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エアコンの自動打ち水サービスに困惑

 暑い。毎日毎日なんでこんなに暑いのだろう。夏だからか。

 水の蛇口をひねればお湯が出る。エアコンのきいた部屋から一歩出れば体温よりも室温が高い。床に敷いたフローリングシートが熱膨張して浮き上がっている。

 こんな暑さの中、絶対に外に出たくない。

 外に出たくないが、あまりの暑さと湿気で結露を起こしたエアコンから水が降ってくる。風と共に水が吹き付けてくるのだ。打ち水かよ。確かに暑いが、そんなサービスは頼んでいない。
 しかも悪いことにエアコンがベッドの真上にあるので、シーツが濡れて困る。早晩マットレスがカビるに違いない。

 暑い暑い言いながらネットで調べたら、エアコン内で発生した結露の水は内部のパンに受け止められ、最終的にホースから屋外に排出される仕組みらしい。排出されない場合は、パンが汚れているか、ホースが汚れているか、どちらかだと思う。

 ホースね。

 今住んでいる建物はなぜかホースの先端がベランダではなく、建物に這ったパイプを伝って謎の庭的なスペースにつながっている。
 数年前、エアコンのホースから虫が上ってくるのを避けるため、私はえっちらおっちら外に出て、パイプの先っぽと思しきところに古いストッキングをかぶせた。あれから数年、あのストッキングはどうなっているのだろうか。破れてやっぱり虫が入り込んで中に詰まっているのか。あるいは運悪く土に埋まって詰まったりしているのか、それは分からない。

 確かめに行きたくない。

 何せ暑い。

 しかも夏は虫が多い。
 最近は本州にもマダニが繁殖しつつあるという話も聞く。訳の分からない草の生い茂る庭なんか入りたくない。

 だってあいつら葉っぱの先で待ち構えて哺乳類が通ったらピョンと飛び乗ってくるという。何それ怖い。

 大体、エアコン内部のパンにゴミが詰まってるんだったら分解するわけにもいかないから何ともできないし、ホース部分ではなく長大なパイプのどこかで詰まってたら同じくどうしようもできない。なんか大きな岩とかでふさがれてるという私にも対応可能な原因だったら何とかしようもあるだろうが、可能性は低い。だったら外に出るだけ無駄だ。暑い。

 だけどエアコンから水が飛んでくるのは不快である。横になっていると顔に水が飛んでくるのだ。なんでベッドをエアコンの真下に置いているのだろう。とはいえベッドを動かすのは大仕事だ。箱入り娘(パズル)みたいなことしないといけなくなる。

 応急処置として吹き出し口を雑巾で拭いてみたが一時しのぎだし、エアコンの下にテープでゴミ袋を下げて水を受け止めてみたが、そのうち重さで垂れ下がってしまう。2回ぐらい直したが、もう疲れて諦めた。

 最終手段としていっそエアコンを止めるか。

 そんなことできるか。死んでしまう。

 落ち着くんだ。江戸時代とかにはエアコンは無かったはずだ。水を浴びるとかでなんとか体温を下げてしのぐんだ。

 無理だ。今でさえ一日数個のガリガリくんで体温を下げている私は糖質過多でそのうち糖尿まっしぐらだというのに、一日何十個のガリガリくんを確保すれば生き延びられるのか。

 涼しい場所に出かけるのはどうだろう。

 外には出たくないんだって。

 だめだ。
 詰んだ。

 そう、なので今日も私は風とともに吹き付ける水に耐えながら日々を過ごしている。

 本当は夏は嫌いじゃないし、汗をかきながら縁側とかでボーっとするのも好きなのだけれど、家には縁側が無いし、エアコンから水が降ってくるのは困る。

 早く28度くらいに暑さが和らぎますように。


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