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ポエム

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2019年3月の記事一覧

スノードームを返してから

夜寝る前の時間はしんとしていて、テレビを消したらほかにすることがなくなってそのまますとんと夜へ落っこちるみたいな欠落感みたいのも好きで、いつまでもいつまでもしーんとしていたくなる。そうなると、スノードームをひっくり返すみたいに、外の世界のことを思い出す。寝る前、ふとんに入ってからもわたしは外にある自分より、この家よりももっとずっと大きなもののことを考えたくなる。あるいはそれは祈りに寄せて。ずっと遠

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(ポエム)空の下、ぼくは洗濯をする

別に特に思想があるっていうわけじゃないんです。ただ、地に足をつけて歩きたくない、っていうだけで。一歩、一歩あるくごとに僕は、ああ、頭の中を、今もっと風に吹かれたいみたいな考えにとらわれはじめてくる。ざぶざぶざぶ。あたまのなかを、そうやって洗浄したくなる。そうやってあるときは世の中の、疾走感のあるものごとにしがみつきたくなります。そうすればもう見ていたものごとも、自分の思想も、見えなくなる。空はもう

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理由

自分は悲しみ過ぎるのが厭で、それにしたたかさを加えたようなのもあまり好きではないし、かと言って、やたら明るさで誤魔化されるのも腹がたつし、方法論を持ちだされたとしてももう、使い古されていて、それは全てを救うものじゃないと思う。だったら、自分なりのものをこしらえるしかない。そうして振り出しに戻る。世の中の女は皆、悲しがり過ぎる。たしかに世の中は平等でないし、性はいつも喰い物にされ、少しも、まったく生

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(詩)とうめいになりたい。

帰り道、コンビニの店員さんがいつもと違う人でほっとした。僕はこんなに、紛れ込みたいんだなあと思った。例えば、皆が同じ顔になる。毎回、違う店へ行く。そうして、僕は日々を自分の手で切り取っていく。現実は地続きだから。人と会うと、前の自分を思い出すから。僕は、透明になりたい。電気のスイッチを押すみたいに、僕を辞めてしまいたい。何かに自分の身体を隠してしまいたい。どうして皆はそう考えないんだろう。サイクル

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