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すーこと学ぼう!0「ユニバーサルデザイン」

 荷造りの一休みの間に少し、備忘録として残しておこうと思う。
 先日の投稿などでも書いたが、私は、バリアフリー、ユニバーサルデザインについて学んできた。詳細は端折るが、その中で、noteのみなさんと共有したいと思うことを一つご紹介したい。

ユニバーサルデザインとは

 ユニバーサルデザインと聞いてどんなことが思いつくだろう? 点字ブロック? ピクトグラム?
 ユニバーサルデザインに該当するのは、先ほどの例で言うと、ピクトグラムが該当する。点字ブロックはバリアフリーの概念に包容される。
 「ユニバーサル(universal)」とは、「普遍的な」と翻訳されるが、「ユニバーサルデザイン」というときの意味では「誰もが利用しやすい(デザイン)」ということになる。たとえば、先ほどの点字ブロック。視覚障がい者や弱視の方のためにと整備が進んだが、弊害として、車椅子を使用する方やベビーカーを押す方には段差で危ないという一面も生まれた。このように、あちら立てればこちらが立たぬとなるが、そうでなくみんなが幸せになれるようにと立ち上がった人によって提唱された。

ユニバーサルデザインの歴史|バリアフリーとの違い

 もう少し具体的に話すために、一つ記事を引用したい。できるだけいろんなところから記事を引用していきたいと思う。

 まずは、歴史を学んでいこう。上の記事から、歴史について抜粋する。

 ユニバーサルデザインの歴史が始まる以前の1963年、デンマークで「ノーマライゼーション」が提唱されました。ノーマライゼーションは、障がい者や高齢者を特別視するのではなく、一般の人たちと同じように暮らせるようにしよう、という考え方です。この考えは北欧諸国から世界へと広まり、バリアフリー化の推進にもつながりました。
 その後1990年に、アメリカで「障害をもつアメリカ人法(ADA)」が成立します。障がい者への差別を禁止し、交通機関や公共施設は障害の有無にかかわらず使えなくてはならないことを定めたものです。これをきっかけに、すべての人が使いやすいデザインを提供しよう、という運動が広がりました。その中心となったのが、ノースカロライナ州立大学のユニバーサルデザインセンターを設立したロナルド・メイス教授です。教授は「あらゆる体格、年齢、障がいの有無に関わらず、誰もが利用できる製品、環境を創造する」という「ユニバ―サルデザイン」を提唱しました。
 メイス教授は幼い頃の病気がもとで、酸素吸入をしながら電動車椅子を使って生活していました。バリアフリーで特別扱いされることに疑問を抱き、初めから誰もが使いやすいデザインを考えればいいと、仲間とともにユニバーサルデザインの考えを広めていったのです。
 日本でも、少子高齢化社会への対応が求められる中、ADAの成立を受けてユニバーサルデザインの考え方が広まっていきました。1994年に施行された「ハートビル法」では、劇場や銀行、ホテルなど誰もが日常利用する建築物などにおいて、高齢者や身体障害者が利用しやすい建物にすることを求めています。2005年には、国土交通省が「ユニバーサルデザイン大綱」を発表し、それまでメインだったハード面の対策に加え、心のバリアフリーなどソフト面も考慮されるようになりました。また「東京オリンピック・パラリンピック」の開催にあたっては、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が立てられ、さまざまな取り組みが実践されました。

講談社「ユニバーサルデザインとは? 「誰ひとり取り残さない」暮らしを目指して|SDGsにまつわる重要キーワード解説」
https://sdgs.kodansha.co.jp/news/knowledge/40879/#section-1-1
(2022.3.21閲覧)

 メイス教授は、バリアフリーの概念の「4つのバリア」の一つ、「意識上のバリア」に苛まれ、「ユニバーサルデザイン」という考え方を生み出すにいたったのだ。ここで、「4つのバリア」を押さえたい。

(1)物理的なバリア
公共交通機関、道路、建物などにおいて、利用者に移動面で困難をもたらす物理的なバリアのこと。
例えば、路上の放置自転車、狭い通路、急こう配の通路、ホームと電車の隙間や段差、建物までの段差、滑りやすい床、座ったままでは届かない位置にあるものなど。
エレベーターのボタンが高い位置にあると、車いすを使っている人はボタンが押せません。

