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自分のために料理を作ること

ここ2年、大切に準備してきた『自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話』が8月25日に出版されます…!以下のnoteで参加者を募集した企画がようやく本になりました。

料理の話題の中でも「自分のために料理を作る」ことはまだあまり光が当たっていないテーマです。本を通じて、多くの方とこのことについて共有し、話を聞いてみたいと考えています。

この本を作ったきっかけ

私は、5年前から自炊レッスンと題して料理初心者や料理が苦手とおっしゃる方に自炊を教えています。その中で、自炊の技術は申し分ないにも関わらず「自分のために、料理が作れない」という声が日々寄せられていました。この声は私の中で喉に刺さった小骨のように気になり、それについて考えを巡らせる日々がしばらく続きました。

その頃、私のInstagramで「自分のために料理するのが億劫」という方に質問を投げてみると、過去最多の返答がありました。内容は主に「何が食べたいのかわからない。だから作れない」「自分しか食べないなら、お腹が満たされればなんでもいいと思ってしまう」など、料理する気持ちに関するものが多く寄せられました。一人暮らしの人だけでなく、パートナーや子どもがいる人も「人のためには頑張れるけれど、自分のためとなると雑なご飯しか作れない」と悩む人が少なくないのだなと、薄々感じていた感覚がそれぞれの思いとともに私の中で立体的になりました。

もしかするとこれはレシピや料理のコツで解決できる話ではないかもしれない「自分のために料理が作れない」という状況に必要なのは、一人分の簡単で時短できるレシピではなく、「料理したい」という気持ちが湧き出てくるようなケアであり、料理するの意味を改めて考え、実践してみる時間ではないか。そのような考えから、実際に自炊のパーソナルレッスンを通じて、料理の実践と対話を重ね一冊の本を作ることにしました。

どんな本か

この本は「自分のために料理が作れない」と感じている20代〜50代の性別がばらばらな6名の方に対し、私が3ヶ月間自炊コーチングを行い、気持ちの変化についてインタビューした様子をまとめた、本邦初(?)「料理実践ドキュメンタリー本」です。

第一章では、自分のために料理を作ることがなぜ複雑になってしまうのかを一つ一つ紐解いていきます。こんがらがってしまった糸を解いていくように、料理がなぜ複雑な家事になってしまうのか、どうして技術はあってもやりたくなくなってしまうのかについて深掘りしていきます。

第二章では参加者と私が実際のレッスンで話した様子や、精神科医の星野概念さんを交え参加者と三人で自分のために料理を作ることについてさまざまな角度から話してみた記録を対話形式でご紹介します。料理はただ食事を作って食べるだけではなく、その人の人間性や、人生観まで深く根ざしていることがよくわかる6つの対談になりました。

第三章では「自分のために料理を作る七つのヒント」と題して、どうやったら自分のために料理を作れるようになるのか、現時点で私が提案できることをまとめました。

なぜこの本が大事なのか

ここが本題です。私が今まで出してきた本は、週3回自炊して食材が使い切れるレシピ本『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。』や、誰でもおいしく作れる自炊のコツとレシピを紹介した『ちょっとのコツでけっこう幸せになる自炊生活』などがあります。それらでは、料理って楽しいよ、面白いよと明るくポジティブなメッセージを発信していました。
この本ではそのエッセンスも入れつつ、料理担当がいまだに女性が多いのはなぜなのか、品数を多く彩り豊かにすることに躍起になってしまうのはなぜか、自分のために料理をするために必要なのは技術を上げることではなく心のケアなのではないか…など今まで話せていなかったことに切り込んでいます。

「自分のために料理を作る」に関するレシピ本はいくつか出版されていますが、そこまで持っていくための気持ちをどう作るかについて語られた本はあまりありません。
この本は自分のために料理しよう!と提案すると同時に、自分のために料理するのってどうしてこうも難しいんだろうね?と疑問を投げかける内容になったと思います。6人の参加者のそれぞれ異なる料理感と、星野さんの優しく深い考察によって、このテーマがどんどん色を変え、話し足りない話題で溢れていることに気付かされました。

また、私は料理研究家ではなく、自炊料理家という肩書きで活動しています。仕事で初心者向けのレシピも作りますが、やっぱり私がやりたいのは「どうやったら料理人口が増えるか」というテーマに向き合い、実際に増やしていくことなのだとこの本作りを通じて確信しました。ということで、私の料理家人生を決める一冊と言っても過言ではありません。

自分が食べたいものを、自分で作れるって最高。自分の世話を自分できれば、引っ越しても、年収が下がっても、一人で生きていくことになっても大丈夫。そう思わせてくれるお守りとして「一人一自炊」あればいいなぁと感じています。

みなさんへのお願い

ここまで読んで、おもしろそう!と思っていただけた方は、ぜひ本をご予約いただけますと大変うれしいです。発売前に予約がたくさん集まると本屋さんも注目してくれます。

なおAmazonリンクを貼っておいてなんですが、本屋さんが近所にある方は「晶文社から出る『自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話』を予約したいです」とレジでお願いしてみてください。本屋さんで買い物すると、文化的なことしたな〜と不思議と嬉しくなるからやってみてくださいね。

また、(順調に行けばですが)8月から11月まで毎月1冊ずつ出版する予定です(2022年に出したかった本がずれてこんなことになってしまった…)!
人生で4冊連続出版の体験は二度とないと思っているので、全国を回って出版ツアー&料理レッスンをやりたいと思っています。

出版ツアーと言っても私にとっての「自分のために料理を作る」はこの本に書ききったので、全国各地でこの本に興味を持ってくださる方にとっての「自分のために料理を作るとは」について聞かせてもらう。そんな対話の場を作りたいと思っています。ぜひ、あなたにとっての料理の話を聞かせてください。

そこで最後にもう一つお願いです!このテーマに興味があり、イベントがあったら参加してみたい方は以下のフォームから情報をご登録いただけないでしょうか?その際に、お近くお気に入りのの書店さん、イベントを定期的にやっている書店さん、あるいはキッチン付きのイベントスペースなどおすすめあればぜひ教えていただけますと幸いです。
全ての場所に…というわけにはいかないかもしれませんが、今年の後半から来年の3月くらいまでにかけて、ゆっくりまわりたいと考えています。応募してくださった方々とお会いできますこと、楽しみにしています。

本のご予約ももちろんうれしいですし、「この企画、いいね」と思っていただけた方はご興味がありそうなご友人やSNSなどでシェアいただけるとジャンプして喜びます。
また、本の感想は #自分のために料理を作る でSNSにシェアいただけたら拝見させていたたきます。ぜひこのテーマについてたくさんの人と共有し、自分のために料理を作ることについて話してみたいです!

※追記:以下のフォームにメールアドレスの欄を記入忘れしていました。追加しました!(すでにご登録いただいていた方にお礼が送れず恐縮です。。)


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