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第10章 資格フリーランスとして 活動するための準備・設備投資

資格でつくる戦略的人生ロードマップ
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オフィスは絶対要件ではない

フリーランスとして活動するためには、最低限の設備投資などが必要です。パソコンなど各資格の仕事に必要な備品などは言うまでもなく用意するとして、そのほかの判断に迷うところについて、私の体験も踏まえながらお伝えしていきます。

まずはオフィス。フリーランスで活動する際に、専用のオフィスを持つべきかどうかという問題があります。

これは、「専門家ならオフィスくらいないと信用されない」「いや、最初から経費をかけるべきではない」という2つの考え方がありますが、私は圧倒的に後者を支持します。

その理由のひとつは、フリーランスで活動するということは、どんなに小さくても「事業」をやることと同じだからです。つまり、最初から無駄な経費をかけるべきではありません。自宅兼事務所で十分です。売上ひくことの経費が収入になりますので(もちろん税金はかかりますが)、経費を抑えることが重要なポイントです。

私自身、行政書士で開業した当初は、アパートを自宅兼事務所としていました。6畳一間の事務所スペースすらない場所でしたが、接客スペースがないからといって、仕事が取れないということはありませんでした。

なぜなら、接客スペースがないなら、自分からお客様先に出向けばいいからです。そのほうがフットワークも軽く見え、印象もよくなります。

なかには、どうしても「行きたい」と言うお客様もいらっしゃいましたが、「応接のスペースがないもので申し訳ございません」とお断りしていました。その際、場所は近くの喫茶店やホテルのラウンジなどを使用しました。

一度オフィスを借りてしまうと、万が一仕事がなくなってきた場合、最終的には撤退しなければならなくなります。そうすると、撤退を伝えることによって、それまでつくってきた知り合いに対して、どうしてもマイナスの印象を与えてしまいます。

以上のような理由から、オフィスは成功の絶対要件ではありません。もちろんビジネスを大きくして、人を採用したいなどというような段階になれば、当然オフィスは重要になってきます。

また、都心にはインキュベーション施設と呼ばれるようなレンタルオフィスも低価格から借りられることがあるので、できるだけお金はかけない方向でいくのが最初の段階ではいいかと思われます。

用意しておきたい備品、ツール

フリーランスで活動する際に必要となるもので、用意しておきたいことの説明をします。実際に活動する際に活用してください。

【1】名刺、会社案内
 これらについては営業術(第7章)のところで説明しましたが、最低限必要なものだと考えてください。これは絶対要件です。
【2】請求書、領収書
 自分自身の屋号を書いた請求書と領収書をつくっておくと便利です。ちなみに「屋号」とは個人事業の商店名のようなもので、個人事業主は自由に名乗れます(前出の事例、「行政書士松本由喜彦事務所」や「黒川明税理士事務所」なども屋号です)。
【3】FAX送信表・送付状
 FAXを送る場合の送信表や書類などを送る際の送付状をつくっておくと便利ですし、また「フリーランスでもしっかりしている」という印象になります。できればつくっておきましょう。
【4】専用の銀行口座
 個人の口座をそのまま使用してもかまいませんが、できれば事業用と分ける意味で、もうひとつ口座をつくっておいたほうが便利です。口座は個人名義でも屋号でもつくることができます。
【5】事業用の電話回線
 アナログな営業が成功しているのであれば、携帯電話だけでもかまいませんが、自宅兼事務所にする場合で、家族と同居しているようなケースは専用回線を引くとベストです。
【6】仕事用のEメール
 仕事用の独自ドメインを取得し、使用すると、個人でもビジネスとしてしっかりした印象になります。私の場合も「info@yokosuka-office.com」というアドレスを使用しています。

開業のための法律的手続き

「サラリーマンの副業は納税義務がない」と言われることもありますが、自分自身の営業活動による個人所得が年間20万円を超えた場合には、フリーランスにも納税義務があります。ですから、会社に勤めながらフリーランスで活動した場合も、確定申告をしなければなりません。

当然、実際に会社を辞めてフリーランスで活動する場合、納税義務があります。確定申告をしなければなりません。

確定申告というと、難しくて面倒くさいイメージがありますが、実際のところ個人事業で数百万円程度の収入であれば、毎月ある程度の経理処理をしておけば、確定申告はそれほど難しいことではありません。

ここでは最低限準備しておくべきことを掲載しておきます。

【1】開業届と青色申告の承認申請書を提出しておく
自分の事務所(または自宅)を管轄する税務署に行けば、細かい説明を受けることができますが、税務署に「個人事業主の開廃業届」と「青色申告の承認申請書」を提出します。これはできるだけ提出してください。

その際に、「記帳指導」を受けるかどうかという選択ができますので、できれば指導を受けるという選択をするといいでしょう。すると、個人事業主は税理士などから経理の指導を受けることができます。料金は原則としてかかりません。

私自身もこの記帳指導を受けることによって、少しずつ経理がわかるようになってきました。税理士と知り合う機会は少ないので、ぜひこれを活用してください。

【2】経理のソフトを購入する
個人事業主用に、多くのソフトウェアが販売されています。1万円前後の気に入ったものを買えば十分でしょう。このソフトがあれば、確定申告の際も非常に簡単にできますので、最初の投資としては用意したほうがいいと言えます。

最近はユーザーサポートもしっかりしているものが多いので、ひとつ買っておけば十分でしょう。ただし、古いものを買ってしまうと、税金に関する法律の改正に対応していない場合がありますので、できれば最新版を買うことをお勧めします。

確定申告の基礎知識 日々の経理から申告まで

確定申告は、1年間の経理をまとめて申告するものです。1月1日から12月31日までを1年とし、その経理をまとめて申告書をつくり、翌年の3月15日までに提出します。これが確定申告の流れです。

必ずこの期間に提出してください。期限に遅れれば、当然延滞税がかかりますので早めの提出を心がけましょう。

普段からやっておきたいことは、領収証と請求書の整理です。これが段ボール箱などにたまってしまうと、申告前に整理するのが憂鬱になりますので、日頃からやっておきましょう。

何が経費になるかは、事業の内容や状況に応じてケースバイケースですので、先ほどの記帳指導を活用して、個別のケースは税理士に尋ねるなどするとよいでしょう。

領収証の整理ですが、簡単な方法として、大学ノートを使用する方法があります。

A4など大きめの大学ノートに領収証を1月分から順序よく貼りつけていきます。この作業をしておくだけで、あとで整理がしやすくなります。ですから、最初からこうした整理をしておきましょう。

あとは毎月、経理ソフトを使用して、入力作業をしていけばいいでしょう。日々の積み重ねが、のちのち確定申告の作業を助けますので、毎日はできなくても、最低、月に一度は入力するようにしておくといいでしょう。

※掲載されている内容は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、書籍販売当時のまま掲載しています。

本書「ごく普通の人でも資格を取ってきちんと稼げる本」は、当初「なぜ、人は資格に恋してしまうのか」と改題し、POWERCONTENTSPUBLISHINGより加筆編集の上再出版される予定でしたが、現在の刊行が未定となったため、現在は横須賀輝尚オンラインサロン四谷会議でその改変原稿を読むことが可能になっております。

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