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★仏像展★『円空―旅して、彫って、祈って―』写真OK!約160体の円空仏が大阪に大集合!!あべのハルカス美術館

2024年2月2日~2024年4月7日にあべのハルカスで『円空―旅して、彫って、祈って―』を開催。約160体の円空仏が大阪に大集合!!ニコニコ!ほほえみ系など、どこかカワイイ円空仏。修験道を極め仏像と神像を多く造った修験道・密教僧の仏師!近年、SDGs仏師という称号を得るかもしれない。

 そうそう「あべのハルカス美術館」が10周年ですね。こけら落としは「東大寺」展でしたね。アフロ仏が並んでいたのは今でも記憶に残っています。


 本当は行くつもりはなかった。なんとなく見た「みちのく いとしい 仏たち」展で、慶派・円派・院派の所謂「京仏師」以外の、地方仏と円空仏の良さが分かり行くしかないと思った。乗り気がなかった妻も良かったとのこと。

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▼公式HP

▼博物館

大阪・阿倍野区「あべのハルカス美術館」

▼円空と円空仏の感想

円空とは?

  • 1632年、美濃国(現在の岐阜県)に生まれた

  • 幼いころに出家した江戸時代の僧侶で修験道を修めた

  • 全国を旅しながら躍動感のある木彫りの仏像を数多く残した

  • 修験僧として旅をしながら神仏を彫り続け、生涯に12万体彫ると誓ったといわれるほどの多作で知られる

  • 少なくとも10万体は彫ったことは分かっている

  • 現存する円空仏は5000体以上

  • 1663年、数え年32歳のときに彫ったものが円空初真作である

  • 1671年、40歳の円空は奈良の法隆寺において法相宗系に連なる僧だった

  • 1679年、48歳の円空は白山神の託宣を聴き、円空の造仏活動は盛んになっていった

  • このころ、滋賀県・園城寺こと三井寺(私のNOTE)で、天台宗寺門派の密教の法を継ぐ僧であることが認められている

  • 1695年、円空没

  • 1790年、『近世畸人伝(きんせいきじんでん)』で取り上げられている

  • 『近世畸人伝』は、約100人の有名無名の江戸時代の奇特な人物の逸話を伝えたもの

  • 『近世畸人伝』には、幼いころに出家し、23歳の時、寺を離れ富士山や白山に籠ったと記されている

  • 『近世畸人伝』以外には、円空のことを明らかにするものは残っていない

 今回の展示会には関係ないですが三重の円空仏について参考にどうぞ!そして、興味のない方はスキップしてください。

円空仏の全体感想

  • 円空仏の特徴はノミ痕を全身に残し、ニコニコ笑顔のキュート仏像が多い

  • 京仏師のような仏像も造れるが、そこはしなかったのではないかと疑っている。もしかしたら、日本のピカソかもね。
    →なぞの期間は異なる仏師名だったのかも
    →快慶が仏教に帰依したが、円空は修験道を極めた

  • 鎌倉時代に完成させた芸術性も兼ね備えた慶派・円派・院派の彫刻とは異なる仏像たちで地方仏に近い

  • 私見だが、神道・仏教を混在させた「神仏習合」の仏師だったような気がした

  • 本仏像展で確信をした私見・感想は次の通り

    1. 仏像(仏教)はその姿や形を何かの思いに託して彫っている

    2. 神様(神道)は、本来は姿がないものなので、姿は分からないようにしているのかというぐらい粗さがある

    3. 仏像に背中はない。縦に割っているため壁みたいになっている。ここに墨書で真作が分かるようにしている

    4. 仏像背中が縦に割っているのは、一木を2つか4つに縦に割って、彫っているため

      • 平安時代は一木で彫るが、鎌倉時代には大木は取れなくなったため寄木造りなどが主流になった認識

      • 円空が生きた江戸時代も大木がなかったことは伊勢神宮の式年遷宮の記録でも分かる

  • 神仏習合時代なので、神社の御神木を仏像・神像にしたのだろうとも思った
    →円空仏はSDGsの先駆けなんじゃないかなと思った

  • 初期に岐阜や三重に作品があり、旅先である北海道や東北に数が多い(本NOTE冒頭の地方仏展も見ると面白い)

▼仏像感想

 ここからは目録の番号を基に、気に入ったものを記録・感想を述べます。

円空 ―旅して、彫って、祈って―  案内チラシ(PDF:6.69MB)
円空 ―旅して、彫って、祈って―  目録(PDF:2.79MB)

