見出し画像

"書く力"を鍛える

企業で重視する書く力とは。そうれをどう育むのか。

書く力とはなにか、どのように鍛えていくのか、私達はどのような書く力を求めているのか。そしてそれをどう見極め、育むのか。企業の事例ももとに考えたい。

オンラインでの仕事が増え、仕事でのミスコミュニケーションを減らすためには、書く力を身に着けなければならないだろう。しかし書く力というものの奥深さや育むことの難しさについて考えさせられます。私達が書く力について学んできたことを5つの学びとして整理してみたいと思います。

学び1.読む、考える、書くは三位一体

書くということは読むということ、リアルな体験を通じて量・質ともに豊かな情報をインプットし、それを思考して整理し、自分の言葉として表出させるという一連のプロセスから成り立っている。"書けない"とういことは、"情報を得ていない""情報を得ても理解できていない""自分のものとするまで考え抜いていない"という様々な可能性を疑わなくてはならない。つまり、書けないことは、それだけにとどまらず、情報収集力や理解力、思考力など、企業で仕事の基本となるようなスキルが身につけていない、発揮できていないかもしれない。ということを認識したほうがいいということだ。

学び2.読み手を意識せよ

書く力とは何かという問いに対して、"相手を意識してその相手に伝えたいことがきちんと伝わることだ”多くの書く力を備えている人々は異口同音に言った。このために、まずは、自らが誰かに伝えたいような"何か"を持つことが重要であり、伝えたいというモチベーションを育むことが求められる。そして読みてを想定せず、ただ思いついた言葉をSNS上に無造作に発信するだけでは、書く力は育たない。自分が書きたいことを書くだけでなく、メタ認知する。つまり、書いたものと読み手の視点を言ったり来たりして文章を仕上げていくことが欠かせない。

学び3.表現力より構成力

文章の巧拙というと、私達は文法的に正しい、表現力が豊か、といったことに着目しがちだ。しかし、人に伝わるように書くために何より重視すべきは構成力である。文章の構成には、小論文の構成として紹介されている話題、論拠、抽象、主張という展開など、論理性を踏まえて書くための"型"が存在する。書く力の基礎として型を学び、自分のものにすることが求められる。

学び4.フィードバックの仕組みを

書いた本人のメタ認知による試行錯誤が重要であることは、「学び2」で既に書いたとおりだが、本人だけでやる必要はない。他者に見てもらい、論理の歪みや破綻、わかりにくい表現を指摘してもらうことで、書き手は思い込みから逃れることができる。社員が書けないと悩んでいるならば、求められるのはフィードバックの仕組みだ。書物としての精度を上げることのみならず、その人書き手としての成長を願うならば、"添削モード"ではなく、「何が書きたかったのか」という"コミュニケーションモード"で問いかけたい。

学び5.書くにも心理的安全が必要だ

フィードバックは重要だが、非常に厳しい言葉で"ダメ出し"されると、書くことそのものが嫌になったり、怖くなってしまうことがある。書くことによって考える力は育ち、それが仕事の熟達化につながる。そのように考えれば、「ここで自分は自分の考えを書き、表面しても大丈夫」という心理的な安全の担保も、組織に備えるべきことの1つだろう。

企業事例1「新卒採用で見極める」新卒採用の選考過程で、エントリーシートや作文という"書く試験"を課している。応募段階では、A4用紙3枚のエントリーシートを課し、通過者を対象とに筆記試験と作文試験を行う。ここでは800字の作文を書いてもらい、実際の書く力を見極めている。21年卒はオンラインでの試験となったため2時間の制限時間で実施。開始と同時にテーマを提示し、書いて提出してもらうという方式。この制限時間に書くということがポイント。蓄積された知識と情報、そしてふだんから深く頭の中に整理しておくことが求められる。
企業事例2「新入社員研修で育む」まず何を書くのか、自分の考えを整理するスキルとしてロジカルシンキングを学ぶ。キーメッセージは何か。どのようなストーリーラインで話をするのか。これらを検討するためのロジックツリーやMECE(ミーシー)などの型を学んでいく。次に学ぶのは、表現のためのツール。Microsoft Officeなどを中心に、メール、議事録、提案書や報告書作成などそれぞれのシーンに合わせて、適したツールを使いこなせるようにする。その後、ミーティングのプログラムでは、ミーティングの目的に合わせたアジェンダの作り方や進行の仕方などを学ぶ。それらを学んだうえで、実際に書くことを学んでいく。

企業事例3「昇進・昇格のタイミングで鍛える」昇進・昇格において小論文を課す。理由としては3つ。1つ目は、ビジネスにおいてコミュニケーションが欠かせないから。自分の言いたいことを明確に伝えようとしたとき、これだけオンライン化が進むと、オーラルなコミュニケーションと同時に書くことによるコミュニケーションのスキルが求められている。2つ目は、管理職として必要な能力があるかどうか。上にあがれば上がるほど、課題を把握し、それを発展させて解決に結びつけるという、課題解決のプロセスを論理的に組み立てる力が求められる。小論文はその力を見ることが出来る。テーマとしては「10年後の㈱●●●であなたは、どのような立ち位置にいるか」というような自らのキャリアと会社の将来を重ねたもの。そして3つ目は、「小論文を通じたキャリア自律の促進」この会社でやりたいことを自由に文章で表現することは、本人が将来を広く見渡すきっかけであり、その機会を設けることは会社の責任だと考えている。

まとめ 書く力を高めることは組織能力を高めることと同義

組織におけるオンライン上のミスコミュニケーションの原因の1つは、一人よがりの発信、つまり相手に対する配慮不足だろう。もう1つは、文章の構成への意識の低さだ。文章の技巧や表現力よりも、構成を意識したほうがずっと相手に伝わりやすい。読み手の既有知識やニーズを踏まえること。どのように書けば相手に伝わりやすいか、構成を工夫すること。少なくともこの2つ徹底することによてって、上司・部下・同僚・プロジェクト間など、組織のあらゆるコミュニケーションはスピーディかつ、円滑になる。

読んでいただきありがとうございます。心より感謝いたします。組織・人材開発会社 | SWITCH WORKS .inc https://www.switchworks.co.jp/