綾子と達也のはなし①|恋は焼きいもから
「綾子(あやこ)さんって、いつもおいしそうな食べ方しますよね」
向かいに座っている達也(たつや)が、今まさに焼きいものひと口目を頬張ろうとする綾子をじっと見つめ、そう言った。すでに勢いがついた綾子の口元はブレーキが効かず、返答するよりも先に、今にも蜜が溢れ出しそうな焼きいもにかぶりついた。とろけるような果肉を口いっぱいに味わいながら「そうかなあ?」と、もごもご答える。一方頭の中は「甘い、濃ゆい、うまい」という焼きいもを賞賛する声が鳴り止まない。視線も達也ではなく、湯気立つ焼