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あるものが数えられない


「ないものねだり」

この言葉はある意味魔法の言葉だ。
自分のぐちゃぐちゃっとした感情は
だいたいこの言葉が片づけてくれる。

悩んでいる時を振り返ると
いつもないものねだりで
隣の芝生は真っ青だ。

なくした物を数えて
瞳閉ざすよりも
あるものを数えた方が
瞳輝きだす


こんなふうに生きられればと思っても
うまくいかない。

いつも楽しそうなあの子が羨ましいし、
こんなに頑張ってきたはずなのに
なんで。
と瞳どころか心も閉じている。

優しくしてくれる人が
順風満帆そうにみえて恨めしく
酷いことを言ってしまうこともある。

その度必ずそれまで以上に
心は闇に落ちる。

毎日毎日なんとかいい人であろう、
日々に感謝して生きていこう、
そう思って生きているはずなのに
気づくと苦しい。

狭いワンルーム、
ユニットバスの湯船に何時間も浸かって
心を溶かす。

何かが流れ出て
軽くなる。
またなくなったものを
探してしまう。


何を持っていて
何を持っていないのか
立ち止まって考えると崩れ落ちそうになる。

いつか幸せになる、と
見えないなにかを探しているふりをして
なんとか立っている。

誰かを励ますふりをして
誰かに励まされたいと思っている。

あるものを数えるのは
難しい。
こうしている間にも
何かを失う。
失ってから気づく。

本当に大切にするべきものは
なくなってからしか気づけない。
ガラクタばかり集めて
私はからっぽだ。

あのハンバーグを
もう一度食べたい。
それだけなのかもしれない。

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