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令和源氏物語 宇治の恋華 第百四十六話
第百四十六話 浮舟(十)
正月十八日の賭弓(のりゆみ)や二十一日の仁寿殿の内宴がすむと親王である匂宮は落ち着きを取り戻す頃です。
大納言兼右大将である薫はこれから行われる司召(つかさめし=地方官の任官の令)のことなどありますのでまだまだ多忙な日々を送っているわけで、浮舟君のことを知ってからなんとか薫を出し抜こうと考えていた匂宮には願っても無いよい頃合いというわけです。
宮は再び大内記の道定を
令和源氏物語 宇治の恋華 第百四十五話
第百四十五話 浮舟(九)
匂宮は自分の御座所へ戻ると先刻の手紙の内容などを思い返しておりました。
近頃宇治へ足繁く通うという薫の噂を鑑みると例の浮舟君は薫の囲い者として宇治にあるということではあるまいか。
数日宇治に滞在するということも聞いていたので、てっきり亡き大君を偲んでいるものかと考えていたものを。
存外薫のように真面目ぶった者ほどこうした隠し事をうまく遂せるものだ、と面白くありま
令和源氏物語 宇治の恋華 第百四十四話
第百四十四話 浮舟(八)
万事が順調かと思われておりましたが、宿縁とは突然に残酷な顔を見せることもあるようです。
正月元旦の祝いが終わり、匂宮が若君の顔を見たくて二条院に戻っていると、折悪く浮舟からの手紙が中君あてに届けられました。
仕えはじめたばかりの小さな女童が自分の手柄のように小松とそれに結び付けられた髭籠(ひげこ=竹で編んだ籠)を手にして浮舟からの藍色の薄様の包み文と改まった立て文(
『光る君へ』第18話を観て・・・※ネタバレあり
みなさん、こんにちは。
『光る君へ』第18話のタイトルは「岐路」でした。
前回のドラマ感想文で道兼の死去と「長徳の変」について触れましたが、長徳の変は次回の「放たれた矢」で描かれるようですね。
今週はなんといっても道兼の死が壮絶でした。
17話感想文では、長徳の変について書いておりますので、ご興味のある方はご覧になってください。
冒頭
冒頭部分は大宰府に国司として赴任していた宣孝(佐々木蔵之
令和源氏物語 宇治の恋華 第百四十二話
第百四十二話 浮舟(六)
薫は京の母君や妻である女二の宮には物忌みの為と偽って宇治へ滞在しておりました。
浮舟をこちらに連れてきたのはよいものの、その存在を知られるわけにはいきません。浮舟はたしかに故八の宮の姫君ではありますが、世間に認知された子ではないので受領の娘ということになります。
天下の右大将たる薫の身分からいえば中流の娘は到底釣り合うはずもなく、そうかといって浮舟を女房風情の使用人