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透明な女の子のお話

君の手首には沢山の傷がある。

その傷をなぞるように、カッターナイフですっと線を描く。そこから真っ赤なまだ温かい液体がとくとくと流れ出る。

沢山の病院を回って貰ってきた、大量の睡眠薬を口に入れる。真っ白な睡眠薬が体の中で溶けていく。

ドラマでよくある首吊りの縄の結び方で結び、ドアノブに縄を引っ掛ける。

縄に首をかけるのが怖い。
君はそう言って泣いた。

僕はそんな君をずっと眺めていた。
綺麗だった。苦しんでいる君が、この世界中の何よりも美しく、繊細なものとして存在していた。

君の手から流れる赤と、君の口へ入っていく白、君の青い瞳から流れる透明が凄く綺麗だった。

そこで僕たちの記憶はいつも途絶える。そして翌朝、いつもと同じ天井を見つめている。

生きてるだけじゃ生きてけないんだよ。君はいつもそう言って寂しそうに涙を流す。

その透明をみて僕はまた美しいと思う。

その繰り返しで生きている。

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