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ドンマイ・ひきこもり2(哲学風ナンセンス コメディ):序

序:「メロス君、ソクラテスさんが呼んでるよ」

カーテンの隙間から、静かな銀色の光が差し込み、眠っていた心を蘇らせる。ふと目を開けると、月明かりが部屋に降り注いでいる。

時間を確認しようと思った時に、

突然、ドアに響くノック音により静寂が破られた。数秒後にドアが開かれ、そこには、手塚治虫のマンガの「火の鳥」に出てくる火の鳥のお面を被ったパジャマ姿のお母さんが立っていた。

「メロス君、ソクラテスさんが呼んでいるよ」

と母親は真面目な声で言った。私は驚きながら、「えっ?、どうしたの?」と尋ねた、それを見た母親はニコッと笑った声で居間に来るように言ってドアを閉めた。

私は恐る恐る階段を降り、一階の居間に向かった。

雨戸が閉まり、電気が付いた6畳の畳の居間には、ビッリマンチョコの「ゼウス様のような顔」のお面をつけたTシャツ姿のお父さんが座っていた。

私は少し距離を置いて、何が起こるのだろうかと不安になり、父親からの話を待った。

「やぁ、メロス君、いくつに成られた?」


「え?、っと・・34歳です。」

「もう、そんな歳か、週末はずっと家に居るようじゃが、そろそろ子供部屋を出て一人暮らしをしてはどうかね?」

「おっと、私はお父さんでは無いぞ、わしは『この世界とは何か』についてアテネいち詳しい賢者・ソクラテスじゃ。」

「・・だから、いつも言っているけど、お腹がグーグー鳴るのが恥ずかしいから外に行きたくても行きにくいんだってばよ。」

「だが、何時までも、そんな事を気にしてはいられないぞ、『汝、自身を知れ』と言う言葉を知っておろう?」

「それって、お母さんがいつも言っている『ありのままの自分を自分で受入れなさい』の言い換えでしょ?」

「そうじゃが、君にとって自分自身とは何かのぅ?」

「・・・何ですかね?」

「ワシが思うに、自分自身とは意識と肉体から成っている。
意識とは『・・・何ですかね?と感じたその君の意見』のことじゃ。

意識とは『我思う故に我あり』の自分を疑っている自分の事であり、
『すべての私の意見(優劣判断・善悪判断・欲求)は、私の心像と私の確信』であり、その私の意見を一般意見とせずに、

自身の意識(意見=内界)と日常風景(外界)と『他人の意見』の違いを自覚して受入れることが自分が自分を操縦する感覚になるのじゃよ。

この感覚は『私(自己愛・自己正当化)と世界(帰るべき日常)の関係≒私の損得勘定(絶対主義)と世界(日常=相対主義)とのバランス感覚≒自分自身へのコントロール感・信頼感』という『自分自身と自分以外の物事・世界』に対する関係を理解する基底になるんじゃよ。」

「ぽかーん」

「理解していないようじゃが、
自分自身を受入れるとは、自分の意識と肉体を受入れる事である。

人間の肉体のことを科学的に説明すると、
人間とは60億個の細胞の集合知であり、人間は遺伝子の95%がチンパンジーと一緒であり、人間も他の昆虫や動物と同様に心臓や腸内の制御は脳幹や小脳が無意識(細胞の集合知)で自動運転している。

私達人間と他の多くの社会的動物との違いは『大脳の機能』の違いに由来するものであり、人間の『大脳の機能』が現代文明や自由意志(言葉と文字を使ってウソ・幻想・概念化)を生み出したということになるんじゃ。

『自分の意思(優劣の判断)=自己正当化(自分の損得勘定)』を知ってその思考に振り回されないコツを得る事で心幸せに生きれるんじゃよ。

それが自分を受入れる(ありのままの自分を選択する)と言う事なんじゃよ。」

「我々人間の力と知性の源泉が大脳の機能とは夢の無い話ではあるが、そうなのかもしれないね。」

「話が合ったの~、ところで、今話した『科学的は人間観(人間中心主義からの脱却?)』の方向で『お腹が鳴るのを気にならなくなる方法』とグーグル検索してみてはどうだろうか?」

「ちなみに、グーグル検索(インターネット検索)システムとは、
個々の具体的な事物から共通の属性を抜き出して、全てに適合する性質を概念化して問題の最適解答を導き出すことを可能にするデータ・マイニング解析装置(データの最適化手順を行う装置)と言えるスゴイ装置なんじゃよ。」

「・・・?」

「そろそろ話を切り上げようかのぅ、さぁ、メロスよ、
『自由と責任のバランス=幸せの自覚』の見取り図を掘削(マイニング解析)する為の鍵は『無知の知』じゃぞぅ。

そして、その答えはどこにでもある。

よってインターネットの中にも答えはあるのじゃよ。
さぁ、行きなさい。」

「はぁ?・・・はい、行ってきます」、
とりあえず、そう言うと、オレは振り返って自分の子供部屋へ戻ろうとした。

居間のとなりの部屋でソファーに座ってこのヘンテコな会話を聞いていた火の鳥のお面を被ったままの母親は
「メロス、気を付けて行ってらっしゃい」と言った。

「お母さんありがとう、行ってきます」と答えてオレは階段を上がり、
子供部屋に入りドアを閉めた。

陽射しがまぶたの上を照らし、子供部屋を満たしている。
風が柔らかくカーテンを揺らし、空気は清らかだ。
目を開けると、カーテンの隙間から差し込む光が、眩しく、心地よい。
それは、新しい一日の始まりを告げる目覚めだった。

「・・・、なんだ、やっぱり夢だったのかぁ~」

「バランス?、幸せの自覚?、自覚の掘削?、なんだよそれ、うぜぇー」

「は~、マジで・・緊張するとお腹がグーグー鳴るわ、人の目もまともに見れない小心者だわの
『どうでもいい悩みで脳がフリーズ状態』の中二病患者のオレはこれからどうしたらいいのよ?、
もう先が見えているトホホな人生なんてさっさと終わりにしたいわww」

「・・、もうお昼前かぁ~、日曜日だけど予定無いし・・、ニコニコ動画でも見るか・・・」

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