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浴衣は洋服の夏服部門の一種として取り込まれるかも知れませんね

ここ15年ぐらい、洋服メーカーが浴衣を製造し廉価で販売し、上手くいったり行かなかったりなのでしょうが、粘り強く繰り返し販売していた・・かの、ように観えます。

そのお陰で若い人たちが浴衣を着るのに抵抗がなくなり、浴衣着用者が増えた要因になっていると思います。

浴衣には、昔ながらの手間のかかる技法で手作りされた高額なもの、効率的な手仕事で作られたそこそこ高いもの、プリントの廉価なもの(和装の反物幅だけでなく広幅もある)と、いろいろ種類があります。生地の素材も天然素材から化学繊維までいろいろです。

色も、昔は白と藍が基本でしたが、今は実にカラフルになっております。

そんな様子を観ていますと、洋服メーカーが様々なタイプの浴衣を提案し続けてくれたお陰で

「浴衣のなかに、フォーマルな浴衣、カジュアルな浴衣と区分けが出来た」

感じがあります。

浴衣そのものがカジュアルなものなので、変な話ですが・・・

和装のなかに、礼装、準礼装、普段着、普段着のなかでも礼装的なもの、気軽なもの、とありますが、浴衣のなかにも、その分野分けが出来た感じです。

洋服メーカー製造の浴衣が出始めの頃、昔ながらの呉服の感覚とはかなり違うものに関しては、呉服関係者や和装ファンの皆さんは眉をひそめたものですが、今、社会ではそのような感覚のものが当たり前になって、それはそれで気軽で良いよね、という感じに受け入れられています。着用方法も気軽になって来ています。

今はそれが主流になりつつあって、浴衣の敷居がかなり下がりました。

和装の世界では浴衣はカジュアルなものですが、日本人全体からすれば、キモノの形をしたものを着る、ということそのものがハードルが高いので、浴衣であってもある種の意気込みを持って着ることになります。

が、昨今の洋服メーカー製造の浴衣は気軽に着られます。

簡単に着られる工夫がなされたものなども販売されています。

それで「浴衣のカジュアル化」なんて言葉が浮かびました。

浴衣でも、高級品の「長板中形」で作られた良いものを、昔ながらの呉服的なしきたりでキチンと着ると現代では「浴衣のなかの古典」を感じたりします。

(着物が日常着として機能していた昭和中頃から以前は、日常の着物や浴衣、寝間着をグダグダに着てましたが)

最近の洋服メーカー製造の浴衣は

「夏物のワンピースの一分野」という感じがします。

私は、それはとても良いことと思います。

なので、逆に浴衣の高級品だと通常の和装に近づいて、衿に芯を入れてシャキッとさせると良いとか、いろいろな工夫が出て来ます。

このような形で、日本の伝統衣類が残って行くのかなあ、などと思ったりします。

いろいろ変化があるのは良いことと思います。

今はカラフルな浴衣が流行りですが、そのうち揺り戻しが来てまた白と藍の浴衣が流行るかも知れませんし。古典的な着方が流行るかも知れません。

時代はどんどん移り変わります。

変わらないものは死にます。

私は普段から

「現実的には破壊から創造という流れで変革は起こらない。他に良いものが出てきて、元にあった古いものが淘汰されるという流れで変革は起こる。あるいは、他に良いものが出来て、元にあったものが影響を受け、変化し、同化する」

と思っているのですが、そういうものだと思います。

そのうち、和装専門雑誌が無くなるかも知れません。

私個人は、和装専門雑誌があるよりも、ファッション雑誌の一部門に、和装コーナーがいつもある、という方が和装の日常化が達成されていると思います。

和装の情報発信がそういう形で残るのも悪くないと思います。


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