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精神病院物語-ほしをみるひと

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連載長編、精神病院物語のマガジンです。
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記事一覧

精神病院物語-ほしをみるひと あとがき

「精神病院物語-ほしをみるひと」ですが、この小説は僕の十五年前の精神科への入院生活を元に…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第三十四話(最終話)

 入院生活も三ヶ月になった。前の入院は一ヶ月だったので、ちょうど三倍である。  江上が退…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第三十三話

 午前中をデイケアで過ごすと、昼休みは一度病棟に戻って昼食を取らねばならない。だからその…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第三十二話

 退院が近づいているのを感じていた。  休みなく通っていることを考慮され、デイケアには午…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第三十一話

 僕は競争相手が見えなくなった道程を、延々と走り続けている。  最早コースはまっすぐです…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第三十話

 読書により幻聴と戦う日々が続いている。  活字の力を借りて、幻聴とぶつかり合うのは決し…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第二十九話

 昨日は死ぬかと思うくらいに症状が激しく、最早ここまでかと思ったが、寸でのところで一命をとりとめた。  僕を助けてくれたのはあの来宮さんだった。僕は以前、彼女のことを片思いしていた。だけど昨日の一件から意識が変わって、尊敬できる先輩のような存在になりつつあった。  あのとき、来宮さんは狂気すら感じる真剣さで、僕に人のあり方を語ってくれた。来宮さんがこれまで病気で苦しんできた思いも交えて、僕に伝わる言葉をぶつけてくれた。  僕はおかしくなっていたし、来宮さんもおかしいことで苦し

精神病院物語-ほしをみるひと 第二十八話

 東京で過ごした最後の日々。小滝さんのことで散々苦しんだこと。自分の底をみたこと。幾多の…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第二十七話

「うわ、キモーッ!」 「マジやばいよねあの情けない顔」 「あんな私生活送ってたら友達もでき…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第二十六話

 日中眠り続けた日の夜。夕食が終わってからヤングジャンプ最新号を広げ、人気漫画の模写をし…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第二十五話

 ホールまで足を運んでみると、ナースステーションの前にキーボードが置かれ、奏者に合わせて…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第二十四話

 それからしばらくめぞん一刻ばかり読み返していた。主人公の浪人生に自分を重ね、こんな恋が…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第二十三話

 夜になった。夕食が終わってから僕はホールで絵を描くわけでもなくぼーっとしていた。これは…

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精神病院物語-ほしをみるひと 第二十二話

 明くる日の午前中。僕は予定通り病院に戻ることにした。  自宅での一日はほとんど寝ているばかりだったが、実家の布団の心地よさを知ることができたのは収穫だった。だけど……。  次はいつ、ここに戻ってこられるだろうか。  僕は不安だった。何故なら、入院してもう一ヶ月半が過ぎたのに、僕は未だに幻聴がよくなっていなかった。ちょっと勢いづけば入院当初と大して変わりはなく、こんなにも治っていない僕が予定通り退院できるとは到底思えなかった。  仮にこのまま退院したとして、どこでどう僕は治っ