弓張月(山下弓)

人生100年時代、50歳からの人生設計をFPとキャリアコンサルタントを活かしたコンサル…

弓張月(山下弓)

人生100年時代、50歳からの人生設計をFPとキャリアコンサルタントを活かしたコンサルでお手伝い。複業の支援を得意とし、自身も5つの仕事とをするフリーランスです。 2020年12月、さくら舎より「女性30代代からの復業生活のすすめ」を出版。

マガジン

  • 弓張月の御息所

    大人のためのお伽話、こころの奥底にしまっていた胸のトキメキを美しい言葉で綴ります❤️

  • こころの処方箋

    色と香りが織りなすカラーボトルカウンセリング「和み彩香」 思わず出てくる本音にそっと寄り添います

  • お金と暮らし

    ファイナンシャルプランナー(FP)として、日常に起こる出来事を感じたまま綴っていきたいと思います。 月曜日更新

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    フリーランスとなって10年、小さなところからコツコツと、資金がなくても、子育て中でも、複業としても起業したい人を応援するマガジンです

最近の記事

40から50がオイシイの❣️

冬になると その重みが心地よくすらある圧力鍋 雪で外に出るのがおっくうになっても 冷蔵庫から有り合わせの食材で 圧をかけて煮炊きをすれば ほら、あっという間に美味しい一品の出来上がり 牛スジだって 大根だって何時間も煮込まないといけない所を あっという間に柔らかくなるのだから 本当に優れもの だけどこの魔法のようなお鍋にも ひとつだけルールがあるの それは圧力をかけて煮込んだあとは 火を止めて そっと冷めるまで時間を置いて放置しておくこと そうすれば昨日作った肉じゃがや

    • その声を聞いただけで こころがあったかくなり、赤子のように安心できる そんな風に感じたことはありますか 「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」とあるなかで 自分の感度が一番繊細なところは? そう聞かれたら私は迷わず「聴覚」と答えるだろう 一番好きなのは耳元で囁かれること 子供たちが幼い頃 「秘密のお話」、柔らかいほっぺをくっつけて 耳元でこっそり教えてくれた そんなときが至福の喜びだった くすぐったくて息があったかくて 意味もなくギュッと抱きしめていたっけ きっとそれぞ

      • 悪い人はお嫌いですか?

        悪い人はお嫌いですか? 大きい声では言えないけれど 良い人がいいに決まってるかもしれないけど 悪い男がどうしようもなく魅力的に見える時がある 総監視社会でみんなが縮こまり 互いの顔色と空気を読んで生きている 昔の歌舞伎や芸事の世界では 色恋沙汰も芸の肥やしと言われていたのにね あれだけ特殊な世界で才能ひとつで 自分の人生賭けてるのに 普通の人と同じ感覚と常識で生きなさいと訳知り顔で言うのはちょっとウンザリ 気がつけばみんな魂抜かれたかのように、悪いこともしない代わり

        • 紅葉の手

          紅葉を見ると何故だか優しい気持ちになります 柔らかい晩秋の光の中で、幼子が一生懸命おててを広げてるみたいに見えるから? 光に透けて浮き上がる葉脈は、ぷっくりとした手が寒さで真っ赤になった様子を思い出させるから 子どもたちがまだ言葉もおぼつかなかった頃 「ママ、おててがちんたい」と言っては、その手を自分の目の高さにある私のポケットに入れてくるのです その時たとえ両手が荷物でふさがっていても片手に持ち替え、滑り込んできた冷たい小さな手をしっかりと握り返したものでした そんな寒

        40から50がオイシイの❣️

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        記事

          「FIRE卒業」の言葉に思うこと

          昨年、投資関係の記事でよく目にしたFIRE(Financial Independence, Retire Early)が新たな展開を見せている。 FIREとはつまり、若いうちに投資などで資産を作り、その運用益を元に仕事やあらゆる束縛(時間や住む場所など)から解放されることの略語で、ここ数年、それを目指し多くの方が仕事を辞め、自由な人生を謳歌してたと聞いていた。 ところが昨今、今度は「FIRE卒業」という言葉がトレンド入りしているらしい。 理由は主にふたつ ①確かに経済的に

          「FIRE卒業」の言葉に思うこと

          土砂降りの隙間

          叩きつけるような激しい雨に少し不安を覚えて、助手席から隣りのあなたの表情を追うの 変わらぬ様子のあなたは慣れた手つきで片手でハンドルを回しながら、自由になった片手で怯える手を包んでくれた それもいつものお約束 私は、大人しい子犬のように 無言のままその手を待っていた 言葉はいらない フロントガラスを叩きつける音がBGM 前が見えないほどの雨が ワイパーの僅かな間だけ 2人だけのシェルターを作ってくれる 赤信号の輪郭がぼんやり フロントガラスを通して映し出され そしてま

          土砂降りの隙間

          水滴

          寒さが増してくると、夜の長湯が何よりの楽しみ 時間を持て余し、羊の数も数え終わった ふと思いつき、手を湯船ギリギリにつけて肘から引き上げてみた 全体に湿り気を帯びた手は 瞬く間に手のひらの水分を集め 指先にと集中させる 水滴はみるみるうちに指の先っぽで 逆さになった雪だるまのように丸く膨れて、今か今かと表面張力が弾けるのを待っている 水ってこんなに曲面なんだ 子供の頃から 表面張力を見るのが好きだった 母が作ってくれるカップいっぱいのホットミルク 雨上がりの蓮の葉に集ま