(2)制度的なバリア
社会のルール、制度によって、障害のある人が能力以前の段階で機会の均等を奪われているバリアのこと。
例えば、学校の入試、就職や資格試験などで、障害があることを理由に受験や免許などの付与を制限するなど。
盲導犬に対する理解が不十分なため、盲導犬を連れての入店を断られることがあります。

(3)文化・情報面でのバリア
情報の伝え方が不十分であるために、必要な情報が平等に得られないバリアのこと。
例えば、視覚に頼ったタッチパネル式のみの操作盤、音声のみによるアナウンス。点字・手話通訳のない講演会。分かりにくい案内や難しい言葉。
車内アナウンスだけでお知らせしても、聴覚に障害のある人には情報が伝わらず、どうしたらいいのか困ってしまいます。

(4)意識上のバリア
周囲からの心ない言葉、偏見や差別、無関心など、障害のある人を受け入れないバリアのこと。
例えば、精神障害のある人は何をするか分からないから怖いといった偏見。障害がある人に対する無理解、奇異な目で見たりかわいそうな存在だと決めつけたりすることなど。
点状ブロックがあることに無関心で、その上に無意識に立ったり物を置いたりすることで、視覚障害のある人のバリアをつくってしまいます。

政府広報オンライン「知っていますか?街の中のバリアフリーと『心のバリアフリー』」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201812/1.html(2023.3.21閲覧)

 「バリア」は環境だけでなく、人が生み出している。つまり、1人1人が理解し、配慮をすることで防げる。その上で一歩進んで、「誰にでもやさしいユニバーサルデザイン」が生まれ、お互いを尊重しながらよりよい制度設計、物の開発をしていこうということになった。
 ユニバーサルデザインにあたる「ピクトグラム」も、オリンピックで来訪する方や海外の観光客の方にも伝わるよう、そしてもちろん自国の様々な方にも伝わるようデザインされている。

 他にも、両利き用ハサミ、自動ドア、シャンプーとリンスのボトルのギザギザ、紙幣の識別マークなど、身近にユニバーサルデザインが潜んでいる。

ユニバーサルデザインの7原則

 日本人は3が好きだとよく言われるが、今回はラッキーセブンの7だ。(ラッキーセブンは関係ないと思うが。)

1:誰にでも公平に利用できること

誰にでも利用できるように作られており、かつ、容易に入手できること。

2:使う上で自由度が高いこと

使う人のさまざまな好みや能力に合うように作られていること。

3:使い方が簡単ですぐわかること

使う人の経験や知識、言語能力、集中力に関係なく、使い方がわかりやすく作られていること。

4:必要な情報がすぐに理解できること

使用状況や、使う人の視覚、聴覚などの感覚能力に関係なく、必要な情報が効果的に伝わるように作られていること。

5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること

ついうっかりしたり、意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られていること。

6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること

効率よく、気持ちよく、疲れないで使えるようにすること。

7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること

どんな体格や、姿勢、移動能力の人にも、アクセスしやすく、操作がしやすいスペースや大きさにすること。

(出典:国立研究開発法人 建築研究所 「ユニバーサルデザイン7原則」https://www.kenken.go.jp/japanese/research/hou/topics/universal/7udp.pdf

ユニバーサルデザイン7原則は、建築家や工業デザイナー、技術者、環境デザイン研究者などからなるグループが、協力しあってまとめたものです。

株式会社ユーディット「ユニバーサルデザイン7原則」
http://www.udit.jp/report/ud_7rules.html#:~:text=%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%EF%BC%97%E5%8E%9F%E5%89%87%E3%81%AF,%E3%82%92%E6%98%8E%E7%A2%BA%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

 使い手のことをよく考えたとてもよい7原則だと思う。原則5つ目は、うっかりな私には大変ありがたい設計である。今や、建築業界だけでなく、広くメーカー、国や都道府県などでも、この7原則に則ってものづくりや制度設計が行われている。
 コクヨも、ユニバーサルデザインの製品を多く世に送り出している。

