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心が折れにくい、打たれづよい人になる方法 【レジリエンスの高め方】

こんにちは、野口嘉則です。

生きていると、落ちこんだり傷ついたりすることってありますよね。
今日は、ズバリ「落ちこんだり傷ついたりした状態から回復する力の高め方」についてお伝えします。
「心が折れにくい人」「打たれづよい人」になりたい方は、最後まで読んでくださいね。



<レジリエンス=心の回復力>


僕たち、落ちこむこともあれば、傷つくこともあれば、悲しむこともありますよね。

だけど、落ちこんだり傷ついたり悲しんだりした状態から、ちゃんと回復して立ち上がってくる力も存在します。
この力のことを「レジリエンス」といい、「心の回復力」とか「心のしなやかさ」とも言われます。
このレジリエンスの高い人こそが、心が折れにくくて打たれづよい人なんです。

レジリエンスについて考えるうえで、まず大事なポイントがあります。
それは「心が折れにくいというのは、落ちこまないことではない」ということです。

なにがあっても落ちこまないし傷つかないって人がいたら、どう思いますか? その人は、よほど感受性がにぶってしまっているか、感情を強く抑圧しているんじゃないのかなと、僕は心配しちゃいます。

直立不動の大木だって、暴風が吹くと折れちゃうことってありますよね。
ところが、竹っていうのは、幹は決して太くないのに、暴風に強いんです。
その理由は「竹はしなう」からだと言われています。
つまり、ほんとうの強さって、竹のようなしなやかさなんです。

僕たちは、悲しいときには悲しんでいいんです。落ちこんだり傷つくこともあっていい。そして、そこからしっかりと回復して、自分らしい人生を生きることができたら、素敵ですよね。


<レジリエンスの5つの要素>


それではさっそく、心の回復力であるレジリエンスについて説明をはじめていきますね。
レジリエンスのいろいろな要素の中でも、特に大事なものが5つあります。

  1. 出来事への反応のしかた

  2. 客観視するチカラ

  3. 人間関係

  4. 思考の柔軟性

  5. 自己受容

今回の記事では5つのうち、1~3について詳しく解説をします。

4. 思考の柔軟性 については、内容がかなり濃くなるので、次回の記事でじっくりとお話をします。

5. 自己受容 については「自己受容 7つのステップ」という僕の動画を無料公開しています。自己受容は、5つの要素の中でも土台といえる重要な要素なので、かなり丁寧に解説しています。
以下のページで入手できます。
自尊心・自信を高める 自己受容「7つのステップ」


<出来事への反応のしかた>


ではまず、1つめの要素「出来事への反応のしかた」についてお話しましょう。

小玉正博教授という方が、ひとの心の折れやすさと出来事への反応のしかたの関係性を調べる実験をしました。

実験対象はけん玉の初心者です。
その人たちにけん玉をわたして「今からこのけん玉を練習し、習得してください」と課題を与えたんです。

そうすると、実験に参加した人たちの中に、「20分以内に放棄してしまう人」がでてきました。この人たちは心が折れやすい人だと考えられますね。

また逆に、「1時間以上チャレンジしつづけた人」たちもいました。この人たちは心が折れにくい人だと考えられますよね。

そして、「心が折れやすい人」と「心が折れにくい人」の2つのグループを調べると、それぞれに共通点が見つかりました。

「心が折れやすい人たち」と「心が折れにくい人たち」それぞれに見つかった共通点とは、なんだと思いますか?

まず「心が折れやすい人たち」のほうから発表しましょう。

心が折れやすい人たちの共通点。
それは「玉が皿にのるたびに、ヨッシャーと声を上げたり、ガッツポーズをしたり、飛び上がって喜んだりする」という共通点があったんです。ハイテンションになっちゃうんです。

ところが人間というのは、テンションをあげて興奮すると、反動としての落ちこみも激しくなる傾向があるんですね。

この実験においても、「心が折れやすい人たち」は、成功したときはハイテンションになるいっぽうで、失敗すると、めちゃくちゃがっかりしたり悔しがったりする傾向がありました。

つまり「心が折れやすい人」「レジリエンスの低い人」の特徴は、「ハイテンション型」だったんです。また、落ちこむときの落差が激しいので「感情の起伏が激しい人」とも言えますし、「目の前の出来事に一喜一憂する人」と言うこともできます。

ここまでの話をふまえると、1時間以上つづけることができた「心が折れにくい人たち」の共通点もなんとなく想像できますよね。

そう、「心が折れにくい人たち」は、「目の前の出来事に一喜一憂しない」という共通点があったんです。

成功しようが失敗しようが、一喜一憂せず淡々とこなしていたのが、「心が折れにくい人たち」でした。皿に乗ったか乗らなかったかという目の前の結果ではなく、コツをつかみ上達していく、練習のプロセスそのものを楽しんでいたんですね。

「レジリエンスが高い人」の特徴を顕著にもっている人に、イチロー選手がいます。
イチロー選手は、守備でファインプレーをしたときも、淡々としていて、当たり前みたいな顔をしていましたよね。バッターとして新記録を達成した瞬間も、周りがアツく盛り上がっている中で、イチロー選手本人はかなりクールでした。
こういったメンタリティは、まさに高レジリエンス型なんですね。

ここまでの話をまとめると、レジリエンスの高い人の「出来事への反応のしかた」というのは、目先の出来事に一喜一憂しないということなんです。
淡々とクールに何かをこなしているように見えますが、プロセスの中で喜びを味わっている。そして、テンションの起伏が激しくない、ということなんです。


<高揚感をもたらすものに依存しない>


それでは、目先のことに一喜一憂しないようになるには、具体的にどうすればいいのでしょう?

