1年4か月で大手企業を辞めて2人だけのベンチャーに飛び込んだからこそ思うキャリアの選び方

「思想の言語化」が鍵だった!採用ブランド戦略の構築フローを紐解く。

こんにちは、ヤマグチタツヤです。

コーポレートブランディングの一環で採用ブランディングのお手伝いをすることもあるのですが、

「採用ブランディングで普段何やっているのかもっと具体的に知りたい!」

と言われることも多く、「たしかに普段のツイート等だけだと細かいところって、分かりづらいよなぁ...」と思い、自分がコーポレートブランドをどう採用へ落とし込んでいるのかのプロセスをnoteにまとめてみました。


0.ゴールイメージは下記図を完成させること

ヤマグチは自身で制作したこの採用ブランディングのフレームワークを常に頭に浮かべており、この完成を普段のご支援の時に目指しています。

※ただ情報を入れるだけでは全く意味がなく、あくまで「コーポレート・ブランドに全ての施策が紐付いているかどうか」をブランド論の観点から理解した上で完成させる必要があります。

ビジョン・ミッション・バリューといった企業ブランドのコアとなるCI制作から始め、広報〜入社後のコミュニケーションに至る全ての過程で、候補者の方に経営者の思想や企業カルチャーを感じてもらえるように設計していきます。

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1.企業コアの言語化(ビジョン・ミッション・バリュー策定)

のっけからですが、ブランド構築においておそらく1番大切なプロセスであり、多くの採用支援業者が「採用ブランディングします!」と言いながら実はほとんど手をつけていない"秘伝のタレ"的なプロセスがこの部分です。

※ブランディング=「見せ方」ではありません(含みはするけど全てではない)

それが、CI(=コーポレート・アイデンティティ)、いわゆる「ビジョン・ミッション・バリュー」の策定

社長はもちろんのこと、役員やメンバークラスの方々までヒアリングやワークショップを行い「この企業が何者で、どこへ向かっているのか?」を言語化します。

採用ブランド構築において核となるのはこの「企業が何者か?」という部分です。なぜならば、「企業の思想とその背景のコピーは、他社が絶対に真似できないから」

このCIは企業の羅針盤のようなものです。

そのため、ベンチャー・スタートアップのフェーズで最初に考えておくとプロダクト開発から組織づくりまで、あらゆる企業活動を進めていく際に「どの価値観をブラしてはいけないか?」が明確になるので、コーポレートブランド(=企業哲学)が対社外・社内の各PR活動に一貫して宿っていきます。

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2.採用ブランド戦略の立案
(強み・弱みの整理/ターゲティング/競合分析/コンセプト設計)

戦略立案は4ステップとなりますので、それぞれ説明していきます。


2-1.強み・弱みの整理

採用における「企業ブランドの強み・弱みの整理」を行います。

具体的にはブランド/ブランディングの考え方に基づいて、役員・社員インタビュー等を中心に強み・弱みを見つけて行きます。

ブランド論に沿って分類していくと、自社のなんて事のない特徴が実はものすごく企業理念に沿った強みだったということが判明することもあるので、意外とこの分析だけでも好評です。

◯採用における企業ブランドの考え方(一部を抜粋)
=機能(ビジネスモデルや年収などのハード面)+情緒(ビジョンやカルチャーなどのソフト面)

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(*場合によってはオフィス環境は「ハード」とも取れますが、一旦ざっくり理解のための図なので細かいところは悪しからず。)


2-2.ターゲティング(採用基準の再定義)

採用基準も「その企業にとっての優秀さ」を再考し、それを元に採用ターゲットを再定義します。

「高学歴で長期インターンをしていて」「主体性や行動力があって...」という大雑把になりやすい基準に関して「どうしてその基準が必要なんでしたっけ?」と社長や人事担当者と一緒に経営戦略と紐付けながら具体化することに一緒に頭悩ませて考えます。

※自分は「極限まで採用要件を引き算する」ので、結果として学歴や経歴などの"思い込みで無意識的に弾いてしまっている層の人たち"もターゲット範囲に入ることがしばしばあります。
(「世間一般の価値観」や「他社の採用基準」と"自社の採用基準"は違うケースが往々にしてあります)

(下図は説明しやすいので新卒採用で考えた時の図です)

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2-3.競合分析

いわゆる4象限のポジショニングマップをつくって考えます。

よく「ブランディング屋は競合分析をしない」と揶揄されることもありますが、ブランディングは競合分析もします(マーケティングもブランディングをするし、ブランディングもマーケティングをします)。

マトリクスの2軸の取り方は企業のポジションによって都度変わりますが、先ほどお話した機能性と情緒性で分別することも多いです。

(いくつもこの図をつくっては「この軸取りでいいのか?」を繰り返し考えていくイメージです)

