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萌音のファイル👠

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もっと早く設けておくべきだった、、、。お勉強ノート。
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春を待つカルスト

春を待つカルスト

 2月初旬、北九州市のカルスト台地「平尾台」では、毎春恒例の野焼きが行われた。野に燃え盛る炎を以前からずっと見たいと思っていたのだが、時すでに遅し。はたと気づいたのが当日夕方だった。

一週間後に訪れてみると、いつもはススキに覆われている山の斜面が、黒々とした剥き出しの地面へと様変わりし、膨大な数の岩石群を遠くまで見渡すことができた。

道端には早くも草の新芽が顔を出していた。一面新緑に覆われる日

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森の静寂に寄り添う

森の静寂に寄り添う

 冬の対馬海峡を渡ってきた冷たい北風が、標高の低い山が連なる北九州に雪を降らせることは少ないが、それでも朝晩はまだまだ寒い。
市内中央部にある小高い丘陵地帯の森を歩くと、その冷たさが幾分和らぐのを感じる。森の木立が風の勢いを弱め、木漏れ日の僅かな暖かさや、森の地面に堆積した落葉の温もりがあるからだろう。
寒さを忘れる理由は他にもある。幹や枝がぎしぎしとしなる音、木立の上から聴こえてくる冬鳥たちの賑

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「春が来たよ」と思わせて

「春が来たよ」と思わせて

 二十四節気の小寒に入り、これからが寒さの本番。被災された方々にはどうか暖かな環境をできるだけ確保して、御自身の心と体を冷やさぬようお過ごし頂きたいと思う。

 北九州の街の景色もすっかり冬枯れ色に包まれている。しかしながら春の訪れの中に夏の気配が隠れているように、秋の訪れの中に冬が潜んでいるように、冬の真只中にあっても、そこにはすでに春の息吹きが見え隠れしている。

先日、冷たい雨が降りしきる朝

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変動と変容の狭間

変動と変容の狭間

 今秋の記録的な暑さは人間だけでなく、他の動植物にも当然影響を及ぼしていることだろう。
専門家による予測では、将来的には日本の四季が消え、乾季と雨季の二季になるという。この状況はその前兆ということなのだろうか。
11月とは思えない怪しげな生暖かい風。急な突風と大雨。紅葉するはずの樹々がなかなか色付かずに、途方に暮れながら立ちすくむ。
秋の花も戸惑うようにいつまでも咲き、蝶は秋の花の周りを舞い、蟻が

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菅生の滝

菅生の滝

 北九州市小倉南区にある菅生の滝は市内では最大の滝であり、約30メートルの落差がある。神仏習合時代には、下流の菅生寺の修験の地として栄えた滝とのこと。市内からもほど近い割にはあまり多くの人は訪れない穴場だが、これからの暑い時期は憩いの場となることだろう。

またこの滝にまつわる民話として「菅生の滝伝説」が残っており、一昨年秋にnoteにこのことを記事にしたのだが、先日久しぶりに出かけて新たに写真を

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探すのをやめた

探すのをやめた

(文4100字 写真30枚)

 「ブルービー」を初めて見たのは昨年7月のこと。青と黒のストライプに身を包んだ美しい蜂だ。正式名称はナミルリモンハナバチ(学名:Thyreus decorus)で、ハチ目・ミツバチ科の昆虫。

世間では「幸せを呼ぶ青い蜂」と呼ばれている。どうやら2004年に出版された葉山祥鼎氏の絵本「ブルー・ビー 」の中に、そのような記述があるらしい。
全国的にも個体数が極めて少な

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