界」で、そこで今度は絵本に触れて・・・さらに「絵本の世界」に来たんだっけ?
ルナ:あなたの記憶が混乱すればするほど、予想外の事象が発生してしまう。現状を把握してそれをあなたに理解してもらう。そうすることで、このあらゆる世界は確定する。あなたの不用意な思考も影響する。
トム:全て僕のせいだって言いたいの? じゃあ、僕はどうすればいいんだよ!一番わからないのは、僕自身なんだ!どうして君はそんな、淡々とした口調で・・・はっ!?
ルナ:?
トム:そうだよ、何かそんな事で喧嘩していたんだ・・・あの日はとてもいい天気だった。気分転換で公園を散歩していて、絵本を見つけたんだ。君との喧嘩なんて、馬鹿馬鹿しくなる位に面白い本だった。そういえば、君はおにぎりが大好きで、いつも公園のベンチで・・・一緒に食べたよね?
ルナ:何を言っているのか、わからない。トム・ホーソーン?
トム:ごめんね、「レナ」。
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