          Shave off

          ぬるま湯に浸した網状のスポンジに 石鹸を何度か滑らせ、空気を入れ込むように優しく揉み込むとふわふわの綿あめのようになった泡が出来上がる それをこんもりと肌に盛り 泡のスポンジを押しつぶすようにおもむろに刃を当てる ーShave offー ヒフを傷つけないように 氷の上をそっと滑らすように 優しく愛でるように動かしていく 月に2回ほどの儀式は何故かいつも真夜中になる 時間に余裕がないとできないからでもあり、その秘密めいた儀式は手間暇かけてこそ美しさを作り上げると信じ

          忘れるという才能

          最近、年追うごとに身近な人とのお別れに遭遇することが多くなりました 私自身平均余命が短くなっているのですからそれは当たり前のことかもしれません 母はすっかり「お別れ慣れしたわ」と 言葉数少なにつぶやいています 親しかったその人とこれまでのように 顔を合わせ、話すことも出来なくなり 虚無感が一気に押し寄せてしまいます そしてその哀しみもいつしか日々の雑事に追われ 遠い在りし日の彼方へと流れて行ってしまうのですね いずれ私もここにいる痕跡すら誰の記憶にも残らない存在になるので

          忘れるという才能

          心の網の目

          「来るもの拒まず去るもの追わず」 これが私のモットーですから そう書き込んで ハタと手を止めた そういえば昔は随分違っていたな あらゆる関わりを持った人が 私のことをどう思っているのか どんな風に評価しているのか とても気になって仕方がなかった時期がありました それは裏を返せば 付き合う相手も自分のブランドの一つで 誰と付き合うかで自分の価値も決まる なんて愚かなことも考えていた時期もありました 振り返ってみればそれは全て 自分というものが無かった頃 自分が好

          ダリア

          「いらっしゃいませ」 「ダリアの花束作ってくださる?」 店のドアベルを軽やかに鳴らしながら入ってきた彼女は 妖麗の熟女という言葉がぴったりの女性だった 「ハイ、喜んで」 この店を任されてもう20年 いろんなお客のあしらいは慣れている 朝から晩まで花と水とトゲに戦ってきた がむしゃらに働いてきた分 お客さんがどのような花束を望んで どんな風に届けたいのか 瞬時に分かると自負してる 「ダリアですか、実は秋口のダリアは密かな人気なんです。情熱的で優雅な女性が好む花ですからね」

          ベーコン

          貧乏を絵にかいたような大学生の頃 楽しみは、料理だった 贅沢な食材を買い求めることもできないなか いかに工夫して巷で見たフルコースのメニューを 食卓に並べられるか夢中になった 彼も料理にはまっていった いつしかアルバイトをコジャレたビストロに変え 皿洗いからのスタートだったが 根っからの明るさでサービスに回るようになり 最後は料理の一品まで任せられるようになった 何かの記念すべき日があれば ただのテーブルに洗いざらしのシーツがかけられ とっておきの花が一輪 ここだけちょっ

          ピアス

          10年以上も前の秋のこと 私は幼子の娘を抱いて 両の耳にピアスの穴を空けた その頃はまだ 耳に穴を開けるなどと 自ら体を傷つけることはタブーとする空気が流れていて 「ピアスを開けると人生が変わる」 そんな言葉が まことしやかに信じられていた 耳たぶが薄く小さいので しょっちゅうイヤリングをなくしては 片耳ばかりストックされていく そんな我が耳を恨みつつ それでも、なんとなくピアスになるには 躊躇してなかなか行動には移せないでいた そんな私が 横浜の地で 何故空けようと決

          下駄の音

          からーん ころーん 夏の風物詩とも言える下駄の音 幼き頃は小さな町の盆踊り ひとしきり闇夜の中の輪に混じり 浴衣に兵児帯の幼子は 足の甲に擦れた痛みを覚えながら 夢中になって踊ってた 密かな楽しみだったのは 歩き疲れて帰路に着き 下駄を脱いで家の廊下を歩くとき 足裏が何ともくにゃりふわふわと 不思議な感覚になるのが面白く それまでの足の痛みも忘れて楽しんだ 異性を意識しだした思春期は 浴衣の襟も拳一つ抜き 我が身の下駄の刻む音より 彼が鳴らすのんびりとした下駄の音に

          かすみ草

          父が嫌いだった。理由はいくつもあげられた。 伝書鳩のように誰よりも早く会社に行き決まった時間に必ず帰ってくる父、気のきいたジョークひとつもいわず、一人娘を猫可愛がりする術も知らない四角四面のマジメを絵に描いた様な父。ただただ煙たくて仕方なかった。 決定打は高校2年の時だった。整理整頓を人生の信条にしていた父は、私の部屋にズカズカと入り、こともあろうか1カ月以上かかって大事につくりあげたかすみ草のドライフラワーを「枯れているから」と捨ててしまったのだ。父の前で泣くのも悔しくそ

          迷子の情熱大陸 2012

          今日、迷子になった 気がつくと私はクリークの岸に足をつけながら、座ったまま寝落ちしたようだった。 右手にはかろうじて揃って置いてあるサンダル。 そして左手のどこかに引っかかっていたのだろう、じっとりと水につかった夏の帽子が水面に浮いていた。 一瞬ここがどこだか分からなかった。 次の瞬間 大きな歓声が地面の底から地響きのように湧き起こった。 「ああ、私 野外ライブに来てたんだ」 どうやら私はあまりの熱気と人の波に押され、酔いも相当回っていたのだろう、会場の傍らにある水辺に避

          迷子の情熱大陸 2012