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いてくれるだけで、ありがとう

「あ、赤ちゃん、かわいいねえ、エヘヘヘ」と

笑顔になる小さな子どもと笑い合う幸せを

「ああーかわいいねえ」と

笑顔になるおじいちゃんと笑い合う幸せを

「かわいい、いくつですか?」と笑顔になる

ファミレスの店員さんと笑い合う幸せを

こんな穏やかな気持ちで

人と幸せをシェアする気持ちを知るために

息子は私のもとへやってきてくれたのではないか

と最近思う。


赤ちゃん、

その小さないきものが持つ力の破壊力といったらない。

みんなを笑顔にしてしまうんだから。


私はアメリカ生活が長く、
かれこれ10年以上アメリカで過ごしてきた。

と書くとかっこいいものに聞こえるが、実際どうしてあんなに自ら望んで苦労しに行ったんだろう?と最近では首をかしげてしまうことが多い。

あれ、なんでアメリカにそんなにこだわったんだっけ?(笑)

なんて言ったら、
経済的にサポートしてくれた両親はなんと思うだろう。



母親になって今日でちょうど3か月。

おおよそ3年ぶりに日本帰国して、
1週間と少しが経った。

日本人は道端で人に話しかけない、手助けしてくれない

というのは現時点で私の中で

「大嘘もしくはステレオタイプ」


↑にも書いたのだけれども、帰国便では沢山の方にやさしく助けていただいた。

そして最近、stay in 東京, where I grew up.

ベビーカーで、抱っこ紐で、商店街を練り歩けば、小さな子どもたち(2歳から5歳くらい?特に女の子)は近寄ってきて、

「あ、赤ちゃん、かわいいねえ、エヘヘヘ」

と満面の笑みを見せてくれる。

その子のお母さん「すみません〜(^_^;)」

私「いえいえ、かわいいですね、おいくつですか?」

そんな風に、笑顔に包まれた中で軽く「ママトーク」を交わし、その間近寄ってきた子どもさんはにこにこで、それでは失礼します、と私たちは別れる。


「ああーかわいいねえ」

そうやって話しかけてきてくれたおじいちゃん。これまた商店街の写真プリント屋で、息子と家族の写真をプリントしようとしていた時に出会った。ほーほーかわいいねぇ、むちむちしてるねぇと目を細めて笑顔になった彼にもきっと孫がいるのだろう。

私はそんな彼の様子にやさしい気持ちになりながら、
少し切なくなった。

そこでも私たちは笑顔で
ひとことふたこと交わして別れた。


「かわいい、いくつですか?」

そうやって近所のファミレスのスタッフさんはにこにこしながら話しかけてきてくれた。平日昼間、ひとり(と赤ちゃん)で入ったファミレス。その彼女は、お会計の時にかわいい、と話しかけてきてくれて、「おとなしくてえらいねえ、かわいいねえ」とこれまた目を細めていた。うふふ、ありがとうございます、と私もまた笑顔で気持ちよくファミレスを後にした。


日本の街角で「赤ちゃん」をきっかけに、こんな風にやさしい言葉のやり取りをしたのは上だけに限らない。

まだ1週間程度の滞在で、

こんなにたくさん街でやさしさに出会うことができて

私はとてもしあわせだ。


赤ちゃんと出歩くようになって気がつくのは、

話しかけてきてくれる人は

皆、「かわいいねえ」と目を細めてとてもしあわせそうな顔をすること。

みんなおんなじ顔になる。


そして私もまた

「ありがとうございます」と言いながら
同じ顔になっているのだと思う。


赤ちゃんがくれる、しあわせ。

「赤ちゃん」というのは非常に特殊な時期だ。

私たち自身、誰もが「赤ちゃん」であったにも関わらず、その頃の記憶がある人はきっといない。そしてまだ「人としての自我」が育っていない「赤ちゃん」は、いったい誰なんだろう?と最近私は思うのだ。

赤ちゃんとは

私であったのに、私ではなかった時代

あなたがあなたとして産まれ、存在していたのに

まだ「あなた」ではなかった時代

「天使」だった時代

誰のものでもない時代

ただひたすら「人々にしあわせを運ぶだけ」の時代

存在しているだけでみんなに愛される時代


愛されるためだけに、

しあわせな気持ちを皆に届けるためだけに存在する時代

それが「赤ちゃん」


誰もが生きている中で、一度は天使だったんだ


私はアメリカ留学で親に多大なお金を出してもらって、それなのに留学したその学位を使うことなく、ただひたすらに「アメリカで永住権を取る」ということを目的とし、長くつきあった黒人の男と結婚し、彼とは本当にいろんなことがあって、すぐ離婚、そして再婚して今に至るのだけれど

親に対して「親孝行できていなくてごめん」という気持ちがずっとあった。

でも自分が親になってみて思うのは、

もう、この「赤ちゃん」時代をお世話させてもらうだけで

こんなしあわせは知らなかった

産まれてきてくれただけで、ありがとう

とにかく子のために、何かをしてあげたい

子が笑っていられるのであれば、それでいい

親っていうのはそういう風に思うものなんだなあと知って

自分自身も癒された


I am taking care of him but he takes very good care of me as well.

もしこれを読んでくれているあなたが、お母さんに対して、お父さんに対して「親孝行」がまだできていないことに、してもらったことを返せていないなと罪悪感を感じていたり、ある種の申し訳なさを感じているのであれば、そんな必要全然ない。

ご両親はあなたが生まれてきてくれただけで、

それだけで十分なんだから。

そう思っているはず。

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