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音楽・VOCALOID

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音楽全般やVOCALOIDに関連する記事
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記事一覧

YOASOBI『勇者』英語版がrhymeを意識している件について!

 こんばんは。Sagishiです。  突発で記事を書いていますが、『勇者』の英語versionが出ましたね。  わたしは以前、YOASOBI の楽曲の英語版の歌詞をつよめに批判していたので、今回の英語版の歌詞もあまり期待せずに視聴したら、以前より明らかにrhymeを意識した歌詞になっていて、本当に驚きました。  例えば『アイドル』の英語歌詞はほとんどrhymeが意識されておらず、率直にいって、残念なクオリティです。  しかし『勇者』の英語版は、どうみても以前よりもrh

フリーレンOP/YOASOBI『勇者』の歌詞の問題について

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、ざっくりフリーレンOPのYOASOBI『勇者』の歌詞について書いていこうと思います。  少しまえにもYOASOBIの記事を書いたので、「お前どれだけYOASOBI好きなんだよ…」と言われそうですが、まぁお付き合いください。  わたしは『葬送のフリーレン』を連載初期あたりからリアタイしていて、かなり読み込んでいる部類だと思うので、今回は原作と関連したことも比較的書けるかなと思います。 1 リリシズムの問題 大きなところから入

WF-1000XM5 所感など

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、WF-1000XM5の所感などを書いていこうと思います。M4から切り替えたので、感想を雑多に書いていきます。 1.ハードウェア良い点 ①軽量化・小型化  かなり軽く、耳への負担が少ないです。想像していたよりこの恩恵は大きいと感じます。 ②イヤーピースのフィルター  ひとによっては不評のようですが、筐体内部のメンテナンスが億劫・大変だったので、改善されていると思います。 ③取り出しやすさ  以前よりケースから取り出しやすく

補足記事:YOASOBI『アイドル』の英語歌詞の比較検討

 こんばんは。Sagishiです。  先日書いたYOASOBI『アイドル』記事の補足です。 1 英語のストレス音節について 前回の記事で、「media/mysterious」以外に韻踏んでないとわたしは書きました。  もしかしたら「あれ? areaは韻踏んでないの?」と疑問に思ったひとがいるかもしれません。「area」は「media/mysterious」とは韻を踏めてません。これはたぶん知られていないと思いますが、英語のrhymeは、ストレス音節の母音が一致していない

YOASOBI『アイドル』の異様さの評価+常識外れの英語歌詞の問題について

 こんばんは。Sagishiです。  今回は、YOASOBI『アイドル』について幾つか論評をしていきたいと思います。  わたしは『アイドル』を幾つかの点で好意的な評価をしていますが、いっぽうで懸念や悪い評価をしている箇所もあります。この破天荒な『アイドル』という楽曲を通して、日本の音楽シーンそのものについても考えたいです。 1 スタイルの追究による異様化1-1 J-POPの進化の歴史『スタイルの追究』  『アイドル』を初聴したさいの印象ですが、「マジでカオスで変な曲」

yanagamiyukiのvocaloid rapは良いぞ

 今日はyanagamiyukiさんの記事を書きます。  もともとわたしはVOCALOID HIPHOPまわりで曲をやってた人間ですが、それは2018年頃までの話。いまではボカロおじいちゃんです。  同じ時期に活躍していたPたちの活動もだいぶ落ち着いてきて、VOCALOID HIPHOPが言及される回数も多くはなくなったなぁと思います。  けど2018以降vocaloid rapはどうだったのか。yanagamiyukiが最高なので、わたしのHIPHOPハートはめちゃく

VOCALOIDでめぐるヒップホップ!! ~HIPHOPってなんぞや の巻~

 こんばんは。Sagishiです。  2016年3月12日に、niconicoのブロマガで『VOCALOIDでめぐるヒップホップ!!』という記事を書きました。これまで多くのかたに読んでいただき、12,000PVまでいきました。ありがとうございます。  今年の10/7にniconicoのブロマガサービスが終了することになったので、noteに記事の引っ越しします。  特に大きな変更はありませんが、note向けに内容は修正しています。 1 ~HIPHOPってなんぞや の巻~