そのためにできることのひとつとして「高揚感をもたらすものに依存しない」ということがあげられます。

高揚感や万能感をあじわっているとき、僕たちはネガティブな感情に直面せずに済むんですね。こうやって心を守ることを、心理学の言葉で躁的防衛そうてきぼうえいと言いますが、実はあまり健康的な守り方ではないんです。

なぜ「躁的防衛」が不健康なのかというと、躁状態(ハイテンション)の反動で、落ちこみがひどくなりやすいからです。つまり、感情の起伏が激しくなるんです。
またそれと同時に、高揚感や万能感、陶酔感をもたらすものへの依存症になりやすいんです。

高揚感や万能感、陶酔感をもたらすものに依存してしまっているケースをいくつか挙げてみますね。

・ギャンブル依存
・買い物依存
・アルコール依存
・恋愛依存
・セックス依存
・クレプトマニア(万引きをやめられない)
・過食症
・ワーカホリック(仕事中毒)

買い物やお酒など、ひとつひとつのことは悪くないんです。
だけど、コントロールが効かずに止められなくなったりすると、健康や経済状態、自分自身の信用などにダメージをもたらしますよね。こういった依存症の背景にあるのは、高揚感、万能感、陶酔感をもたらすものによって躁的防衛をすることが習慣になってしまったということなんです。

高揚感、万能感、陶酔感を味わっているとき、僕たちの脳内には、ドーパミンという快感ホルモンが出ます。ところがドーパミンというのは、その快感が長続きしない上に、中毒性があるんです。たとえば、他者から称賛されることを目標にしても、達成したときにもたらされる高揚感や万能感っていうのは長続きしないんですね。なので、再びそれを求めるようになり、さらに「もっと、もっと」とエスカレートしていきがちで、結果的に安らげない人生になるんです。

ドーパミン系の願望があるいっぽうで、幸せや安らぎをもたらすセロトニン、オキシトシン系の願望というものもあります。
セロトニン・オキシトシン系の願望の例をいくつか紹介していますね。

・人とのつながりを作る
・たわいもない会話で談笑する
・自分の好きなことを楽しむ
・自分らしく生きる
・だれかに貢献する

セロトニン系、オキシトシン系の喜びっていうのは、ドーパミン系の喜び(高揚感)よりも、深い喜びがありますし、幸福感や安らぎをもたらします。
さらに、非常に長続きして安定的なんです。

遊園地に行ったり、スポーツ観戦をしたり、友達と飲みに行ったり。そんなふうに、たまにほどほどの高揚感を味わうっていうのは、ストレス発散にもなるし、悪くないと思います。
一方、日常的に高揚感に依存するようになると要注意なんです。


<自分の感情を受容する>


前述の「高揚感をもたらすものに依存しない」ことを進めるためには、「自分の感情を受容する練習」がめちゃくちゃ有効です。

つまり、「がっかり」とか「悲しい」とか「寂しい」とか「不安」といった、いわゆるネガティブと言われる感情を、受け入れることができるようになる。つまり、抑圧せずにちゃんと感じることができるようになる、ということです。
これができるようになれば、「躁的防衛」でごまかす必要がなくなってきます。高揚感をもたらすものに依存しなくてよくなってくるんですね。


<客観視するチカラ>


では次に、レジリエンスの2つめの要素「客観視するチカラ」について話していきましょう。
これには「自分を客観視するチカラ」と「状況を客観視するチカラ」があります。

自分を客観視するチカラとは、「わいてきた感情に飲みこまれずに、自分になにが起きてるのかを一歩引いて見るチカラ」です。

例えば夫婦げんかをしてるときって、怒りが出てきたりしますよね。
でも、それに丸々飲みこまれてしまうんじゃなくて、冷静になることができる自分がいると、客観視するチカラがあるということです。

「自分はいま、相手のことをひどいやつだと思ってるけど、これって実は自分のこころの傷がうずいてんだよな~。自分って、こういう状況になるとどうしてもこういう反応しちゃうんだよな」
といったかんじに、どこかで気づいてる自分がいるといいんです。
ちなみに、その視点を育てていく方法について、また折を見て、別の記事で話をする予定です。

あと、状況を客観視するチカラも大切です。
僕たちの人生、生きてると、思い通りにならないことや予期せぬ事態はつきものですよね。
予期せぬ出来事が起きたときに、状況を客観視できていないと、反応的にパニック状態になったりキレたりしがちなんです。

ここで一つ、エクササイズをやってみませんか。
よかったら、次の指示にしたがって、やってみてください。

足踏みをしながら、

同時に、右手で宙に自分の住所を書きながら、

同時に、口では好きな歌を口ずみながら、

さらに同時に、頭の中では、100から3ずつ引いていく計算をしてください。100、97、94、91というふうに。

4つ同時にやってみてください、どうぞ!


