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本と私

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今日が来ること それは大いなる喜び 『少女ポリアンナ』を読んで

今日が来ること それは大いなる喜び 『少女ポリアンナ』を読んで

先日読んだ本の中で、こんな台詞がありました。

一見なんてことのない少女の台詞が、この春、私の頭の中で鳴り続けているのです。

昨日がどんな日であれ、今日が来ること。
昨日という日が過去になり、新しい今日という日が訪れたこと。
これはどんな意味を持つのでしょうか……

最近私はこんなことを考えるようになりました。
私の半生は、捉え方次第で、喜劇とも悲劇とも言えると。

たとえば病気になったこと。

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『聞きたくて』 〜川端康成『雪国』を読んで詩を綴る〜

『聞きたくて』 〜川端康成『雪国』を読んで詩を綴る〜

『聞きたくて』

聞こえぬ声が聞きたくて
静寂の中ひとり耳傾ける

音のない部屋の中で
いつか読んだ小説の
知らない誰かの言葉が
体の内側で微かに響く

波頭のように
微風のように
花の上で休んでいた蝶のように

そしてするりと手の中からすり抜けて
また外の世界へと溶けてなくなる

その声の木霊を追いかけて
窓からこぼれる淡い夕日の中
ひとりその日を待ち侘びる

昨年、川端康成『雪国』を読み、いた

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三浦綾子『氷点』を読んで

春からゆっくり読み進めていた、三浦綾子『氷点』。
『続 氷点』も含めて、昨日読み終えた。

(あらすじはこちらのリンクから)

北海道の自然と共に繰り広げられる物語。

陽子の数奇な運命、彼女を取り巻く人々とじっくり向き合っていくと、私の心の中のしこりのようなものが、徐々に浮き上がってくるのを感じた。

こんな台詞があった。

これは、陽子が母の夏枝から嫌がらせを受けた時の台詞だ。

まさしく私が

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