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【子育て】こうして「思考の檻」がつくられるのか、とハッとした話♯040

春からとある高校で社会の講義をさせてもらえることになった。
社会と言ってもジェンダーに特化した内容で。

この学校では、既存の学校システムで薄れてしまった好奇心や探求心を取り戻し、学びの可能性を広げることを理念に掲げたコースが新設された。自分のペースで通学できるよう学年ごとではなく、3年間で指定単位をとればいい単位制コース。
その理念に共感し、お引き受けした次第だ。

というわけで、今ジェンダーに関する本を色々読んでいる。

今、オーディブルで聴いているのは東京大学の上野千鶴子先生のこちらの本。

今の高校生のジェンダー意識ってどうなんだろう、と気になって。
高校生の親世代は4、50代のご家庭が多いとすると、ちょっと私より上の世代。私の周りでは、リベラルな感覚の人たちが多い。
ただ、この本を読むと、今の子供たちがいまだに昭和の価値観を強要される場面が多いことに驚いてしまいました。ちなみにこちら2021年の発売。
確かに、私たち30代でも「女の子だから、熱心にお勉強はさせなくていいよね」「え!男の子なのに、家事手伝ってくれるの?!」と無意識に「男の子は〇〇、女の子は○○」の文脈での会話が繰り広げられている。

並行して、オードリータンのこちらの本もオーディブルで聴いている。

このなかでもジェンダーについて述べられているが
そのなかに
"誰かが決めた正しさに縛られなくていい"
というような表現があった。

そうそう、子供って本来自由な発想に溢れているのに
いつの間にか誰かが決めた「正しさ」をはめ込まれてしまう。

ちょうど、昨日、こんな出来事があった。

幼稚園に毎朝、行きたくないと泣く年少の娘。恐らく9割方、毎朝行き渋り。家が近いから、いつもは抱っこしながら連れて行き、私が出勤の日は、自転車に乗せて行くのだが、昨日は「スクーターかストライダーなら行く」と言ってきた。

うーん、そうかぁ。
みんな歩きか自転車の人ばかりだから、「スクーター、ストライダーでは来てはいけない」と暗黙の了解はあるはず。その時点で、先生からきっと何か言われるだろうな、という予感はあった。

でも「スクーター、ストライダーで登校するな」とは、入園のしおりには書いていなかったし、
去年まで住んでいたイギリスの幼稚園、公立小学校では、スクーター、ストライダー、子供用自転車で来てる生徒、園児がとっても多かった。親も付き添って登校、登園するから問題は発生していなかった。

ストライダーは、親が手を添えられないし、そこそこスピードが出るし、確かに危ないかもしれない。でも、スクーターなら親が手を添えて行けるから、安全性の問題はクリアできる。

朝のバタバタの最中に思考を巡らせたけど、娘に対して「イギリスはOK」なことが「日本はNG」の合理的な理由が見つからなかった。

だから、「ママが持っていいならストライダーで行っても良いよ」と先生から注意されることも承知で登園。
ストライダーを持ち帰るとき、チラっとそれを見る先生の視線を感じたら案の定、お迎えの時に先生が出てきて、一言。

•もう春から年中なので、ストライダーではなく、歩いて来ましょうね。
•他の子供達も乗りたくなるからね。

とのこと。

「朝、少しでも気持ちよく通園させたいんですよね・・・」
と言ってみたが「それはわかります。でもこの子は自分で歩ける力があるから!私たちも歩いて来れるようになってほしいので!」と一言。
確かに、いつも「抱っこ」という娘には、そろそろ自分で歩いてほしいとは思っているし、「わかりました」と言ったものの、
家に帰って、娘に伝えようとした際、釈然としなかった。

自分で歩いて通園することが大事だということはわかる。しかも徒歩1分の距離だから。
でもなんで子乗せ自転車で行くのは注意されないんだ?
確かに遊戯室の前までスクーターを乗せて行ったから、それは他の子供の目に触れるからダメだったかもしれない。じゃあ、結局先生が言いたかったのは、他の子が自分も乗りたいって言うからという理由なのではなかろうか?
だったら「スクーターは駐輪場に置いて、そのあとおうちに持って帰ってくださいね」でいいんじゃない?
幼稚園で沢山体を動かしているから、朝、気持ちよく登校させることを優先させるのはダメなのかな。

娘には「先生が〇〇って言ってたから、もうストライダーで行くのはダメだよ」とは言いたくなくて、「先生はこう言ってたけど、よく考えたら、なんで自転車はOKで、スクーターはあかんのやろな。ママ、わかりましたって言ってしまったけど、よく考えたら、わからんわ。」
とは伝えた。あの時、その場で先生に「何でダメなのか」理由を聞いたらよかったな、と少し後悔しながら・・・。

でも、娘に先生=常に正しい
という価値観を押し付けなくてよかった。

「学校がこうだから」「社会はこうだから」
「言うこと聞かないと怒られるから」
この便利な言葉で、子供を枠にはめてしまったら、大人は楽なのかもしれない。
波風も立たない。
でも、この一言が子供の考える力を奪ってしまう。
無意識の思考の檻を作ってしまう。

自分に一呼吸置ける余裕がなければ、娘にこの言葉を言っていたかもしれないなと思うとはっとした。
そっか、こうやって子供に思考の檻がつくられて行くのか。

ちょっとジェンダーとは違うけれど、価値観の押し付けという点では共通する点がある。
春に出会う高校生が、もし誰かに押し付けられた正しさで苦しんでいるならば、どうかそこから解放させられるように力を尽くしたい。


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