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『d47の郷土料理』006山形 芋煮 を作って感じた進化形。

山形の芋煮を作るのは、初めて。
滋賀県多賀町とは、何の関係もない・・・こともなくて。


多賀町で出会った芋煮


実は、毎年11月、 桃原(もばら)ごぼう掘りイベント時、
掘りたてのゴボウと、近江牛 千成亭さん提供の牛肉、桃原ごぼうの連作対策で植える里芋、多賀にんじんなどが入った、絶品贅沢「芋煮」が昼食でふるまわれます。

ごぼう掘りイベントでふるまわれる芋煮
大人気の芋煮

山形の芋煮ニュースはテレビで見てなんとなく知っていました。しかし、この桃原ごぼう入り芋煮をいただくまで、芋煮が汁物という事すら知りませんでした。
桃原でいつも芋煮を炊いてくださるMさん。なんで山形の芋煮なんですか??と聞いたら、「美味しいやん!」のひとこと。ネットでレシピ検索して作るんよ、と。
しかも、この美味しさにはまだ秘密があって。多賀町の地酒、清酒多賀が「とくとくとく」と、たっぷり注がれているんです。

関係ないかもですが……、ふと思い出して過去の桃原データを検索。
聞き取り調査の記憶をたどって、2015年に調査した時のデータを見ると、山形県から桃原にお嫁に来られた方、確かにおられました。山菜の食べ方など、山形の食文化が、桃原集落に伝えられていたことを確信しました。

『d47食堂の郷土料理 つづくをたべるレシピ』にであう

なぜ桜の咲く季節に、里芋シーズン終わりなのに、芋煮を作りたいと思ったのかといいますと・・・。
『つづくをたべる食堂』相馬夕輝著の付録冊子『d47食堂の郷土料理 つづくをたべるレシピ』を開いて、一番最初に目に飛び込んできた「芋煮」の写真から、ごぼう掘りの美味しい思い出が頭をよぎったからなのです。

この芋煮ページからごぼう掘りの美味しい記憶が……。

4月7日、滋賀県多賀町の料理屋FUJIYAさんのイベント、
GIVE ME VEGETABLE × ターンオン多賀に行ってきました。

『郷土料理っておもしろい』
相馬夕輝さん(D&DEPARTMENT)
 ゲスト:安田花織さん(ヤスダ屋)
(協力:Mitts Fine Book Store)
このお二人のトークが聴きたくて。

YOBISHIプロジェクトで冊子を作った2019年頃、『d design travel』の47都道府県が次々と出版されていました。生まれたところ、住んでいたところ、旅行で行ってみたいところの冊子を次々購入しました。
地域の土着的な個性をデザインで魅せるスタイルに感動して、冊子作りの構成に大いに影響を受けました。そして、「多賀定食」を作るのが当時夢でした。

郷土料理を継承するのって大変。でも今聞いておかなければ分からなくなる。それを記録して伝えたい。
おこがましくも、私たちと同じ思いで活躍されているお二人のお話しが聴けたのはとても有難かったです。

桜が満開で気持ちいい気候、
急遽屋外でのトークイベント。

・郷土料理のレシピ再現だけでなく今の人に必要なカタチに
・土着のもの×風×文化×土地×よそ者で、文化がアップデートできる
・若い人にも関心を持ってもらえるように
継承の工夫のしどころを学ぶ貴重な時間でした。

多賀町の郷土料理発信ばかりにこだわって、レシピ作成をしていましたが、他地域の食レシピを見て作ることが無かったことに、今回トークイベント後に気づきました。
ということで・・・本場の味を知る「芋煮」にチャレンジしたくなったのです。
レシピのありがたい所は、その地でしか手に入らないものでなく、一般でも手に入る代用品が書いてあるコト。「甚五右ヱ門芋」なんて手に入りませんもん。同様、「「桃原ごぼう」もしくはゴボウ」と今後は表記しようと学びました(笑)。
シンプルで分かりやすいレシピ。初めて作ってもゴールが見えるのって重要です。

『d47の郷土料理』006山形 芋煮を作る!

レシピの分量に従って、作ってみました。
まずは、コンニャクを一口サイズに切って下茹で。
滋賀に来て初めて見た時はびっくりした赤コンニャク。歯ごたえあって美味しいのです!

赤コンニャク

出汁の指定が無かったので、昆布か鰹か迷った末、いつもお味噌汁を作る時にとる出汁と同様にイリコで。季節によって変わるイリコのサイズ。今日は水1ℓに5匹。

イリコだしは出身地香川の文化?

里芋、キノコは冷蔵庫にあったシイタケと舞茸。
薄口醤油・濃口醤油・酒・砂糖の調味料半量を入れて火にかけます。
沸いたら肉を入れて中火に。

肉に火が通ったら弱火に

残りの調味料を入れて、里芋に火が通るまで煮る。

最後にネギを入れて完成!
我が家の芋煮……

我が家の芋煮が完成。この赤コンニャクが入ったイリコ出汁の、異文化交流芋煮……。この地で作りやすい素材で作り、ふるまい続ける、口コミで広がり、これが現代の郷土料理の進化形?極端に言うとこれからは、このように縁もゆかりも無いところで伝承されるかも知れない時代になるのでしょうか。

大量につくる桃原の芋煮の深い味には及びませんが、ほぼ味はコピーできたのではと自己満足しています。
山形に行って「甚五右ヱ門芋」の入った本場の芋煮に会いに行きたい!と思いました。

郷土料理は守るものじゃなく、そこから学び進化させる対象で、現代においても進行形なものである

『つづくをたべる食堂』

まだ、読み始めたばかりですが、いろいろ沁みる沁みる。「進化させる対象」の視点が、これからのYOBISHIプロジェクトの活動に間違いなく加わります。





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