って、このエクササイズ、けっこう無理ですよね(笑)
キャパを超えたことをいちどにやろうとしたら、誰でも混乱しちゃうもんです。

だけど、この4つの作業って、ひとつひとつに分解して順番に集中してやっていけば、すべてできることなんですよね。
足踏みだけ、できますよね。
右手で住所だけも、書けますよね。
好きな歌も、口ずさめますよね。
100から3ずつ引いていくのも、これだけに集中してやればできるんじゃないでしょうか?

しかし、一度にやろうとすると混乱します。
僕たちが人生で混乱してるときって、同じことが起きてるんです。
いま目のまえに起きている大変なことを一気に解決しようとしてるから、混乱するんです。そして、状況を客観視できなくなっているんです。

と、いうことは。
なにか思い通りにならない状況が起きたときも、ひとつひとつの作業に分解していけばいいわけです。
自分のできることにまで分解していけば、状況を冷静に客観視できるし、そして順番にひとつずつやっていけば、確実に前に進んでいきます

だから、予期せぬ事態に直面して混乱しかけたときは、今のエクササイズを思い出して、自分にできる作業にまで分解していきましょう。
そして、どれからやるか順番をきめて、ひとつずつやっていけば大丈夫です。

この練習をつづけると、状況を客観視するチカラが高まります。


俯瞰ふかんする>


それからもうひとつ、客観視するチカラを身につけるために出来ることがあります。
それは「物事を、一歩引いて俯瞰する」ということです。

事業で成功した人や、仕事で高いレベルに到達した人のような、なにかを成し遂げた人たちにおこなったインタビューの記録があります。
インタビュー項目の中に、「これまでの人生経験の中で、宝といえる経験はなんですか」というものがありました。
この質問には、ほとんどの人が、「苦労した経験」「大きなカベにぶつかった経験」「難問題に直面した経験」を答えたんです。

そこからわかるのは、人生っていうのは、「そのとき最悪だと思えたことが、のちに最善の経験に変わる」っていうことです。
でも、僕たちってついついそれを忘れちゃうんですよね。それで、目の前のことしか見えなくなって混乱しちゃうんです。

「長い人生において、この経験が自分にどんな恩恵をもたらすのか」という|俯瞰する視点を常に持っておくといいんですね。


<つらいときに話をきいてもらう人がいる>


では最後に、レジリエンスの重要な要素の3つめ「人間関係」についてお話しましょう。

高レジリエンス型になるために、人間関係において大切なことは、とてもシンプルです。
それは「つらいときに話を聞いてくれる人がいる」ことです。

たった1人でもいいので、つらいときに話を聞いてくれる人がいると、僕たちのレジリエンスは強くなります。

話を聞いてくれる人っていうのは、知人じゃなくてもいいんです。むしろ、最も確実な方法は、プロに聞いてもらうことだと思います。
もちろん、自分の友達や上司や親のような知人の中に、信頼できて、話を聞いてくれる人がいればOKです。それに加えて、プロの心理カウンセラーに聞いてもらうっていうのも、すごく効果的な方法だということを覚えておくといいかもしれません。


<まとめ>


さて、今日は、心の回復力「レジリエンス」の5大要素から3つの要素のお話をしました。

ときには人間らしくつまづきながらも、そのたびに立ち上がるための力、それがレジリエンスでしたね。高められそうな気がしてきましたか?

<まとめ>
・レジリエンスとはこころの回復力

・要素1「出来事への反応のしかた」
 ・ 高揚感をもたらすものに依存しない
 ・ 自分の感情を受容する
・要素2「客観視するチカラ」
 ・ ひとつひとつの作業に分解する
 ・ 人生という長い目で|俯瞰する
・要素3「人間関係」
 ・ つらい時に話を聞いてもらえる人をつくる

・要素4は次回の記事で解説
・要素5は無料動画をプレゼント中

僕のnoteでは、読めば読むほど「自己肯定感が高まり」「人間理解が深まり」「人間力が養われる」コンテンツをお届けしています。

これからも確実に自己実現へ向けて進みたい方、ぜひフォローをしてたくさんのヒントを受け取ってくださいね!

次回は、レジリエンスの要素の4つめ「思考を柔軟にする」というテーマでお話をします。
あなたの人生って、あなたの思考パターンがつくりだしているって知っていましたか? 思考を柔軟にすると、僕たちの感情や行動のパターンにも変化を起こすことができるという話もしますよ。
お楽しみに!


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