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5分でわかる本居宣長! 「やまとこころ」と「漢意」の違い

「やまとこころ」とは何か?

「やまとこころ」とは、本居宣長が発見した、日本の伝統的な精神のこと。
「やまとこころ」とは、人間の生のままの感情=「あらみたま」や、ありのままに移り行く諸行無常の世界=「もののあはれ」を尊ぶ心である。

「あらみたま」とは何か?

「あらみたま」とは人間の激情である。
岡本太郎はこの精神を「芸術は爆発だ」と唱えた。

「もののあはれ」とは何か?

「もののあはれ」とは実体の在り方を意味する言霊である。
「もののあはれ」を尊ぶことはある種のリアリズムであって、これは現実を観察する科学的な視点であり、噂やイデオロギーにとらわれない精神でもある。
本居宣長は、「源氏物語」という創作小説にこそ、実体的な人間観察を見出して、創作にも「もののあはれ」が宿っていると考えた。
現代で言うならば、「機動戦士ガンダム」の人間劇にある種のリアリズムが存在していることと同じである。

彼は、斯様な「やまとこころ」こそが日本の伝統精神であると考え、それの対になる精神を「漢意」(からこころ)と呼んだ。
そして、江戸時代とは「漢意」が支配している時代だとも考えていた。

「漢意」(からこころ)とは何か?

「漢意」とは「やまとこころ」を否定する心であって、つまりは屁理屈を尊ぶ精神である。
江戸時代においては、儒教=朱子学四書五経などを妄信する精神が「漢意」であったが、経典原理主義は何時の時代の何処にでも在って、「聖書に書いてある文言は一字一句すべて正しい」などというアメリカ人は現代でも多く存在する。
彼等彼女等は、実体合理性を否定して、権威が述べることが全て事実であるなどとほざくが、それは全体主義社会を成立させる権威主義に過ぎないものだ。

教科書の暗記に走り、それから実体を無視した論理を立て、それを妄信することは、受験馬鹿によく見られる精神だが、受験馬鹿は実体を観察するノウハウをまるで持っていない。
体育の兎跳びやピラミッドは、人間の身体構造を否定した動きであるが、身体構造の観察と理解ではなくて、形式の暗記に走ることが「漢意」そのものであると言える。

「二十四孝」という儒教の経典では、親を喜ばすために何時までも子供で居ろなどというとんでもないことが説かれている。
現代の受験教育は元々は、科挙という中華の儒教的な制度から始まったものだが、儒教が跋扈したが故に、日本は大人がいない国になったのだ。

儒教とは、「全ての者には序列あり」という教義を持った宗教である。(江戸時代の林羅山は、実際にこれを発言している)
これは、親やら宗教権威やらの「お上」の言うことには絶対に従え、というものであって、「あらみたま」の否定そのものであって、「慶安の御触書」は儒教精神が体現された戒律そのものなのだ。
実は、神道にはそんな価値観は存在していないし、そもそも神道は教義が存在しないが故に宗教ではない。

ちなみに、明治時代に入れば、福沢諭吉は「二十四孝批判」という叙述を著したが、福沢諭吉も「やまとこころ」の人士であったと言える。

そして、「もののあはれ」を無視する愚かな言説に反対しないことが「漢意」のもう一つの側面である。
「王様は裸だ」といえない奴隷的精神であって、これは「あらみたま」の欠如そのものだろう。

「やまとこころ」は日本固有の精神であるか?

 「やまとこころ」は日本の伝統精神であるが、日本固有の精神ではない。
「やまとこころ」とは実体合理性であり、「漢意」とは屁理屈であって、これらはどちらも世界のどこにでも存在している。

イギリス経験論は「もののあはれ」を尊ぶ思想であって、実験観察によってルネサンス期のイギリス人は聖書や教会を疑うことを覚えた。
余談であるが、江戸時代の日本では儒教の思想に基づいた地球の姿が唱えられ、それは箱型のものであった。
儒教の公式学説においては、地球は箱型であるということは覚えておくべきだろう。
信長は地球が球体であることを知っていたが、江戸幕府はフラットアーサーであったのだ。

ヴァイキングの神話には、勇敢な人間はあの世で名誉ある地位に就ける、と述べているが、これは「あらみたま」の尊重であると言える。
彼等はアメリカ大陸をAD900頃に発見していたが、「あらみたま」と「もののあはれ」こそが科学技術に結び付く精神であると言って問題はないだろう。イギリスにしても北欧にしても、海洋国家であることは、日本との共通点である。

アメリカを最初に発見したヴァイキングの白人は、現代のアメリカ白人と異なって、地球が丸いことを理解していたことは間違いがなく、白人至上主義者がどう唱えようとも、彼等は完全に異なった精神をしている。
逆に、肌の色がどうあろうとも江戸時代の儒学者達は、現代のアメリカのキリスト教原理主義者達と、同じ思考を持った存在なのだ。



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