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2-4.採用コンセプト設計

競合他社と被らないようにしつつ、自社の強みがターゲット人材のインサイトに刺さるような形で言葉したものが「採用コンセプト」と呼ばれるものです。これに沿ってクリエイティブ制作をしたり選考手法を開発したり...など一貫性を持ったメッセージングを求職者へ行っていきます。

「採用鑑定団」
「My設計図採用」
「孤独なエンジニアの居場所」

こういったものを過去は考えて、どの採用フローにもこのコンセプトに紐付く形でメッセージングを込めていきました。

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やや抽象的なので、ここはもう少し身近な例でお話ししますね。

※ブランド/ブランディングの効果について3秒で分かる事例
例えば、スタバは「コーヒー屋」というライバルだらけの市場ではなく、「サードプレイス屋」という独自の市場で戦っているので勝っています
(ぶっちゃけコーヒーで美味しいところは他にあるし、価格が極端に低いところもある。そこで勝負するとスタバは負けるが、そもそも彼らはコーヒー屋の市場では戦っていないので負けない。)

→採用も同じように「不動産」「ITベンチャー」などの競合ブランドだらけな市場では戦わないように戦略立てます



3.独自選考手法の開発

採用コンセプトに沿いながらも「採用基準を満たしている人かどうか」を応募者の行動から判別するという機能を込みにした採用手法を企画します。

「既存の面接やESではぶっちゃけ人材を見極められない...」

「選考の段階で"企業らしさ"を感じさせて応募者を自社のファンにしたい...」

というような方にオススメです。

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このように、企業理念とビジネスモデルに紐付いた「オリジナルカードゲーム選考」の開発、内定承諾書も卒業証書に使われるフェルトアルバム素材を使用した独自内定承諾書などを企画しました。

広告媒体や採用LPだけでなく、選考中〜選考後までその企業の採用コンセプトを感じさせるものを作るのは、恋愛でいうところの「デート中〜告白まで」にも自分の良さを滲ませることと同じだと捉えていただければ分かりやすいかと思います。


※ちなみに、ブランドを上手く体現しつつ選考としてもきちんと機能していると、採用の枠を越えてもう1つ大きい視点の"企業PR"になります。

「採用手法が広報に使ってもらえてニュース媒体に載った」
という過去の事例もあります。ハーバー・オンラインやLivedoor News、GunosyにYahoo!ニュースなどですね。

採用ブランディングは本来コーポレート・ブランディングの一部であるため、企業PRそのものにも繋がるという副次的効果もあり一石三鳥くらいの効果があります。


4.採用広報戦略立て・記事制作
(SNS/Wantedly等の各種媒体運用・コンテンツ制作など
)

「とりあえず会社のことを面白おかしく記事にすればいい」という形ではなく、「この企業だからこそ、この記事が書ける」というコーポレート・ブランディングの観点から記事制作やディレクションを行います。


そして、付加価値として社員インタビューなどを素材に理念開発・浸透などの"インナーブランディング"の企画へと繋げることも可能です。

※この辺りは逆に「うまく浸透していないとどうなるか?」を見た方がイメージが湧くかと思うので、こちらのnoteを参考までに貼っておきます。


5.独自採用イベントの企画

上記工程でブランド整理ができたら、そのブランドを「どう体験してもらうか?」をイベント起点で設計します。


例えば、「とりあえずBBQ!」のような形でなく「やるならやるでなぜBBQをこの企業がやるのか?」と、企業ブランドにそのイベントの思想がどう紐付いているのかなどを深く考えるのがポイントですね。

※よくイベントへの集客を頼まれますが「合っていないであろう企業に押し込む」的な悪徳行為は絶対にしないので、そういう母集団を増やせばOKと思われる方は僕に集客は頼まないでください(過去にそういう変な人がいて超お断りした)


終わりに

いろいろと書いてみましたが、上記が自分の定義する「(コーポレートブランディングにおける)採用ブランディング」です。

一文で言うならば......

「社長の思いや企業カルチャーを、ターゲットのニーズに合わせた形で、広報・選考・内定・入社のフロー全てで届けること」

こういったイメージですね。


一貫して企業ブランドを採用において伝えることで、

・企業カルチャーに合う人だけ入社するので離職率が下がる。
・自社独自の魅力が適切に伝わり、採用数がアップする。
・カルチャーに合わない人が応募してこなくなるので、面接工数が減り、その分の人件費が浮くため売上アップに繋がる。

こうしたメリットが生まれますので、企業ブランド構築の視点として、ぜひ企業のカルチャーづくりを踏まえた採用フローの企画をオススメいたします!


実際の採用ブランディングのケース事例はこちら


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