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食卓までをイメージした演出の仕方。【まじっくひじき編】

商品をお店に並べるときは、色々な方法や手段があります。加えて言いますと、伝えるポイントも【味】なのか【素材】なのか、他にも色々特徴があるので迷ってしまう時があります。

ただ一つ共通しているのは、来店いただいているお客様が手にするということ。手に取るお客様の事を考えれば、『高さはこのくらいかな?』、『目に届きやすいかな?』、『食べたいと思っていただけるのかな?』と表現の仕方も整理されていきます。

私も色々な商品を売場というもので表現してきましたが、いまだに悩むことがあります。

それは【味】です。

味というのは人それぞれの食生活もありますし、甘い方が好きとか辛いものが好きとか、人それぞれの嗜好も異なってきます。『試食を出せば、簡単に伝わる。』ということで、新商品など出た時などは特に試食に頼ってきたように思います。

私は、この【試食】というものを頼らずに、お客様の味覚や食欲を刺激するような表現はないか。というのを常日頃考えるようにしています。その取り組みの一環を、今回はご紹介していきたいと思います。

人気の海の素材をご紹介。

弊社の直営店で人気なのが、【まじっくひじき】と言う商品です。まじっくひじきと言う商品名だけですと、『どんな商品なんだろう?』と考えてしまうと思います。簡単にご説明しますと、ひじきの炊込みご飯の素になります。

やますのまじっくひじき。

先日、弊社の茂木くんがズッキーニの料理noteでも取り上げていた商品になりますので、ご覧になられてない方は、こちらも併せてのぞいて見てください。

知らない方もいらっしゃるかと思いますが、初春のころ千葉県ではひじきの収穫が始まります。まじっくひじきは、この千葉の天津小湊で獲れるひじきを使用した炊込みご飯の素になります。

ひじきの収穫というのは、初春に行われるということもあり、まだまだ肌寒さも残ります。さらに言えば、磯といえど波のくる磯辺なので多少なりとの身の危険もあったりします。

ひじきの漁獲風景。

こうして漁師さんたちが漁獲してくれた千葉県のひじきを、一度佃煮のようにじっくりと炊き上げ、長い時間をかけて低温乾燥で仕上げたのがまじっくひじきとなります。

このまじっくひじきの特徴は、その柔らかさにあると思っています。通常炊込みご飯の素などにしようとすると、乾燥させたときにどちらかと言うと固く仕上がったものになってしまったりします。

そこを固めに仕上がらないように低温乾燥させてあるので、炊き込みご飯として炊き上がった後も、しっとりとした食感に仕上がります。この炊き上がりの感じも伝えられるようにしていきたいと、取り組んで見ました。

まずは自分で作ってみる。

私が売場で商品をご紹介するにあたって気をつけているのが、まずは自分たちでやってみると言うことです。それはレシピにしてもそうですし、味を表現するのもそうです。

さすがにすべてをすべて知ることは難しいことなので、要所要所でこういった商品の良さというものを考えるためにも、自分たちで確認するようにしています。

今回のまじっくひじきについては、炊き込みご飯に関して言えば、常日頃から炊込みとして試食を出していたり、商品自体にもレシピとして目安が記載されているので幾度となく経験はありました。

ただ浅漬けとなると。

そうなんです。このまじっくひじきは、今までひたすら炊込みご飯の素として伝えてきましたが、野菜と和えることで浅漬けもできるので、色んな料理の素としてもご紹介していきたい特徴があります。

その中で今回は、おそらく調理しやすそうなキュウリを選んで、浅漬けを作って紹介できるようにしていこうと、実際に作ってみました。

キュウリの浅漬けを作っているところ。

スライスしたキュウリをビニール袋にいれ、一緒にまじっくひじきを入れて揉み込むだけ。

『実際、簡単だなぁ。』

そんな事を思いながらも、これも売場で表現できたらなぁ。と考えていました。味的にも塩味も感じ、キュウリの食感もパリッと感じるので、ぜひやってもらいたいと思いました。

