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「学べる」のに「面白い」。そんなずるい本があってもいい

みなさんは、文章を書くのが得意ですか?

この質問に、胸を張って「はい」と答えられる人は、なかなかいないのではないでしょうか。
現にこの文章を書いている私も、これまでに仕事を通してさまざまな文章を書く機会がありましたが、迷いなく頷ける自信はありません。

学校の作文に始まり、手紙、履歴書、業務メール、あるいはSNSへの投稿もそうでしょう。人は生きている限り、文章から逃れることはできません。そのくせ、学校では日常生活に応用できる実践的なことまでは、深く教えてくれなかった記憶があります。

とはいえ、インターネット上には情報が溢れすぎていて何を信じたらよいか分からないし、本を買ってしっかりと勉強する気力もない。そんな風に、文章としっかり向き合わないまま生きてきてしまった方も多いはずです。私も、未だにメールを打っている途中で正しい敬語が分からなくなるときがあり、慌てて調べることも珍しくありません。

遊泳舎ではこれまで、ジャンルを問わずあらゆる角度から「心に飛び込む本」を目指した本づくりを行なってきました。言葉の魅力を追求し感性に突き刺さる本や、知識欲を刺激し日常を豊かにする本、伝統や人のつながりの温かさを再確認できる本や、自分自身の問題と向き合い前に進むきっかけを与える本……。共通しているのは、いずれも本という媒体に単なる情報以上の価値を感じ、その可能性を信じてきた点です。

そして、2022年11月に、10冊目のタイトル『私立文章女学院』を刊行いたしました。先述の「文章に対する苦手意識」に対して、本だからこそできる役割はあるのだろうか。そんなテーマに挑んだ一冊を、紹介させてください。


机のそばに置いておきたい「文章のレシピブック」


「学生のときに文章の書き方を教えてくれれば、こんな苦労はしなかったのに」

そんなきっかけから生まれた本書に登場するのは3人の主人公。舞台は学校で、1年生の順子、2年生の薫、3年生の明美と、学年が上がるごとに「知る」→「考える」→「伝える」のステップで文章の基本を学ぶことができます。
文章が苦手な人は1年生から順を追って学ぶこともできますし、文章を書き慣れた人は2年生や3年生から読み始めることも可能です。

すべてのページが見開き完結になっていて、番号が割り振られています。そのため、困った場面に応じて目的のページをすぐに見つけられ、必要な情報を得られるのも便利なポイントです。
著者はブックライターの加藤道子さんで、年間約10冊の本に携わり、手がけた本は100冊を超える実績の持ち主。また講師も務め、育てたライターは250人以上と、まさに文章の先生として腕利きの彼女が、文章が上達するための秘訣をシンプルに噛み砕いて説明してくれます。

「勉強をしよう」と身構えずに、まずは主人公たちと同じ目線で読み進めていくだけで、文章に対する予備知識や、執筆にあたっての意識や気配りが身につきます。無理に本書の内容をすべて暗記する必要はありません。困ったときに必要な場面に応じて確認できる、「文章のレシピブック」のような感覚で書斎や仕事机に置いておくだけで、頼もしい存在になってくれるはずです。


イラストと物語によって「楽しめる実用書」


本書の魅力は、実用性の部分だけではありません。全ての項目で、イラストレーター・深川優さんのアンニュイなタッチで描かれた80's 風のキャラクターたちが楽しくページを彩ります。

また、それぞれのページの例文が、3人の主人公たちを中心とした物語になっているのもユニークなポイントです。
本来、説明を分かりやすくするために存在する、いわば「内容に意味のないこと」が当たり前だった例文が、むしろ「ドキドキして次のページが気になってしまう」要素となっています。
主人公たちの夢や恋愛の行方を見守りながら、学ぶためではなく、楽しむためにページをめくり、その結果内容も身についている……そんなずるい本だと感じていただけたら幸いです。

コラムページには、インフルエンサー・ライターでもある保健室の先生が登場。
生徒たちの文章やSNSにまつわる悩みを、会話形式でズバッと解決します。より身近で実践的な内容も扱っているので、ぜひお役立てください。


みなさんのご入学、お待ちしております


最後に、デザインや造本でも、味わっていただきたいポイントがあります。
まず、手に取ると目を惹くのがタイトルロゴの校章。これは金の箔押しになっており、角度を変えるたびにキラキラと光ります。まるで主人公たちの通う「私立文章女学院」の生徒手帳を想像させるような、「物」としてのワクワク感を演出しています。

さらにはカバーのすべすべの質感や、レトロな模様の見返し、風合いのある本文用紙など、あらゆる要素が本書の世界観へ誘う舞台装置となっています。文章やイラストといったコンテンツ以外の部分でも感性に訴えかけることができるのは、まさに「紙の本」ならではの価値ではないかと思います。

大人にとっては懐かしく、若者にとってはあたらしい。そんなキュンとする魅力を散りばめながら、幅広く役立つ実用性もギュッとつまった一冊。学ぶもよし、楽しむもよし、両取りするもよし。ぜひ一度、書店にて実物を手にとってみてください。


こちらのページから、詳しい内容を一部ご覧いただけます。ぜひチェックしてみてください。


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