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【掌編小説】鳥人間コンテスト #1

ープロローグー

九月一日。晴れ。
村瀬祐樹はぎゅっとハンドルを握りしめた。


夏が終わろうとしている。
高校三年生の夏に、値段をつけるとしたら、いくらの値がつくのだろう。

夏特有の広くまじりけのない空に、雲が駆けている。遠くには海が見えた。 

白い鳥が、村瀬の横をゆうゆうと横切った。気持ちよさそうに飛んでいる。一瞬鳥と目が合った気がする。

「おまえに飛べるのか」

言われた気がした。鳥の名前は知らない。

悔いはない。これで僕の夏は終わる。
それまで強く吹いていた風が止んだ。
今がその時だ。
前方にある、自作の踏切り板をめがけて、ペダルを漕ぐ。


全速力で加速した自転車は、三十階建てのタワーマンションの屋上から、勢い良く飛び立った。

数秒後、村瀬の頭は、西瓜みたいに飛び散った。



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