 まずは動画で雰囲気を掴むのもよいかと。

▽第1章:旅の始まり

 円空が神仏を彫り始めた初期に岐阜や三重でつくったと思われる作品が中心。全体的に小さい仏像・神像が多かった。そして謎の円空を解き明かす『近世畸人伝』があった。面白いなあ~漫画だよな~。

 ということで見仏です。人が多いな~。。トップバッターは金剛力士でした!あべのハルカス美術館はトップバッターはインパクト重視が多い気がするな。

No.44:岐阜県「 #千光寺 」金剛力士像・吽形

 ほお~トーハクの円空展が過去にあったよう。

No.4:三重「 #真教寺 」十一面観音立像

 彫刻を作り始めたばかりの頃の作品だからか、この章では「一番仏像っぽい」とメモっている。顔はアルカイックスマイル意識している感じもしたが横の角度から見るとそうでもない気がしてきた。。

No.5:三重「 #浜城観音堂 」大日如来

 他力本願ww

▽第2章 修行の旅

 よりゴツゴツとした作風への変化になる。流木などをそのまま使い、そこに顔だけを彫るようなスタイルも見られる。

No.7:岐阜県「 #弥勒寺 」法相中宋血脈

No.8:奈良県「 #法隆寺 」大日如来坐像

 おお~法隆寺に円空仏って凄く不思議だなと思った。ただ、1671年、40歳の円空は奈良の法隆寺において法相宗の法系に連なる僧であると認められたのでおかしくはないのか。
 金剛界式大日如来ですね。円空が造るとニコッとしています。ただ、法隆寺に大日如来というのも面白い。写真はこちらのサイトをどうぞ!確かに法隆寺の宝物リストに入っていますね。

私のNOTEは次の通り。

No.9: 奈良県「 #栃尾観音堂 」護法神像(荒神像)

 写真はこちらです。今回展示された神像で一番ハッキリした顔立ちですね。

No.20: 愛知県「 #龍泉寺 」馬頭観音及び熱田大明神立像・天照皇太神立像

 中央には変化六観音の馬頭観音立像で、脇侍に神像の熱田大明神立像・天照皇太神立像という特異な三尊である。よく見ると憤怒で頭に馬がいますね。

 意味を考えると「五穀豊穣」なんだろうかなと思った。馬は農作で必要であり、アマテラスは太陽で豊穣につながる。そして熱田大明神はアマテラスの要素を持つため。

馬頭観音像(112センチ)は大きな頭上に馬の化仏をつけ「カッ」と見開いた大きなつり上がった眼は、慈悲相ではなく憤怒の形相だが、横に開いた大きな三角鼻と両端のやや上がった大きな口には円空仏特有の微笑をたたえユーモラスがある。現世と未来の暗示であろうか。脇侍の熱田大明神(左)と天照皇太神(右)(ともに102センチ)はどちらも人間臭い面相に造られてニンマリと微笑を漂わせている。

↓公式HP

 そして思ったのはアマテラスと熱田大明神は逆でないか?というところ。脇侍の熱田大明神が「宝珠」を持っているように見え、女性っぽく感じたのでアマテラスでは?
 と思ったのだが、墨書に明示的に書いているようだ。田中ひろみ氏も『尾張四観音「龍泉寺」の円空仏!』で示されている。

No.24: 大黒天立像

 一木とメモっています。円空の大黒天像では最大の像のよう。

No.26: 愛知県「 #三明神社 」薬師如来立像

 2020年に発見されたもので、手が大きすぎる・・。宝珠が面白い!!前述した「熱田大明神立像」と体が似ている気がした。

▽第3章:神の声を聴きながら

 白山信の宣託で円空仏の完成へ!!50歳前後の円空の作品。

No.28:岐阜県「 #弥勒寺 」伝秋葉神像

 秋葉といえば火の神・カグツチ。確かに顔が分からん???これは神様なので姿は明確にしていないのか、火の神なので顔を火傷した??

