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空が青く見える…あたりまえのあり方を考えてみる

ちょっと早めの宿題?

2021年4月からnoteで記事を書きはじめました。初めはTwitterの延長で…と駄文を書き連ねて約3か月。みなさまに読んでいただくという営みを通じて、色々と気づくこと、また、気付かされることも多くなりました。

社会的には結構なオトナなんですが、読者みなさまの見識の高さと、自分が今までよくここまで厚顔無恥で生きてこれたことに、感心しています(苦笑)。

そんな厚顔100%で、特に用事もなく本屋に入ったところ、「新潮文庫の100冊」のコーナーがありました↓

そこには忌まわしき過去が…。

小学生、中学生…の夏休みで苦しめられた、あの「読書」の感想文によく出てくる立派な著作が並んでるんですよ。

幼き日、昔の悪夢を呼び起こしてくれる素晴らしい作品の中、ふと気になる表紙が。↓

私の目の錯覚だと思いますが、やけに鮮やかな青空の表紙、そして文庫としては薄め。これはチャンスと思い、購入してしまいました。

今回は、そんな青空の表紙が印象的な「空が青いから白をえらんだのです -奈良少年刑務所詩集-(新潮文庫)」の記事になります。

なお、本書は2011年に新潮社から文庫化されたもので、57編の詩集と寮美千子さんによる解説2編が加わったものです。

あと、寮美千子さん、全然知りませんでした。

ここでも、私の無知を堂々と晒すことにします😖↓

気になった詩

57編のうち、私が気になった詩はこちらです↓

あたりまえ

食べられる
眠れる
歩ける
朝を迎えられる
母がいる
みんな あたりまえのこと

あたりまえのことが
あたりまえじゃないんだと

あたりまえのなかのしあわせに気づかずに
薬を使って偽物(にせもの)のしあわせをもとめたぼくは
いまやっと 気がついた

あたりまえのしあわせ
あたりまえがしあわせ

「空が青いから白をえらんだのです-奈良少年刑務所詩集-」(2011、新潮文庫) p80〜81より

まず、この本で取り上げられている詩の背景から察すれば、薬物事件で収監された少年による作品だということはわかるでしょう。

薬物に手を出すことは"ニセモノ"のしあわせを掴むことと同義です。そして、出所し、二度と薬物に手を出さないこと、これが少年にとっても贖罪や更生になるわけですが…。

すきま風…

この少年には

食べられる
眠れる
歩ける
朝を迎えられる
母がいる

ことがあたりまえの日常だったわけです。

収監されている少年ですから、母との交流には制限があったと思われますが、食事、睡眠、(ある程度の制限はあるが)運動、そして翌日を迎えるという、ある種の規則正しい生活を過ごすことで、あたりまえの日常を取り戻すきっかけにはなったと思います。

しかし、青空の表紙越しの文庫に書かれた文字列からみた私には、ほんの少しですが烈風のごとき、すきま風が通過した印象を持ちました。

この少年がいう"あたりまえ"を、日常生活で、私自身、いや他の人も享受できていると実感できてしているのかと。

不幸中の幸いというか

私に限れば、"あたりまえ"の日常が享受できている、現時点で不自由してはいないことになります。

しかし、"あたりまえ"のありがたみを感じたことはあまりありません。強いて言えば、まだ母が健在だということでしょうか。

ただ、私も。

登校して、昼メシ食って、何やかんやで一日が終わり、床につき、朝を迎えた時に「おはよう」という母からの挨拶がある…
社会人になってからは、母から挨拶されることはなくなりましたが、仕事をして、ランチ食って、何やかんやで一日が終わり、床につき、朝を迎えて「おはよう」を迎える…

何気ない日常ですが、"あたりまえ"が失われたとき、その時の底知れぬ怖さをじっくり噛み締める機会にはと思います。

と同時に、この恐れが現実となりうる事態…もちろん病気であったり、昨今の異常気象による災害であったり、不毛な争いの犠牲になったりなどなどで簡単に"あたりまえ"では失われるんだと気付かされました。

私の中では、この少年の詩を読んだあと、浜崎あゆみの「SEASONS」(2000)の歌詞&PVが完全にシンクロしてしまい、心にできたすきま風の通り道に突き刺さった感じがしました。

しあわせの価値

浜崎あゆみのSEASONSの価値観と同時に、あのお笑いレジェンド・明石家さんまの「しあわせって何だっけ」(1986)の歌詞も頭の中を駆け巡りました。

このコメントをすると、さっきまでの話は何なんだと思われるかもしれません。

でも、しあわせって、あぶくみたいなもんだし、明石家さんまのダンディズムと哀愁漂う名曲にもあるんですよ、曲の終わりに雲のフレーズが…。それを知ってニヤリとできたこと。

青空を見ながら生きてるって、ある意味丸儲けな人生だなと思った私はチャラ男ですかね。(了)

(R3.7.19追記)
わたしとあんた様が素敵にカバーしてくれていました↓


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