見出し画像

「息子」からの電話(オレオレされるお年頃?)

 昼下がり、最近では珍しく家の電話が鳴りました。

最近では知り合いは皆直接携帯電話で連絡を取り合うので、家の電話が鳴る時は「お義母さん」か、旦那Kの仕事の電話が、Kの携帯がエレベーターなどで取れないと自動で転送されてくる (いやコレ自宅に転送じゃなくて会社に転送して?と思うけども)かのどちらかなので、いずれにしても気が進まないまま電話に出るといきなり

「母ちゃん!」
の一言。

え?  母ちゃん? 私、息子って言うか子供いませんが・・・( ̄▽ ̄;)
間違い電話かなと思って

「は~ぁ?(日本語の「え?」的な広東語)」

と聞き返すと、

「おい母ちゃん、オレだよオレ!」
と嘘くさい親近感を漂わせながら言ってきます。

ははあ!(゚д゚)!
これが巷でよく聞くリアル・オレオレ詐欺ってヤツね!!

と思っていると


「おい母ちゃん、自分の息子の声もわかんないのかよ。」
と言ってきます。

「誰なんだい?」
と聞くと

「だからオレだよオレ!次男坊」
という答え。

*(香港では、親子間でよく長男の事は名前で呼び、次男の事は「細佬(サイロウ)(下の息子)」(←次男)という雑な呼び方をします。
ちなみに長男は「大仔(ダイジャイ)」です。)

 でも、母親が日常的に下の息子を呼ぶ時に「細佬(サイロウ)」と呼んでいても、下の息子自身が自分の事を「オレ、細佬(サイロウ)」って自分で呼んだりする事はないので、もう、この時点で「いや、おかしい!」とすぐ気づくはずですが・・。

って言うか、そもそも相手に子供がいるかどうか、それが息子かどうかさえも調べずに、いきなり次男坊を名乗るなんて、何て雑な…!!

私は犯人に「最近の老人は騙しにくくなったな」と少しでも思わせられれば、と思って、

「お前、名前は?」
と聞いたら電話は切られました。

 実は、先週位にお義母さんのところにも、これと同じような電話がかかってきて、お義母さんと一緒に住んでいる姪っ子が後からKに確認の電話を掛けてきて発覚しました。

 その時の電話の主旨は「オレ、携帯電話を変えたよ」という連絡で、お義母さんに、その電話番号に掛け直させて「息子の新しい携帯電話に電話が繋がる」という意識づけ、つまり次回以降にお金を引き出すための前段階のものだったようです。

お義母さんは「相手がKだと名乗った」と言い、Kは「だからそれは相手が『オレ、オレ』行った時にお前が「〇〇かい?」って聞き返したんだろ?そしたら相手が『そう、〇〇だよ』って言う手口なんだよ💢」とお義母さんに説明していました。
 お義母さんはそれでも「でもお前携帯電話変えたっていうのに、掛けたらちゃんと繋がったよ?」と言うのです。

「だ~か~ら~、そうやって実際に掛けさせることで、それが息子の電話だと勘違いさせる手口なんだよ💢」と言いましたが、お義母さんはまだ混乱していました。

それでKが延々と(←結構長い時間!)話し続けてようやく自分が騙されかけたということがわかると、「電話を掛け直してしまった」「自分の次男坊の名前が〇〇だと相手に知られてしまった」と言う事に焦りと不安を感じたようでした(そんな事何の問題にもならない、となだめて落ち着かせるのにもまた結構な時間がかかっていました)

そして、Kはこのお義母さんのオレオレ詐欺電話の段階で通報しました。その新しい携帯電話番号も残っていましたし。

でも、無駄でした。

 実際にお金を騙し取られていないから通報してもどうしようもない、と言われました。その携帯電話番号から持ち主を割り出して探してくれれば一人でも騙される高齢者が減るかも、一つでも犯罪が防げるかもしれないのに、という気もしますが、犯罪が成立していないので動きようがないそうです。

 何も未成立の状態では逮捕しようが無いということでしょうが、殺人も殺されてやっと「殺人事件」となり、性犯罪も虐待も起こってしまってからじゃないと動いてもらえない、被害者は苦痛を「味わいそう」という段階では助けてもらえない、一生消えない傷を負ってからしか救いの手を差し伸べてもらえないということなのかなと色々考えてしまいました。

だから未然に犯罪を防ぐ為の組織を作る事の難しさ、もしくは大切さを両面から訴えるようなアニメ(『PSYCHO-PASS サイコパス』とか)やドラマ(『絶対零度』とか)が作られるのかもしれませんね。

今回、私の家にもかかって来た電話で、アラフィフの私が思った事は
「こんな嘘くさい電話で騙されるヤツは絶対いないでしょ~!こんなアラだらけの、アラしかない雑な手口。」
と言う事ですが、80過ぎのお姑にとってはそうではありませんでした。

 狙われた日にちも近いし、同じ犯人(集団)が、同じ手口で電話してきていると仮定して、お姑は「オレだよオレ」のところか、「オレ、細佬(サイロウ)」のところで、「Kかい?」と言ってしまったんでしょう。

Kはこれまで母親に対して、自分の事を一度たりとも「細佬(サイロウ)」と呼んだことはないけれども!

 それで相手の思うつぼにハマり「そうそう、オレKだよ」という事になり、(お姑曰く「声が違うなとは思ったんだけど」)会話が成立してしまったような勘違いをさせられてしまったのです。

 そう言えば最近、アラフィフの私達の友達間では、
「家を出る前にクーラー切ったか、窓閉めたかが気になる~」という話題で盛り上がり・・いや、盛り下がり?ましたが、加齢と共におぼつかなくなる記憶。

自分の記憶や、自分に対しての信頼が揺らぎ始めたお年頃が、もうすこし上になってくると、更に自信が持てなくなってきて、だからこそ、そういう所につけこまれ、お年寄りが現にこうして、こんな雑な手口にも騙されてしまうんだな~と思いました。

手口も話術も全っ然巧妙じゃないけど、狙う年齢層が巧妙。

そしてまた、そういうオレオレ詐欺なんて、ニュースで見聞きするだけで、他人事のように思っていたのに「うちにもかかってきた」(し、お姑のところにもかかってきた)事で、「これが本当に世の中で起こっていることなんだ。」という現実味が一気に増しました。

うちにかかってきた = オレオレ詐欺の犯罪集団が勢いを増している、増えている、そして個人情報は全然守られちゃいない、と言う事だと思うと、自分の親や親戚や友人に、しっかりと注意喚起を促していかなくてはな、と思いました。


おかげさまで


サポートしていただけるとありがたいです。