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星野リゾートのお客様満足アンケートから学べること

私の尊敬する経営者に星野リゾートの星野社長がいます。

私は以前、事業再生支援の仕事をしていた時期がありますが、星野リゾートも同じ事業再生屋さんなので、仕事の進め方、考え方が似ているところが多々ありました。

先日、彼の講演を聞く機会があったのですが、改めて参考になるなと思うことがあったので、今回少しこの内容を今回扱ってみたいと思います。

講演の中でも紹介されていた星野リゾートの取り組みの一つに顧客の声を社員に共有するというものがあります。

星野リゾートでは、宿泊客にいわゆる満足度調査をとっていらっしゃるそうですが、5段階評価で、もっとも満足したという5の回答を「TOP BOX」として追いかけています。

ただ、アンケート用紙をホテルの部屋に置いておくだけだと、わざわざ書いてくれる方がなかなかいません。

回答してくれる方は、「とても不満がある方」か「とても満足した方」という特別な動機がある方だけになってしまいます。

そうではなく、多数の人にとってホテルのサービスがどんな体験だったのか、その実態を把握するということを大事にしたいということで、回収率を30%以上にするということを追求されているそうです。

私が以前運営をお手伝いしていたとある店舗ビジネスをしている会社も、お客様の満足度調査を非常に重視していました。

受付でアンケートをお渡しし、お帰りの際には直接スタッフがその回収のお願いをお声掛けする、その手間をかけることで、毎月数百件のアンケートを回収していました。

回答を集計し、月1回行われる全体会議にてその結果を共有し、コメントに対する対応をKeep(続けること)、Problem(問題なので改善すること)、
Try(さらによくしていくために取り組むこと)の3つの観点で意見を出してもらい、今後の対応策を話し合って決めていました。

アンケートを一過性のイベントにするのではなく、毎月必ず実行していくルーティンとすれば、月に10件以上は改善項目があがり、年間で百件以上の小さな改善が実際に進んでいくことになります。

このように、オペレーションを徹底して磨き上げていく習慣がつくと、小さな改善が時を経つにつれ、競合に真似できない品質になっていくように思います。また、現場に主体性が育っていきますし、人材が育っていくということも見逃せない財産になります。

星野社長は、コロナ禍からいち早く業績回復できたのは、経営情報をオープンに共有し、現場がその情報をもとに主体的に行動する組織、人材が育っていたからだと言います。

コロナ禍にあって、星野さんはこれまでの方針を大きく転換されたそうですが、そのような前例のない状況にあっても、現場からは次々に対応案が挙がってきて、自律的に組織が対応していったそうです。

それは、経営者やマネジャーのトップダウンと比べ、非常に大きな力になると実感されたとのことでした。

優れたサービスを提供している星野リゾートのような会社も、組織の内部に入ってみると、一つひとつのオペレーションは、特別なことをしているわけ
ではないように思います。

誰もが思いつくことかもしれない満足度アンケートですが、その徹底度合が他社とは違いますし、また一つひとつの取り組みが、きちんと戦略と結びついているかということが差になっているように思います。

彼の著書「星野リゾートの教科書」に、以下のような文言があります。

100%教科書通りにやってみることだ。教科書に書かれていることをすべて忠実に実行することである。例えば、ある戦略を実践するには「3つの対策が必要だ」と書かれていたら、1つや2つでなく、3つすべてに徹底的に取り組む。そうすることによって初めて教科書の理論が効果を生む。これまでの経験から私はそう断言できる。

折をみて振り返りたいなと思います。
また来月もよろしくお願いいたします!

2022/11/26 VOL144 sakaguchi yuto 

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