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秋はすぐそこに

最近、少しは明るいことを書きたいなと思うようになった。心もあまり悲観的ではなく、前を向けるようになった証だろうか。

そんな私の心を彩るように、木々の葉っぱも彩られていく。この秋、私はきっと大丈夫。

私は住処の東京を出て、実家へ帰ってきた。特にやることなんてないけれど、ただの気分転換。たまにはいいんだよ、こういうの。誰かがそう肯定する。

久しぶりに乗る車は、三半規管を刺激させる。酔い止めと換気は必須。決してお母さんの運転が下手なわけではない。車というものから遠ざかってしまったのだから、もう体が対応していない。そんな小さなことから、私もちゃんと生きているんだなぁと、実感させられる。

酔い止めの眠気と闘いながら、山道をぐんぐん登っていく。Googleマップですらも馬鹿になるほど、すんごい山の中。

3台ほどしか止まっていない駐車場。人気(ひとけ)がないってこんなに心地よかったっけ。疑問が頭を埋め尽くすほど、私の体が都会に染まっていることを教えてくれる。本当は田舎が似合うタイプの娘(ひと)なのに、自分を着飾ることに必死だ。メイクだって、服装だって。何度試行錯誤を繰り返したことか。


秋はすぐそこに__


熊出没注意の看板を何度も目にしながら、山の中へ消えていく。空気が美味しいのがよく分かる。新鮮な空気に、心も綺麗になる。そう信じてたくさん吸ってやる。

結局何度も見かけた注意書きは、ただの看板になってしまった。熊なんて遭遇しなかったし、今日なんか冬眠中なのでは?と笑い合う。


広がる湖。綺麗なグラデーション。色づき始める木々。もみじ。去年この葉っぱで遊んだなと、懐かしく振り返る。

もっと色づいたらもっと綺麗。そんなことを語り合う。


先を歩く両親の後ろ姿を、カメラに収める。見ないうちに増えた白髪も、変わらない存在感も。


彩られた木のトンネルを駆け抜ける。感じる”愛”を抱きしめて。


もうすぐ到来する冬に備えて、今日をハグしよう。

おわり。


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