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低予算アニメのお手本「この素晴らしい世界に祝福を」

最近、「呪術廻戦」のアニメのクオリティの高さが話題になってるでしょ?
既に原作を超えてるとも言われてるし、作画は映画並みだとも言われてたりして。
聞けば、予算が結構な額でついてるらしいじゃん。
このMAPPAという制作会社は、過去に「チェンソーマン」で製作委員会方式でなく単独出資方式というジブリみたいなことをやってのけたツワモノで、おカネに関してはかなりハイリスクハイリターンの覚悟がある会社っぽい。
今まで映画でかなり儲けたらしいが、その資金をまた「呪術廻戦」に大きく投じたんだろうね。
お陰で、あのクオリティだ。
あ、製作委員会とは何かについては、興味のある方はこちらをどうぞ↓↓

「鬼滅の刃」もそうだったけど、このところガッツリ予算をかけたアニメが大成功する傾向もあり、低予算主体の深夜アニメ群としては頭の痛いところだろうね。
といっても、あまり低予算アニメを馬鹿にするなかれ。
過去に「けものフレンズ」みたいな例だってあるし、「この素晴らしい世界に祝福を」だって、最初はかなりショボい予算だったみたいだよ。
いまや小説「このすば」の累計発行部数は1000万部を超えているらしいんだが、これは完全にアニメ効果であり、正直いうとアニメ化されるまではそこそこレベルでしか売れてなかったらしい。
それほどアニメがバカ当たりしたわけで、ここまで人気になるとは誰も想定してなかっただろう。

じゃ、なぜこんなに「このすば」アニメ化は当たったのか?
これは皮肉になってしまうけど、低予算アニメだからこそのお気楽コメディとしてウケたんだと思うよ。
しかし低予算といいつつ、「このすば」は声優だけは妙に豪華だったんだ。
雨宮天、高橋李依、茅野愛衣、堀江由衣、豊崎愛生などなど、実力派の人気声優がずらりと揃ってる。
そして、こういう声優さんたちが低予算だからというわけじゃないにせよ、妙に肩の力を抜いてアドリブ連発の自由な収録をしたわけよ。
めぐみんの魔法詠唱なんかは台本に「アドリブで」としか書かれてなかったみたいだし、ダクネスの変態演技もかなり茅野さん任せだったっぽい。
そして何より、これまでお姫様系のイメージだった雨宮さんが、あそこまでアホ役がハマるとは誰が想像しただろう。
そう、「このすば」のヒットの理由は声優のはっちゃけに他ならず、そしてそれを許されたのは、本作が低予算アニメだったからこその話。
と考えると、低予算アニメも意外と悪くないと思わない?

「この素晴らしい世界に祝福を!」 やはり雨宮さんはアクアより綺麗!

まぁ声優のアドリブは、監督さんによっては絶対許されないこともあるだろうね。
ただしコメディとなると、アドリブを敢えてやっちゃう声優さんの気持ちが分からなくもない。
というのも、ライブなら観客がいるから自分の演技に対するリアクションをダイレクトに確認しながら演れる安心感があるけど、スタジオ収録の場合はそれを確認するバロメーターが収録スタッフのリアクションのみである。
するとスタジオにいる声優たちの心情として、見てる収録スタッフたちを
いかにして笑わせてやろうか、みたいなノリになってしまうらしいのよ。
必然、台本にはないアドリブが増えてしまうものらしい。
こういうのは悪ノリをしすぎるとあれだが、まぁ「このすば」ぐらいのノリなら全然OKじゃないだろうか。
しかし悪い例を挙げれば、かつて「ハヤテのごとく」では声優よりもむしろ
スタッフの悪ふざけが酷くて、劇中に監督やその奥さんまで出してきた時はさすがに見てて不愉快になったもんさ。
内輪ネタをやっててアンタらは楽しいかもしれんが、見てる視聴者側は全く面白くないことぐらい分かるだろうに・・。

「ハヤテのごとく」ギャグアニメの金字塔だが、一方で原作を逸脱した悪ノリが目立つ

アドリブといえば、皆さんはレジェンド声優の広川太一郎氏をご存じだろうか。
だいぶ前に亡くなった人だけど、彼はよく香港映画(MrBOOだっけ?)などの吹替で台本を無視し、即興のアドリブでやっちゃう声優だったんだ。
そのアドリブで出てくるボキャブラリーというのがまた凄くて、いうなればプロレス実況してた頃の古舘伊知郎っぽい才能かと。
この「広川節」のファンは多かったはず。
彼が吹替やると映画が確実に面白くなるので、スタッフ側も彼の自由裁量をある程度許容してたようだ。
そこまで自由な権限を与えられる声優って、普通はなかなかいないよね。
今の時代でいうなら、広川さんとは少しタイプが違うにせよ、若本規夫氏の「若本節」はかなり有名かと。
あの独特の巻き舌で抑揚をつけたクセの強い口調は誰にも真似できない芸風で、出てきたら「あ、若本さんだ」とすぐに分かってしまう。
きっとスタッフ側も「若本節」を期待して彼をキャスティングしてると思うし、もはやどんな役でも彼の色に染まっちゃうんだよね。
だから若本さん、今さら役作りとかしないらしいよ。
どんな役でも「若本節」でやっちゃうから、今までどんな役をやってきたかを聞いても彼はあまり覚えてないらしい(笑)。

「すべらない話」のナレーションでも有名な若本氏
今思うと「ハヤテのごとく」のナレーションもハチャメチャだったよな・・

最近の若い層には声優になりたい人が増えてると聞くが、おそらくそういう人たちは「このすば」や若本さんを見て、「なんか楽しそう!」と感じてるんだろうね。
まぁ確かに、楽しそうではあるけど。

雨宮天

この絵に声を当てる作業、いつも美少女役しかやらない雨宮さんだからこそ超絶楽しかったに違いない。
こういう楽しさって、アニメの予算の大小じゃ測れるものじゃないんだよね。
そして声優たちの楽しさは、必ずや視聴者に伝わるものである。
というわけで低予算アニメ=駄作と決めつけず、第2第3の「このすば」を
今後も見つけていこうじゃないか。

低予算で作画が安定しないくせに、魔法のシーンだけはやけにかっこいい「このすば」

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