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金融緩和‐米は縮小、中は拡大へ

先週の下記投稿でも触れた中国最大の不動産デベロッパーの恒大集団。この投稿を書いている最中には、まだ中国政府や中国人民銀行(中央銀行)から何も大きなアナウンスもないので、来る同社の社債(米ドル建と人民元建)の利払いが未払いとなり、所謂デフォルトになるのでは、と見られている。

中国恒大集団の資金繰りが一段と厳しくなっている。9月下旬以降、過去に発行した社債の利払い日が集中するためだ。年内の利払い額は社債だけで700億円を超える。取引先への未払い分などを含めた恒大の負債総額は1兆9665億元(約33兆4000億円)と中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当する。その処理に失敗すれば中国経済や金融システムに大きな打撃を与えかねない。
20日の香港株式市場では一時、前週末比19%下げた。23日以降、恒大が発行した社債の利払い日が相次ぎ到来するため、資金繰りに行き詰まるとの懸念が高まった。香港不動産大手の株価も中国政府が統制を強めるとの見方から急落した

今後の中国政府の対応を市場は注視しているが、同時に恒大集団を起点とする金融界でのシステマチックリスクが発生する場合には、やはり中国政府や中国人民銀行などが介入(所謂流動性を供給して、金融システムの不安定性を取り除く努力)をしてくると、私は考える。従って中国はどちらかと言えば、金融緩和へ向かっていると捉えてよいだろう。

一方で今週開かれる、米国の中央銀行にあたるFRBの会議(FOMC:連邦公開市場委員会)にて、これまでのFRB理事たちの発言通りに行くと、来る2021年12月から市場での資産買取プログラムの金額縮小(所謂テーパリング)が始まる、という告知見たいのがある模様。要するに昨年夏から始めた、コロナ禍対策用のFRBによる金融緩和は縮小へと進むわけである。

この度の恒大集団の一件が中国版リーマンショックにならないことは多くの人が切に願っていると思うが、一方で皮肉な現実でもある、と感じる。それはこういうことだ。

2008年9月のリーマンブラザーズの破綻を起点として広がった世界金融危機。これは簡単に解釈すると、米国の不動産バブルを契機とした危機と言えるだろうし、その対応として中国は素早く金融・財政政策を打ち、米国もその後金融・財政政策を共に打って出た。中国の4兆人民元の財政政策によって中国景気のみならず、世界景気は支えられたとも言われている。一方で米国はFRBによる金融量的緩和を3回(QE3まで)やって、やっと2013-2014辺りに回復してきたと見れるだろう。今回は、中国の不動産バブルを契機に何が起こるがわからないが、リーマンショック時とは違い、米中両方の金融緩和スタンスは逆のように個人的には見える。また今後何か大きな危機が起こった際に、現在みられる米中対立のような政治的対立が複合的に絡み合わないことを願っている。



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