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パプリカはかじるもの。

 野菜が、足りない……!

 現代人には野菜が不足している。私は野菜に飢えている。
 しかし野菜を食すためには、基本的に切ったり焼いたり煮たりという七面倒な工程が必要だ。

 元気な時はバーニャカウダとかサラダとか煮物とか何かしら作れるのだが、常に家事をサボりたいと考えている私は最近、もう気力がない。

むかし作った(?)バーニャカウダ

 かといって出来あいのサラダは高いし嵩張ってるだけで大して中身がないので気が進まない。

 ミニトマトは切る手間がなく手軽に取れる野菜の一つだが、洗わないといけないのが面倒だ。一つならいいが、五個目を洗ったあたりで飽きて、賽の河原で石を積んでいる気分になる。
 とはいえ、大きいトマトはかじると果汁があふれてきて食べづらいから嫌だ。

 多分これを読んでいる方は呆れているだろう。いくらなんでも面倒臭がり過ぎだろうと。もう食べるのやめたらどうかと。いや実際、たまに食べるのも面倒な時がある。残念ながら、食事に対するモチベーションは低い。

 そんな感じで「手軽に野菜が食べたいなあ」と思いながらスーパーをうろついていたある日、私はある野菜の前でふと足を止めた。

 そう。

 パプリカである。

パプリカ

 パプリカはピーマンの仲間で、食物繊維、鉄分、カリウム、ビタミンA、ビタミンB1を摂取できるうえに、あまくてみずみずしくて美味しい。もともと好きな野菜で、バーニャカウダの時は絶対に入れる。

 ふと思った。

 私はパプリカを食べる時、いつも、洗って切って皿に添える……という儀式を行っていたが、果たしてそれは必要な工程だろうか。

 食べたいだけなら、洗ってかじりゃあいいんじゃないの?
 なんでいつも切ってたの? 思考停止では?

 ……。
 なるほど。

 私は納得した。何か問題点がないか、自分の中で反論を探したが、一切思いつかない。論理的には何も問題ない。
 パプリカはリンゴのようにかじりつく食べ物だったのだ。

 補足すると私はアメリカ人を見習い、リンゴも数年前から皮を剥くのをやめている。
 いや嘘をついた。アメリカ人とは関係なく面倒だからかじっている。

 私はさっそくパプリカを買って帰った。

 そしてこれを書きながら、洗ったパプリカをそのまま持ってきて、ヘタのあたりをつまんだ。

 ザクッ、ひとかじりする。

 もぐもぐ。うん……甘くて美味しい。

 でもパプリカに空いた不格好な歯型に笑ってしまった。
 というかこれ料理の鉄人のオープニングじゃん。

 知らない方には恐縮だが、昔やっていた「料理の鉄人」という料理対決番組のオープニングで、鹿賀丈史さんが意味ありげにパプリカをかじって、「私の記憶が確かならば……」と話し出すシーンがあった。

 まんまアレであるいったいこれから何の対決を始めようというのだ。

 料理が嫌すぎてパプリカかじってるのに、結果的に料理の鉄人になってしまっているのはお笑い種と言う他ない。

 ああでも、パプリカは美味しい

 私は中心部分を残してパプリカを食べ終わった。ゴミの片付けも楽で最高である。なんでもっと早くコレを試さなかったのか

 しかし絵面がひどい。パプリカ生でかじってるやつは鹿賀丈史さん以外に見たことが無い

 世間の人がなぜこれをやらないのか不明だが、顰蹙を買うかも知れぬ。
 私がもし結婚していたら、旦那の皿に洗ったパプリカをドンと置いて「食えよ」と言って悪妻扱いされるのだろうか。ああ未婚で良かった。

 まったく、文句の多いことである。味は変わらないのに切ってるかどうかなんて女々しいこと言って。

 と、別にまだ誰からも文句を言われていないのだが、文句を言われたことにして反論してみた。

 パプリカの丸かじりは効率よく野菜を摂取する方法として結構お勧めである。
 ただしこれを誰かに提供してドン引きされても責任は持てない。


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