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理想の子育てを強要される時、私は般若る

夕飯後に子供達としまじろうを見ていたら
お父さんお母さんの懸命な仕事風景に感動したしまじろうたちがいつも以上に両親を労う、という話が流れてきて
あまりに不意打ちだったので泣いてしまった。

以前も同じようなことがあった


[子供目線のあらすじ]
兄妹で冒険する話

[親目線のあらすじ]
お母さんが何かと妹にかまい、しまじろうを「お兄ちゃん」というカテゴリーに当てはめてしまい、それにしまじろうがガチギレする話

ほとんど子供が観る映画なので、中盤は退屈でほとんど覚えていないのだけど、クライマックスはよく覚えている。
しまじろうが

「ぼく、お母さんに聞いて欲しいことがあるよ
はなちゃんばっかりかわいがらないで
あと、お兄ちゃんなんだからって言わないで
ぼくはお兄ちゃんだからね、頑張ったんだよ!
でもお母さんにそう言われちゃうと悲しくなっちゃうんだ。」


この辺でCharaの音楽が流れる〜♪

「あと、ぼくお母さん好き
お母さん大好き!大大大大好き!」

Charaの音楽が大盛り上がり♪

劇場で見た親は、この感動の演出に涙を抑えられた人なんていたんだろうか

私もこのクライマックスは何度見ても涙を抑えられないのだが
しかしこれは感動レイプだと思った。


兄妹育児をしていると
課題となるのは妹を可愛がってしまう問題
お兄ちゃんはそこそこ大きくなって言葉が通じるので
余裕がないときはつい頼みごとを増やしてしまうし
お兄ちゃんが嫉妬のあまり妹に危害を加えると
親はついお兄ちゃんの寂しさに気づかずお兄ちゃんを怒ってしまう

だからしまじろうの主張は尤もだし、
親は妹だけではなくお兄ちゃんにもたっぷり愛情を与えないと
という啓発を込めているのが本作

でも全ての親がこの課題に気づいていないわけがなく
人によっては妹を妊った時から
兄妹間の愛情のかけ方にどう気を使えばいいか
あれこれ悩む人もいる。(私がそうだった)

しまじろうに言われなくてもとっくにわかっているのである。
でも日常があまりに忙しないと
気づかないうちにお兄ちゃんを追い詰めているしまうことは
往往にしてある。

じゃあどうやったらお兄ちゃんに圧力をかけない育児ができるのか
そこで親の労い
「ママ大好き」という魔法の言葉だ

子供はそう簡単に
ママ大好き
なんて言わない
ママ大好きなのは当然なので、わざわざ言葉に出す必要がないからだ
(うちの息子はなぜか執拗に言ってくるのでちょっと変だと思ってる)

しまじろうを我が子として投影し、普段言われない
ママ大好きを
畳み掛けるように伝えて、
子供に愛情いっぱいかけよう!!!!!!!!
という気持ちを起こさせる。

この、子供との向き合い方を操作される感じ
ひねくれ者としては
お前に言われなくてもこちとら七転八倒なんじゃオラアアア
と顔が般若化してしまう。

完全に分かりきった物語の筋書きなのに
それでも落涙を許してしまうのは
毎日の家事育児仕事の労いを常日頃求めているからだ

子供が幸せそうな顔ならそれでいいのよ
というのは完全な欺瞞で
子供に飯与えてえらい
毎日洗濯してえらい
仕事をちゃんとこなしてスーパーえらい

と言われたい。

このところリングフィットアドベンチャーを毎日続けられてるんだが
続けられてる理由として
筋トレをする度に
「素晴らしい!すごい!いいね!」
とゲームキャラクターが言ってくれるのがすごく大きい

私は労わられなくても他者の貢献感によって幸福を感じるからいいの!(アドラー)を遂行してるつもりだったけど

労いはやっぱり欲しかった。
できれば毎秒言われたい

そんな親の苦労がわかる映画のおすすめはこちら

妊娠出産のつらみをメインに取り上げているのかなと思いきや
それはせいぜい30分そこそこ
あとは両親が親になろうとする課程の葛藤を描いてます。

しんどいほど共感するとともに
母性神話が蔓延ってる日本の生きづらさを
少し解放してくれます。

例えば妊娠中でもタバコを吸うときあるし
妊娠時の方がやたらエロい気分になっちゃうし
出産後は24時間育児でストレスが溜まって
赤ちゃんを置いてお酒を飲みまくっちゃう
ダメな自分に自己嫌悪して
子供おいて飛び出したり

そんな主人公を見て
子育てで苦しんでいるのは私だけじゃないんだ
と、どれほど肩の力が抜けたことでしょうか
理想とは程遠い育児かもしれないけど
できることを少しずつやればいい
そんな温かいエールに包まれた映画です。

しまじろうの道徳観にウッとなったとき
この映画をどうぞ。
私はしまじろう後、
均衡を保つためにサウスパークを見ました。

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