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言葉の宝箱 0513【やる気になった時にやらなきゃ、後で悔しい思いをするだけ】

『黒と赤の潮流』福田和代(早川書房2009/2/25)


阪神大震災で祐一は両親を亡くした。何かを亡くすのは初めてではない。超高校級スプリンターだった彼は二年前に事故で引退を余儀なくされた。走れない脚は亡いも同然だが、ボート仲間のタイ人青年ドゥアンが殺されたことを契機に凍った祐一の心に火がつく。背後に浮かぶ蛇頭と孤島に住む大物財界人の影。いつしか祐一は第二の脚となった船で大海原に走り出す。
青春海洋冒険サスペンス。


・腹の中は煮えくりかえっていたのだが、
そういう時こそポーカーフェイスでいるべきだということも、
この二十年で学んだ。人当たりがいいと言われる由縁だ P37

・勢いだよ、勢い。
やる気になった時にやらなきゃ、
後で思い出して悔しい思いをするだけ P45

・この男はよく笑う。笑うのは心の中を隠すためだ P347

・生きている人間にはいくらでも謝ることもできるが、
死んでしまった人間にはわびのひとつも言うことができない P383

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