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桑田卓郎【アート】

しっかり梅雨明けして降り注ぐ陽射しはもはやありがた迷惑に感じてしまう週末。

今週は以前から気になっていたセラミックアーティスト、桑田拓郎さんの個展にお邪魔してきました。

場所は品川、Terada Art Complex
寺田倉庫が”天王洲を芸術文化の発信地とするためにアート事業に関連したコンテンツを集積”した場所。相対して建つ2棟の建物各階にギャラリーが入っていて独自の展示を展開しているので、一度にまとめて様々なアート作品を楽しめる。今回桑田さんの展示で初めて知ったのだけど、とても面白いギャラリー集積体。
近くに水路沿いで食事が楽しまるT.Y.Harborなどもあるのでここを目当てに来ても軽く半日は楽しめる。
展示も各ギャラリーが入れ替えていくので定期的に訪れてみても楽しめそう。

さてさて、ハコのお話はこれくらいにして、本題の桑田さんの展示。
もともと桑田さんの作品は、陶磁器を色々見ている中で見つけたのがきっかけ。土の感じを生かしながら、光沢のあるガラス釉でコントラストを付ける手法は一つの表現方法として多く使われている。しかし桑田さんの大胆な使い方と配色が(写真でご覧いただける通り)一際際立っていたので、一目見た以来釘付けになり、ワクワクして過去の作品を掘り下げていく中で完成された世界観に心酔している。

そして今回である。
最初写真を見ていただけでは分かりにくかったが、氏のInstagramで見ていく中で徐々にサイズ感がおかしいことに気付く、『なんかデカい…』。茶器などではなくオブジェだ。桑田さんのオブジェは東京駅丸の内仲通りにも飾られている。これを桑田さんと知らずに最初に見た時には正直『なかなかグロテスク』と思ったのを、そのインパクト故に覚えている。ただ茶器から入って桑田さんの作品を流れを追って知った上で見ると見え方が全く違う。

どうやってあの形を作っているんだろう
配色のインスピレーションは何だろう
どうやってあの色を出しているんだろう

興味が次から次から湧いてきて、見ていてずっと楽しい。

今回展示を行う、Kosaku KanechikaはComplex 1の5階。
業務用のエレベーターで5階に上がり、ドアが開いた瞬間にこれだ。

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つくしんぼうやきのこのようなものがニョキニョキ打ちっ放しのコンクリートから生えている。

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色のコントラスト

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光沢とくすみ

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丸みとひび割れ

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有機性と無機性

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触れてしまえば自分の指紋がくっきり付いてしまう繊細で柔らかそうな、
明日見たら別の形に変わっている生き物のような、
食べたらとても甘くて弾けた食感がしそうなポップなお菓子のような、
ギャップの塊達の群れ

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台座の上に置かれると作品感がグッと出てくる。

作品数が多くはないけれど、これだけディテールに富んだこの大きさのものをこれだけ作るにはどれだけ準備が必要なんだろう、その工程と手間を思うと頭が下がるばかり。
実際に使われ得る茶器とは用度は違うけれど、丸の内仲通りの作品を思えば風雨に晒されても作品の魅力が変わらない作品としての強度は高く変わらない。
これらの作品がそれぞれ次はどんなところでその場の雰囲気を作っていくのだろう。桑田さんの作品が十分に楽しめた事は言うに及ばず、他の作品もより見たくなるそんな充実の展示だった。


皆さんの、明日から始まる一週間が、心躍る好きなものに満喫・没頭・のめり込める瞬間があるものになります様に。

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