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あなたは、アニメを制作会社気にして見る派?

ネットで某サイトを見ていて、興味深い記事を見つけた。
ランダムに選ばれた成人男女2406名を対象にし、次の3つの質問をしたとのこと。
【Q1】
アニメを見る時に制作会社を気にしますか?
【Q2】
好きな制作会社はありますか?
【Q3】
制作会社で気になる時のポイントはどこですか?

そのアンケート結果は、以下の通り。

アニメ見る時に、制作会社を気にする人は3割程度か・・。
でもって、やたら京アニの人気が高いね。
なるほど。
じゃ、今回はアニメ制作会社について書いてみようと思う。

まず制作会社を語るにおいては、過去を紐解かねばなるまい。
上記のアンケートでは「好きな制作会社」として、京アニ、ufotable、MAPPA、シャフトなどの名が挙げられてるが、正直いってそれらは「老舗」ではない。
60年代から既に存在していた本当の老舗は、主に4つ。

・東映動画(現在の東映アニメーション)
・虫プロ(後に破産)
・タツノコプロ
・東京ムービー(現在のトムスエンタテインメント)

中でも最も古いのは東映動画で、40年代から発足していたというから驚きだ。
そういや、私が子供の頃から「東映まんがまつり」とかあったなぁ。
その頃はまだ「アニメは子供が見るもの」というのが社会常識で、上記4つの老舗は子供向けを強く意識した会社だったと思う。
確かに今でも、東映は「プリキュア」、東京ムービーは「アンパンマン」
など、子供を強く意識した作風になってるよね。
しかし、70~80年代ぐらいから少しずつ「アニメはオトナが見てもいいんじゃね?」という思想が育まれ、まるでそれに呼応するかのようにして
老舗からアニメーターの独立が相次いだのね。
その流れを、まずは東映動画から見てみようか。

見ての通り、スタジオジブリは東映の流れを汲んだ会社だったわけだ。
それ以上に私が注目したいのは、動画工房。
実は、ジブリ以上に歴史あるところだったんだね。
最近では、「可愛いキャラを描かせるなら動画工房」という評判が定着してすっかり萌え専門の会社になってる感もあるが、なるほど、彼らは東映動画の子供向けアニメから可愛いキャラメイクのスキルを継承してきたわけか。
とはいえ、この系列の「親」である東映アニメーションは「ワンピース」や「プリキュア」といったドル箱を抱えてるだけに、アニメーターが多少流出したところで絶対に潰れることはないだろう。

じゃ、次は虫プロを見てみようか。
ここは言わずと知れた手塚治虫先生が設立した会社で、「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」など数々の名作を作るも経営は破綻。
虫プロにいた優秀なアニメーターたちは独立して、新たな会社を立ち上げたわけさ。

見ての通り、今のテレビアニメ界で中核になってる会社のほとんどが虫プロ系列だ。
偉大なる手塚治虫先生、ありがとうございます。
サンライズ、マッドハウス、シャフト、京アニ。
これらは80年代で既に活動してた会社であり、やがてサンライズから独立したBONES、マッドハウスから独立したMAPPAなども今では業界のトップリーダーにまで成長したといっていいだろう。
本来アクションが得意のサンライズが近年アイドル物に手を広げたりしてる間に、BONESはアクションに特化してその道を極めてきた感じがある。
「モブサイコ100」の作画とか、ちょっと凄い水準になってたし。
そしてMAPPAも「呪術廻戦」を見ての通り、BONESに全く劣らぬクオリティを見せている。
漫画はともかく、アニメでは生涯苦労した手塚先生だが、先生が撒いた種は今ようやく花開いた感じだね。

じゃ、次はタツノコプロを見てみよう。
ここは70年代に「ヤッターマン」や「ガッチャマン」などで一世風靡した会社だが、その後は正直あまり栄華が長く続かなかったと思う。
よって優秀なアニメーターたちが独立し、新しい会社を作る流れができた。

さすがタツノコの系列だけあって、SFを描かせれば無双の Production I.Gはここだったか。
そしてそれ以上に注目すべきは、 そのProduction I.Gからの流れを汲む新興P.A WORKSとWIT STUDIOである。
どちらも作画に定評があり、P.A WORKSはお仕事系アニメのトップランナーになってるし、WIT STUDIOは3Dを組み込んだアクションがいまや業界NO1と名高い。
特に「進撃の巨人」で見せた立体機動の疾走感たるや、あれは日本アニメ界に革命を起こしたといっていい。

じゃ、次は東京ムービーを見てみようか。
ここは今じゃトムスエンタテインメントという名前の方が通じやすくなっていて、古くは70年代に「ルパン三世」で一世風靡した会社だ。
今でも「アンパンマン」や「名探偵コナン」など、日テレのアニメを数多く手がけている。

この系列で注目すべきは、やはりufotableだろう。
近年は「鬼滅の刃」で大ヒットを飛ばした会社であり、それ以前にも「Fate」シリーズで大ヒットを飛ばしている。
ダークファンタジー+ufotable+梶浦由記の音楽=大ヒット、という公式はいまや業界の常識であり、この流れは今後もしばらく続きそうだ。
「鬼滅」や「Fate」に比べるとやや知名度が劣るけど、もし「空の境界」をまだ見てないなら、是非これもチェックしておいてほしい。

さて、以上4つの系列を見てきたんだが、これらを見てて私が率直に思ったのは、「老舗の牙城が新興勢力に削られてきてるな・・」ということ。
冒頭のアンケート結果に話を戻すが、「Q3 制作会社が気なる時のポイントはどこですか?」の問いに対し、72.5%が「作画」と答えている。
そして、「Q2 好きな制作会社はどこですか?」の問いに49%が「京アニ」と答えてることからして、京アニ=作画の良い会社、と認識されてると見て間違いない。
しかしまた別のサイトのアンケートでは、「作画の良い会社」として次の
3社が挙げられていた。

・ufotable
・MAPPA
・WIT STUDIO

注目すべきは、この3社がいずれも新興だということ。
別に、この3社に現時点で京アニが劣ってると言いたいわけじゃない。
そもそもジャンルが少し違うし、今でも京アニの「画の美しさで泣かせる」という領域展開は健在であり、特に「ヴァイオレットエヴァーガーデン」でその技は日本アニメ史の頂点を極めたと思うよ。
ただ、あそこまでのものを作ったら、これから先どうすんの?と思ったのも事実。
これはあくまで私の憶測だが、これから先、京アニの天下はそう長く続かないんじゃないかと・・。
上の系譜図を見て学ぶべきことは、それこそ平家物語のように「盛者必衰の理をあらわす」である。
私は今期の「呪術廻戦」を見て、「ああ、遂にキタな・・」と思ったよ。

このクオリティを劇場版でなく、テレビでやるのはもはや反則である

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