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一人っ子論の歴史(11)~なぜバッシングされてきたのか

▼今回の記事のハイライト▼

親は一人っ子の子どもに頼り切らない老後を過ごすべきであるなど、かつては自分勝手な夫婦としてステレオタイプに批判されるだけだった一人っ子の親を、老いも亡くなりもする現実的な存在として捉えている。
一人っ子擁護論にあっても、子育てが母親のものであるという考え方が改められることはなかった。そのためには母親は犠牲を覚悟しなければならないとされ、負担が強いられる傾向にあった。
血縁に頼ることが唯一の生きるすべになってしまう日本社会のおかしさ・・・、母子密着を批判しておきながら女性ばかりに家事、育児を押しつけることを全く批判してこなかった一人っ子育て本の理不尽さ

この記事は連載企画「一人っ子論の歴史~なぜバッシングされてきたのか」の第11回です。
▼第1回、第8回無料公開しました▼

前回の記事では、1990年代の日本において、学歴社会を背景に一人っ子批判が継続されつつも、一人っ子当事者による語りがなされてゆく様子について書いた。

今回の記事では、前回の続きとして、1990年代の日本において一人っ子擁護論が増加してゆく様子について見ていきたい。

●一人っ子擁護論の増加

90 年代には二つの新しい動きが起きた。

一つ目は、前回の記事で紹介したように、一人っ子当事者による語りが書籍として出版されたことである。
二つ目は、いまだかつてないほど一人っ子擁護論が増えてきたことである。

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