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日本アニメ史上最高の作画アニメを知ってますか?

私、ロボットアニメでいえばガンダム派なんだよね。
マクロス派ではない。
というか、あの「マクロス」主人公のリア充感が生理的に無理。
なぜか、70~80年代のアメリカの匂いがする男性像だよね。
大体、パイロットの主人公とシンガーのヒロインって、どんだけバブリーな設定なのよ。
こういうのは「マクロス」シリーズを仕切る、河森正治さんの趣味だろう。

河森正治
リア充感のある人だよね・・

2019年、NHKが「全マクロス大投票」という人気アンケートを実施していた。
結果は以下の通り。

<全マクロス投票>

総投票数:254,131票
【1位】
マクロスF(2008年TV)
【2位】
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(1984年映画)
【3位】
マクロス7(1994年TV)
【4位】
劇場版マクロスF~サヨナラノツバサ~(2011年映画)
【5位】
超時空要塞マクロス(1982年TV)
【6位】
マクロスΔ(2016年TV)
【7位】
マクロスプラス(1994年OVA)
【8位】
劇場版マクロスプラス(1995年映画)
【9位】
劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ(2018年映画)
【10位】
マクロスダイナマイト7(1997年OVA)

「マクロスF」

なぜか、「マクロスF」が強かった。
意外と理由は、はっきりしている。
要は、女性票なんだ。
このベスト10の中で「マクロスF」と「マクロスΔ」、つまり00年代以降の作品だけ、得票の男女比が半々、もしくは女性票の方が多いんだよ。
それ以外の「マクロス」は、みんな圧倒的に男性票ばかりなのに。
これは00年代以降のアイドルブームに乗り、多くの女子が「マクロス」を「アイドル作品」と認識し始めたということ。
そう、がっつり新規層を取り込めたんだ。
これは、おいしい流れだよね。
「ガンダム」もそのへんをよく分かってるからこそ、「水星の魔女」で女性層を意識した作風のものにしたんだろうけど・・。

「水星の魔女」って、乙女ゲームみたいだったよね

ただ私は、「バトル作品は硬派であるべし」と考える古いタイプの人間なので、上記のベスト10結果にはあまり納得していない。
私が「マクロス」シリーズの中で「これは凄い!」と震えた作品はふたつで、それは
・マクロスプラス(1994年OVA)
・マクロスゼロ(2002年OVA)

なんだよ。
ランキングでは、「プラス」が7位、「ゼロ」が11位。
これ、作品のクオリティ考えたら低すぎるやろ。
私としては、この2作品が1位と2位でいいとさえ思ってるのに。

「マクロスプラス」
「マクロスゼロ」

こういうの、凄いと思わない?
何とも思わない人って、いるんだよねぇ・・。
「え?飛行機雲がたくさん出てるだけじゃん?」とか言って。
多分「マクロスF」や「マクロスΔ」に投票した女子は、歌ばっかり聴いててこういう細かい描写には全く無頓着だと思うんだわ。
だから、ランキングで「プラス」も「ゼロ」も上位に届かなかったんだよ。
まぁ、こういうのは男と女の生理的思考の差ともいえるだろう。
男はメカの動きをついつい見入っちゃうのに対し、女の人はメカになど興味がなく、ひたすら人間の表情や動きをじーっと見てるんだよね・・。

「マクロスプラス」特技監督・板野一郎

さて、上の画像はアニメファンならお馴染み、板野一郎氏である。
この人と河森さんが揃ってたら、なんかチョイ悪オヤジのオーラが濃すぎるわ(笑)。
アニメ関連の話題になると必ず出てくる「板野サーカス」という言葉は、彼の代名詞というべき、追尾ミサイルvs戦闘機の疾走感ある作画を指す語彙である。
これは真似しようと思っても、なかなか他のアニメーターには真似できない神の領域らしい。
私も、制作スタッフに板野さんの名前を見つけると、やっぱりそのアニメを見ちゃうもんなぁ・・。

板野サーカスの数々

日本人ってのは手先が器用だから、時々こういうバケモノじみた才能をもつ職人が出てくるもんである。
そりゃ今はCG技術が進化してきてるから、「板野サーカス」みたいなものは比較的易しくなってきてるさ。
実際02年の時の「マクロスゼロ」はフルCGだし、ほぼ同時期の「戦闘妖精雪風」もフルCGで、これがもうトンデモない高みに到達している。
しかし、94年の「マクロスプラス」の頃はまだCG導入が完全ではなかったらしく、かなりの部分を手描きで頑張っていたらしい。
うん、私はシリーズで「マクロスプラス」の質感が一番好きなのよ。
この作品って、出来が完璧じゃない?
これをまだ見てない人も、もう見てる人も、既にCG慣れしてしてる現時点の我々の目でもう一度「マクロスプラス」を見てほしい。
やっぱ、これ凄いよ。
あくまで暫定だが、私は「アニメ史上最高の作画」に「マクロスプラス」を認定します。

ちなみ板野さん自身は、金田伊功さんという伝説のアニメーター(09年に逝去)の技法に憧れてたらしく、それを真似たりもしてるらしい。

金田伊功さんの描いたアクション(1984年)

なるほどな~、と思う。
ご本人いわく、
「金田さんあっての板野サーカス」
らしい。
しかし、その板野さんも今じゃ憧れる側から憧れられる側の立場となって、たとえば庵野秀明は彼を「師匠」と慕っているらしい。
ちなみに、庵野さんは「板野サーカス」を完全に習得してるんだってさ。
こうやって、日本のアニメ技術は代々受け継がれていくんだね・・。

じゃ最後に、その板野さんが「マクロスプラス」の前に手掛けていたOVA、「メガゾーン23」をご紹介しよう。
この作品はシリーズになってるんだが、「Ⅱ」では板野さんが監督を務めている。

「Ⅱ」は1986年の作品

これ、めっちゃ「マクロスプラス」と似てるんだわ。
主人公はバイク乗ってて、生意気なキャラで、しかし女にモテてるタイプ。
でもってヒロインは芸能関係の仕事しており、構造が完全に「マクロス」である。
おまけに「マクロスプラス」同様、物語のカギを握る人物としてバーチャルアイドルが出てくるんだよね。
「メガゾーン23」は、「マクロスプラス」の元ネタとしても楽しめるかもしれない。
キャラクターデザインが梅津泰臣、メカニックデザインが荒巻伸志。
スタッフも充実している。
ストーリー的には、「俺たちが住んでる町が実は地球じゃない?」みたいな展開。
80年代にしては、割と攻めた内容のSFである。
エロシーンもなかなか攻めていて、主人公とヒロインのベッドシーンの時に結合部分が見えて、モザイク処理されてたのにはビビったわ(笑)。
さすがOVA、テレビアニメじゃできない表現をしている。

このリンミンメイっぽいのがバーチャルアイドル

これはOVA黎明期の金字塔的作品とされてるので、見といて損はないかも。
何より、板野さんの初監督作品だからね。


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