印刷物のユニバーサルデザイン

 基本を押さえたところで、やっと本題に入りたい。noteのみなさんの中には、noteの記事をまとめて印刷物として送り出す方もいらっしゃるだろう。そんな方が、ユニバーサルデザインを意識して作りたい!という場合に、こんなことを意識するとよいのではということを共有したい。
 なんと、無料で良質な手引きがあるのである。1つ目は、横浜市発行の「わかりやすい印刷物のつくり方」である。

 リンク先にPDFデータがあるので、詳細はぜひダウンロードして確認してほしい。
 2つ目は、オフィス伝わる「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」より、「バリアフリー」の項目である。

 私からは、とりあえず私の知識として持っていることを共有したい。これは、小説冊子を作るというだけでなく、普段の会議資料、プレゼン資料にも役立つのでぜひ一緒に確認していければと思う。

1 UDフォント

 UDフォントすなわちユニバーサルデザインフォントというものが存在する。

 これは実際、ディスクレシア(読字障害)の子どもたちにも効果があり、教育の現場で少しずつ重視されてきている。

 有償のものだと質の高いUDフォントが使用でき、ウェイト(太さ)も選べるのだが、実は無償で使えるものがある。「Windows 10 October 2018 Update」より、標準フォントとして、モリサワの「BIZ UDフォント」「UDデジタル教科書体」が搭載されているのである。ぜひご自身のパソコンでWordなどを立ち上げて、UDフォントを探して体感してほしい。

2 文字の大きさ

 いくらフォントに拘っても、文字が小さかったり、行間が狭かったり広すぎたりすると読みづらいのはおわかりのことと思う。プレゼン資料や配布資料などによって、ポイント数が異なるので、そこはネットで調べて適したポイント数を確認してほしい。また、ポイント数を設定して満足するのでなく、実際資料として準備できたら、他の人に読んでもらったり、映して遠くから見てもらったりすると、視認性をしっかり確認できてGood!

3 配色

 たとえば、プレゼン資料としてPowerPointで作ったスライドを投影する際、目がチカチカしないように、真っ黒でなく少し黒字の濃さのパーセントを落とした濃いグレーがよいと言われている。同じように、原色100%はきついので、少し色味をおさえるとよい。スライド資料については、こちらも参考になるので共有しておこう。

 色の組み合わせ的にも見づらいものがあったり、また特定の色だけ視認できない方もいたりするので、詳しくはやはりネットで調べてほしい。ただ、今まで共有した資料のすべてを読んでいただければ、ある程度はわかるのではないかと思う。

参考書籍

 私は上記の記事に加え、以下の書籍も購入して学んできており、現在も勉強中だ。私のようなノンデザイナーにもやさしいわかりやすく読みやすい本なので、参考までにお伝えしたい。

個人的に気になっている本

さいごに|おしらせ

 さて、いかがだろうか。みんなでユニバーサルデザインを学んで、みんなにやさしいユニバーサルデザインに配慮した印刷物が増えたらいいなと思っている。みんなにやさしい配慮をしたいという思いを形にする手段、それがユニバーサルデザインだ。
 今後、もし需要があれば、「すーこと学ぼう」シリーズを時折更新してみようかと考えている。
 今回の記事より、今後の記事は良質なものを目指すつもりだ。読んでよかったと思ってもらえる記事を書けるように、ライティングスキルと、知識と経験の積み重ねを怠らずに励みたいと思う。引用も、ただ引用するだけでなく、きちんと記事として成立するように努めたい。私自身が、このシリーズを通してライティングスキルを学んでいこうと思っている。
 コンセプトは、「一緒に学ぶ一歩を踏み出しませんか?」。私の記事より、良質な記事や一般書籍は山ほどある。私の記事は、そういう書籍の入口に立つために、まず興味を持って少し知ってみませんか? というスタンスで書きたい。つまり、私自身も学びたい。私は講師ではなく、一緒に学ぶひとなのだ。私を知っている人ならなんとなく察する方もいるかもしれない。「星野源のおんがくこうろん」のホストのイメージだ。「◯◯」と聞いて、興味はあるけど、勉強までは…… そんな方に向けて、私も気になりながら深く学んでいなかったことを、一緒に"楽しみながら"学びましょう! という気持ちを持って書こうと思う。
 それではまたいつか、一緒に新しい扉を敲きましょう。またね。

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