この3年ほどピノキオピーの新曲が刺さらない

 こんばんは。Sagishiです。  今日はラフにVOCALOIDに関する記事を書こうと思います。  わたしは音楽を聴くことをライフワークにしていますが、特に好んでいるアーティストにピノキオピーがいます。しかし、この3年ほどピノキオピーが出す新曲のほとんどが刺さらない状態です。  原因は明白で、ピノキオピーが現在ターゲットにしている年齢層とわたしの年齢が噛み合わないからです。具体的な理由ですが、特に『おばけのウケねらい』あたりからの曲は、わたしからすると歌詞が子供っぽい

過去に紹介したVOCALOID曲総まとめ

 ニコニコ動画のブログがサービス終了するため記事の引っ越しをします。これまで本当に色々なVOCALOID曲を紹介してきましたが、総決算ということで、私が特に好む楽曲、特に変わった楽曲や、特に優れた楽曲に絞って、改めてここに紹介します。 Kagem『終わらない終わらない終わらない終わらない終わらない』 ヒッキーP『私は演者です』 わたしのココ『天使のいない街』 ふなむし『アノマロカリスの裔』 8bitP『蘇格蘭岱腰の舞踏』 緊急ゆるポート&松傘『災難』 大丈夫P『

ピノキオPの歌詞の技法

※本論は、ボカロ批評同人誌の白色手帖『ボカロ批評 Vol.02』(2014年)に掲載した「『ニコニコ動画の外』から見たボカロ-文学・現代詩の観点から」の転載です。 ※『黒うさP『千本桜』の歌詞を分析してみた』の続きの記事になります  前章では『千本桜』の歌詞を取り上げ「イメージによる読解法」について書いた。この章では言葉同士の関係を、また別の観点から論を深め、ピノキオPの歌詞について書いていく。  ピノキオPと言えば、投稿曲のうち55曲が10万再生を超えており、全ボカロ

人が人の領分を超える時

 niconicoのブロマガサービスが終了するので、noteに過去に書いた記事の移行をしようとしている。が、そうなると否が応でも、どの記事を残して、どの記事を残さないのかを決めなくてはならず、過去に自分が書いた文章を読む羽目になる。  まるで黒歴史の箱を開けたような気分で、文章のあまりの幼さに閉口、辟易してしまう。何ともバツが悪いのだが、それでも読んでいると、拙い言葉ながらに主張していることには、やはり自分自身の言葉だ、共感できる部分が多い。  その中で、特に思い入れ深く

"大文字のピノキオピー"論

 こんばんは。Sagishiです。  今日はピノキオピーについて記事を書いていこうと思います。 1.ベストアルバム 先日、ピノキオピーのベストアルバム『寿』がリリースされました。実に2009-2020間の楽曲が収録されており、「ぶっとい」アルバムでした。11年間も音楽活動をしているのは凄いことです。  特に良かったのは、既出のアルバムにHUMAN verで収録されていた楽曲が、ボーカロイドverで収められたことです。『空想しょうもない日々』はHUMAN verとボーカロ

黒うさP『千本桜』の歌詞を分析してみた

※本論は、ボカロ批評同人誌の白色手帖『ボカロ批評 Vol.02』(2014年)に掲載した「『ニコニコ動画の外』から見たボカロ-文学・現代詩の観点から」の転載です。  黒うさPの『千本桜』は、言わずと知れた人気のボカロ曲である。  現在(2014-10-14)、『千本桜』は八〇〇万を超える再生数を叩きだしており、膨大な楽曲群を抱えるニコニコ動画のなかで、八〇〇万再生を超える曲は同曲をふくめてたったの三曲しかない。いかに『千本桜』が突出して聴かれているかが分かるだろう。  す