No.30:滋賀県「 #三井寺 」善女龍王立像

 円空は三井寺に7体の善女龍王立像を残しているが、最も大きい像の背面には、小さな龍王像が彫られており、八大龍王を表しているとか。って深いな・・円空。

三井寺に残る七体の円空仏はいずれも、善女竜王像である。 現在は国宝金堂の後陣に安置され、訪れる人に静かに微笑んでいる。 その中で、一番大きな竜王像(70.5cm)の両手を合された下あたりから足にかけて、 鉈で大きく打ちつけた傷跡のようなものが見える。 他の六体のような力強く、単純で整理された衣の線は無く、不規則で乱暴な鉈跡である。 円空は三井寺で血脈を受け、その答礼に仏を彫った。

三井寺
公式HP

私のNOTEは次の通り。

No.31:栃木県「 #青龍寺 」中尊:観音菩薩、脇侍:不動明王立像・毘沙門天立像

 三井寺に影響を受けたのか?脇侍は天台宗コンビである。

No.32~35:埼玉県「 #観音院 」蔵王権現立像/役行者/徳夜叉大善神像/護法大善神像

 蔵王権現立像は説明を読まなくても何の仏像かわかった数少ない仏像ですねww おお~吉野の蔵王権現だ~とすぐわかりました。珍しく円空仏コワモテ風の顔にキュートな雰囲気で、漫画風味なお姿。蔵王権現像は全国でも唯一の作例なんだそうな。

 役行者は修験道を極めた修験道の祖。円空は尊敬も入っているはずなのでベーシックな仏像であるに近い。

 徳夜叉大善神像護法大善神像は、やはり神は姿が見えないという考えなのか、表情が良くわからない・・。倒れた御神木をリユースし魂を入れたのでは?と思った。

 他力本願ですが、ここの円空仏は良い感じかと。

No.38:栃木県「 #青龍寺 」不動明王三尊

 問題はその姿でパンフレット「円空 ―旅して、彫って、祈って―  案内チラシ(PDF:6.69MB)」に載っていますが、不動明王立像は火焔光背を割った木をそのまま使って表現しており、脇侍はもうよくわからない・・。脇侍はダルマさんにしか見えない・・。ここが冒頭で示した「ピカソかも」と思ったわけである。

 次のサイトでも写真が載っています。

 詳しく分析されている方がいるので、そちらをどうぞ・・・。

▽第4章:祈りの森 ※写真OK(歓喜天はNG)

 約5000体現存する「円空仏」のうち、64体を所蔵する千光寺に伝わる円空仏中心のゾーンですね。1931年、彫刻家・橋本平八が円空仏を発見したことがきっかけで円空ブームになったようだ。

No.43:岐阜県「 #千光寺 」両面宿儺(りょうめんすくな)

 異形の悪人とされる「両面宿儺」は、通常背中合わせに二つの顔を持つ姿だが、円空は正面の武人の肩にもう一人の武人が乗りかかるような姿を示している。


 千光寺には4体の円空作「両面宿儺像」が残っているとか。

 トーハクの円空展でも出たようですね。

No.46:岐阜県「 #千光寺 」歓喜天

 やっぱ、ここは写真NGだった。ですよね・・密教絶対秘仏。小さなお厨子に抱き合う頭は像で体は人間の魅惑の仏像ですね。

No.47:岐阜県「 #千光寺 」観音三十三応現身立像

 近隣の村人が病のときに借り出し、治癒を祈ったものなんだそうな。観音様は相手によって姿を変える。仏像では「三十三」か六道の「六」で表現されることが多い。だいた三十三霊場とかありますよね。

No.48~50:岐阜県「 #千光寺 」菩薩立像/地蔵菩薩立像/不動明王三尊

No.51~52:岐阜県「 #千光寺 」善財天坐像&脇侍立像/十一面観音坐像&&脇侍立像

 白山信仰か・・ククリヒメではなく善財天なのか?脇侍は童子なのかな謎ですね。

No.54:岐阜県「 #千光寺 」護法神立像

 護法神は訶梨帝母なんですが、「善」がないので、まだ悪い時代を表しているのか?調べると、白山信仰の創始者である泰澄に仕える神として作られた?

 護法神立像は後述でも出てくるのでちょっと3秒凝視しておきましょう。

No.55:岐阜県「 #千光寺 」金剛童子立像

 分からないです・・。

No.56:岐阜県「 #千光寺 」難陀龍王像・跋難陀龍王像

 変化球の説明です。「なんだ龍王」ってなんだ?という感じの人は、まずは本来の「難陀龍王像」を知りましょう。次のサイトです。

三十三間堂

 では円空が造ると!!

