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ちがう涙

私は長いこと鬱状態で、人前では笑顔を繕うことができても、何年もの間、常に心が重苦しく感じていた。

仕事には行きます。
仕事はします。
でも休日。
朝からダルくて仕方がない。
身体がダルいのか、心が重苦しいのか。
自分でもわからなくなっていた。

そんな状態での子育て。
人並みに子供達の世話はやっていたと思うが、どこか心が重い。

子供達はかわいい。それなりに。
でもよく聞く
「子供の寝顔を見ると疲れも吹き飛ぶ」
なんて殊勝な感情はよくわからなかった。

子供達が寝たらほっとして
「やっと寝てくれた」
という感情が最大だったし
「やっと自分の時間が持てる」
という安堵の思いでいっぱいだった。

乳呑み子の頃ならまだしも、子供達が小学校くらいまでそんな思いが続いていたような気がする。
子供達が寝た後、星空を見上げながら
「3人の子供が健康で問題なく育っている。
こんなに幸せなはずなのに、なんでこんなに心が重いんだろう」
と泣いた記憶がある。

まさに鬱。
そんなふうに泣く自分は、子供達を心の底からかわいいと思えていないような気がして
どこか子供達に申し訳ないような思いを、くすぶるようにずっと抱えていた気がする。

今思えば、子供3人。
支えるのに必死だったんだろう。
仕事しながら生活しながら子供守りながら
必死だった。崩れかけた自尊心抱えて。

気がつけば子供は高校・中学と、それぞれの世界を持つまでに成長した。
私も崩れかけた自尊心をなんとかするべく、日光浴や呼吸に気をつけるようになり、以前のような重苦しさはなくなった。

今日、子供達とスポーツドームに行った。
子供達で対戦する卓球の審判をやったり、みんなでカラオケで熱唱したり。
ケンカもするけど、仲良く楽しめることが本当に楽しくて、子供達が心底かわいい。

こんなふうに心の底から幸せを感じる日が来るなんて
星を見上げて泣いた夜を思い出し、
あの時とは違う涙が出てきた。



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