この浅漬けや炊込みご飯を今までお客様に伝えるとなると、イメージ写真を使ったPOPが中心でした。もっとお客様に伝わる表現。というのが今回のテーマでもあったので、より具現化することを考えて思いついたのが飲食店に並んでいるような食品サンプルでした。

あれを売場に落とし込むことができたら、飲食店の入り口でメニューを選びながら、グーグーなる私のお腹と脳の中に近い演出ができるのではないだろうか。そう考えるようになり、今回の完成までの長〜い長〜い地道な取り組みが始まりました。

まずは雰囲気作りから。

私の今までの経験から言って、売場作りというが自己満足で終わってしまうこともありましたが、この自己満足を作り出すことも大事だとも思っていて、自己満足を作り出せた方が自分でも気持ちが入り、お客様への伝え方の熱量も違ったものとなっていきます。

今回もやはりその自己満足の部分も忘れずに、雰囲気を変えていこうとも思いました。

雰囲気を変えると言っても言葉ほど簡単ではなくて、一枚のPOPだけでなくできれば土台となるベースの雰囲気を変えていこうと考えてしまうので、大幅な変更になったりします。

とりあえず、変更前の売場をパシャリとしてみました。

まじっくひじきの売場。

今思えば、大量にまじっくひじきを並べただけにも見える売場。ここに少しの老舗の食堂のような要素を加えていこうと思い、とりあえず全体の枠組みとして木を設置するようにしていきました。

木枠の作り込み。

そして食堂といえば、何となく入り口に暖簾がゆらゆらとあるような印象を持っていたので、木の枠組みのところに入り口のように暖簾を垂らしてみようと暖簾の作成も行っていきました。

暖簾の色味は、商品や背面に使う木の板に合わせて赤みのある色合いでも、少し落ち着いた感じの色の布を選び、ここにお店の名前を貼り付けていきました。

食堂の暖簾を作成中。

こうして一つ一つの売場作りという階段をのぼっていく感じでいつも通りなようでしたが、ここからがとても長く地道なサンプル作りロードへと続いていくのでした。すべては、お客様により商品の良さを伝えられるような取り組みにしていくため。

こう決意し、私は研修に参加するため職場を後にし、約2週間もの間不在となる旅へと出発していきました。その為、いつも通りお店で働くスタッフが最後の出来上がりまで、大切に大切に取り組んでいただいたことに、心から感謝しました。

頭の中を具現化していく。

取り組みとしては、初めての飲食店のようなサンプル作り。どこまでできるか不透明だったけど、やるからにはしっかりカタチにしていきたいと、最後まで取り組んでいきました。と担当スタッフ。

『まずは、炊込みご飯から。』

そう思いたち、まずは白い粘土に色味を加えながら炊込みご飯の雰囲気を出すためにはと、一粒一粒のお米を作り始めました。そうです。一粒一粒です。

しかもすべてが同じ色だと、伝わるものも伝わらないのではないかと思い、少し違う淡い色味の米粒や、色の濃い米粒などを作っていきました。一粒一粒を作っていると、不思議と自信にもなり早々に『これなら、できそうだ。』と迷わず進むことができました。

あの感覚がなければ、諦めていたかもしれません。

その制作風景が、タイトル画像にも使われているものになります。

まじっくひじきの炊込みご飯サンプル。

そしてお米粒だけでなく、ひじきももちろん手作りで、長らくの時間がかかりましたが、はじめて取り組んだサンプル作りも、上出来と言えるくらいの出来栄えで仕上がったと思っています。

炊き込みご飯だけでなく、キュウリの浅漬けのサンプル作りも同じように粘土と絵の具を使い、キュウリの雰囲気にひじきをおり混ぜ、作り上げることができました。

こうして出来上がったのが、こちらの見本です。

食卓をイメージしたサンプル。

ここまで作ったけど、お客様にどこまでこの雰囲気とか、まじっくひじきの商品としての良さとか、できれば味までのイメージを伝えられているかは、これからの話。

新しいまじっくひじき売場

これで終わりではなく、この後のお客様の反応。お声をいただくだけでなく、売れ行きとしてを今回の伝え方の結果と受け止め、今後に生かして行けるように、また次の取組みをしていきたいと思います。

引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。

過去の取り組みはこちら。

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