 ナンダ・・・??墨書がないと分からない気が・・。

No57~63:岐阜県「 #千光寺 」八大龍王/宇賀神像/烏天狗/狛犬/男神坐像/如来坐像・観音菩薩坐像

 ということで卒業テストです!仏像の写真の後にパネル説明にしてみました。

答え合わせです!!
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・・・・・・・
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 下の図を見ると割れています。木材の真ん中は割れるので仏像は木材の中心は使わないことが多い。

No.54:岐阜県「 #千光寺 」護法神立像

 前述の護法神立像とレッツ見比べ!!

No.--:岐阜県「 #千光寺 」賓頭盧尊者坐像

 賓頭盧さんはどこに行っても賓頭盧さんなのだろうか。体は撫でられたのであろう感じがする。賓頭盧さんは円空仏であるべきかも!というぐらい良い感じでフィットする。

写真後ろの方は座り込んで仏像と目が合う所で見仏していますね~。

▽第5章

最後の第5章では、旅し、神仏を彫り、祈ることに生涯捧げた円空の最後の約10年間 。千光寺に滞在した前後から晩年の10年間、円空は飛騨や美濃を中心に各地を旅し神仏を彫った。


No.65:岐阜県「 #東山白山神社 」如意輪観音坐像

 彫刻要素が強くなる如意輪観音は一発で分かった!良いですね~。六観音で一番煩悩がなく良い人の姿である如意輪と円空仏のニッコリ顔は相性が良い気がする。

No.66:岐阜県「 #東山神明神社 」柿本人麻呂坐像

 柿本人麻呂は神様として祀られることが多いが仏像なのかな??あと、岐阜に柿本人麻呂というのが不思議だった。お姿は次の通り。

No.67:岐阜県「 #霊泉寺 」愛染明王坐像

 記憶ないですが、Xと2013年のトーハクブログ参照で!

No.68:岐阜県「 #素玄寺 」不動明王立像・毘沙門天立像

 記憶がない・・・。ただ「岩橋」とメモっている・・。2024年2月のXでの荒ぶり方も明王なんじゃないかとも。

 他力本願ですね。

No.71:岐阜県「 #神明神社 」善財童子・護法神立像

 記憶がない・・・。

 思い出した!善財童子が凄く違和感があったんだ。次の通り、元々は音字不在木材からなのが良くわかる。

No.73:岐阜県「 #桂峯寺 」十一面観音立像及び両脇侍立像

 10万体目の仏像なんだそうな。今上皇帝立像の背面に「當国万仏十マ仏作也」と墨書銘を記した。この銘文には、「円空が10万体を彫り上げた」という解釈もあるという。って、「今上皇帝立像」って今上天皇を指している?

No.74:岐阜県「 個人蔵」青面金剛神立像

 庚申さん!サルタヒコ!日本独自の神仏である!!足元の「三猿」に注目!!

No.76:岐阜県「 #高賀神社 」十一面観音立像及び両脇侍立像

 晩年に多く造られた作例。これを残した3年後、円空は64歳でその生涯を終えた。
 中尊は十一面観音菩薩立像で脇侍は善女龍王像・善財童子像とも。1木を3つに分けた三尊像は、十一面観音菩薩の台座に善女龍王像と善財童子像を載せるように彫刻面をあわせると、元の丸太を復元できるとか。

この人詳しいな・・。神社に仏像ってなぜか知りたい方は次をどうぞ!

▼円空仏見仏済み神社仏閣(2024年2月時点)

 円空関係の私のNOTEは次の通り。

 以降に公開するNOTEには「円空仏」とタグを入れます。

▼動画紹介(リンク)/ニュースメモ

岐阜県の千光寺の「両面宿儺坐像(りょうめんすくな ざぞう)」は、頭の前後に2つの顔がある伝説上の武人を、木材をダイナミックに刻み力強い躍動感で表現した作品です。
また、「護法神像(ごほうしんぞう)」は平たい木材から彫った奈良県の栃尾観音堂に伝わる作品で、どのような木材からでも仏像を彫ることができるという円空の精神が表れているとされます。

↓NHK

▼過去の関係・類似展

2023年:★仏像展★「みちのく いとしい 仏たち」in 龍谷ミュージアム

2019年:◆三重⑦抜粋◆三重の国宝・重文・秘仏集合!MieMu 三重県総合博物館『第25回企画展・開館5周年記念特別展 三重の仏像~白鳳仏から円空まで~』


未来の円空展は次に追加されます。

▼私以外のNOTE

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